2026-04-04

2か月後に日本化学製品に何が起こるか

次の文章は、日本経産省が発表したものです。

よく読んで、あとの問いに答えなさい。

 

「ナフサは中東輸入分がないと約6割(従来比)の調達量となるはずのところ、この中東以外から調達倍増により、約8割まで回復しています。川下在庫(約2ヶ月)と、中東以外からの輸入と国内での精製(約2ヶ月)で、化学品全体の国内需要4ヶ月分を引き続き維持しています。」

 

また、以下のことがわかっています

 

中東以外からのナフサ調達量は月45万kLから月90万kLに倍増した

・この国の実際のナフサ月間需要は287万kLである

国内製油所のナフサ精製量は平時116万kL/月である

原油備蓄は6,000万kL、精製能力上限は月1,484万kL、ナフサ得率は10%である

・ナフサを分解する装置クラッカー)は稼働率が60%を下回ると工程不安定になり、停止しなければならない

クラッカーを一度停止すると、再稼働には1ヶ月以上かかる

 

(1) この発表から政府が想定しているナフサの月間需要を求めなさい。

(2) (1)の答えと実際の月間需要287万kLとの差を求めなさい。

(3) 「約8割に回復」が成り立つには、国内精製が月何万kLである必要がありますか。また、平時の116万kLとの差から政府がどのような前提で計算しているか答えなさい。

(4) 備蓄原油から作れるナフサは最大で月何万kLですか。また、備蓄が尽きるまで何ヶ月以上ありますか。

(5) 備蓄原油は2ヶ月で尽きないにもかかわらず、政府が「2ヶ月分」としている理由を考えなさい。また、2ヶ月後に何が起きるか、クラッカー性質をふまえて説明しなさい

(1) 政府が想定しているナフサの月間需要

発表文では、

中東以外から調達倍増前 → 約6割

倍増後 → 約8割

となっています

中東以外から調達

45万kL/月 → 90万kL/月 なので、増加分は 45万kL/月 です。

この 45万kL/月 が、発表上は

需要の 8割 − 6割 = 2割

に相当するはずです。

したがって政府想定需要

D とすると、

0.2𝐷=45

𝐷=225

答え:月225万kL

(2) 実際の月間需要287万kLとの差

287−225=62

答え:62万kL/月

(3) 「約8割に回復」が成り立つために必要国内精製量と、その前提

政府想定需要は月225万kLなので、その8割は

225×0.8=180

まり政府中東なしでも総供給が 180万kL/月 になると見込んでいます

中東以外からの輸入は月90万kLなので、国内精製量を

R とすると、

90+R=180

R=90

必要国内精製量:月90万kL

平時国内精製量は 116万kL/月 なので差は

116−90=26

差:26万kL/月減

政府が置いている前提

政府計算上、

中東原油が止まると

国内製油所のナフサ生産平時の 116万kL/月 から 90万kL/月 に落ちる

という前提を置いています

まり中東分が止まれ国内精製も平時どおりには維持できない という前提です。

(4) 備蓄原油から作れるナフサの最大量と、備蓄が尽きるまでの期間

精製能力上限は 月1,484万kL、ナフサ得率は 10% なので、

1484×0.1=148.4

備蓄原油から作れるナフサの最大量:月148.4万kL

次に、原油備蓄は 6,000万kL あるので、精製能力上限いっぱいで回したとき継続可能月数は

6000÷1484≈4.04

したがって、

備蓄が尽きるまで:少なくとも約4か月

(5) なぜ政府は「2か月分」としているのか。2か月後に何が起きるか

まず理由

備蓄原油理論上は約4か月分あります

それでも政府が「2か月分」と言っているのは、原油のものが2か月で物理的に尽きるからではない と考えられます

理由は主に次の通りです。

実際の需要287万kL/月に対して供給が足りない

政府想定でも供給は約180万kL/月

実需は287万kL/月

不足は

287−180=107

毎月107万kL不足

政府の「4か月分」は、想定需要225万kL/月を前提にした計算

実需ベースではもっと早く厳しくなる

化学産業では“少し足りない”では済まない

クラッカー稼働率60%未満 になると不安定化し、停止が必要

しかも 一度停止すると再稼働に1か月以上

2か月後に起きること

政府は「川下在庫 約2か月」と言っています

まり最初の2か月は、在庫を取り崩して不足を埋めながら何とか回せる可能性があります

しかし2か月たつと川下在庫が薄くなり、その後は供給不足が直接クラッカーに響きます

供給が実需に届かなければ、各クラッカーに十分なナフサを配れず、一部設備稼働率が60%を下回る おそれが高いです。

すると、

クラッカー停止

再稼働に1か月以上

ナフサ不足が化学品の生産停止に直結

単なる「少し足りない」ではなく、供給が段差的に落ちる

という事態になります

まとめると

政府が「2か月分」と言うのは、

備蓄原油の物量限界ではなく

在庫を使って現在需要をしのげる“実務上の猶予期間” を示しているため

です。

そして2か月後には、在庫緩衝が切れて、供給不足がクラッカー稼働率の低下として表面化し、停止→再起動に長期を要するため、化学供給が急激に悪化する と考えられます

答えの一覧

(1) 月 225万kL

(2) 62万kL/月

(3) 国内精製は 90万kL/月 必要平時との差は 26万kL/月減。

政府中東途絶で国内精製も116→90に落ちる前提 で計算している。

(4) 備蓄原油から作れるナフサ最大量は 148.4万kL/月。

備蓄は 約4か月 もつ

(5) 「2か月」は原油の物量限界ではなく、在庫込みで需要をしのげる実務上の限界

その後は供給不足でクラッカーが 60%未満 となり停止、再稼働にも 1か月以上 かかる。

  • 「2ヶ月後に重大な供給停止が起きる」って前提で問題を作成して、それをAIに回答させれば、 AIは「2か月後に重大な供給停止が起きる」って回答するに決まってんじゃん。そんなことや...

    • 話がアベコベやで 2か月後以降が実はヤバいという内容を誤魔化しながら出してるのは政府で、AIはそれをわかりやすく示しただけやね 対策を示すべきなのは政府で、それをしないのも政...

  • 備蓄が尽きるまでの期間の計算に毎月の原油の輸入量を含めていないので不正解です。

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