反転攻勢よりも和平
先日NHKのニュースに「ウクライナ、反転攻勢順調」という見出し文が流れ違和感を覚えました。まるでスポーツの応援のような見出しです。日本のマスコミの多くは、完全にNATOウクライナ応援団のスタンスです。湾岸戦争を思い起こします。さらに太平洋戦争中の大本営発表か?・・とも思ってしまいました。
一方、ロシアのウクライナ侵攻1年目を迎えるにあたり、中国外務省は、この2月に、ロシアとウクライナ両国に対し、「ウクライナ危機への政治的解決のための中国の立場」とタイトルされた12項目からなる和平案をウェブサイトで提示しました。両国に出来るだけ早い時期に直接対話の再開を要求し、停戦の調停役を買って出て、紛争の「政治的解決」を求めています。
日本のマスコミはこの中国の12項目の停戦案をほとんど流していません。流さないどころか、12項目をしっかり示しもせずに「まやかし」だとか、「信用できない」とか誹謗中傷するか無視を決め込んでいます。
12項目の中国の提案をネットでやっと見付ける事ができました。
アゴラ言論プラットフォーム:中国発「ウクライナ和平案」12項目
この12項目を転載いたします。
1) 国家の主権を尊重:一般に認められている国際法と国連憲章は「厳密に」遵守されなければならない。
2) 冷戦の考え方を放棄、自国の安全のために他国を犠牲にしてはならない。
3) 敵対行為をやめる:全ての当事者は「合理性を保ち、自制を保ち」、紛争を煽ってはならない。
4) 和平交渉の再開:対話と交渉がウクライナ危機に対する唯一の実行可能な解決策だ。
5) 人道危機の解決:人道危機の緩和に貢献する全ての行動は「奨励され、支援されなければならない」
6) 民間人と戦争捕虜の保護:全ての紛争当事者は、国際法を遵守し、民間人や民間インフラへの攻撃を回避する必要がある。
7) 原子力発電所の安全確保:原子力発電所への武力攻撃を拒否する。
8) 戦略的リスクの軽減:核兵器は使用されるべきではなく、核戦争は行われるべきではない。
9) 穀物輸出の促進:全ての当事者は黒海穀物協定を実施する必要がある。
10) 一方的な制裁を止める:一方的な制裁と圧力は問題を解決できず、新しい問題を生み出すだけだ。
11) サプライチェーンの安定化:全ての関係者は、既存の世界貿易システムを維持し、世界経済を政治目的の武器に使用してはならない。
12) 復興計画:国際社会は、影響を受けた地域で紛争後の復興を実施するための措置を講じるべきだ。
特に批判すべき内容の項目は無いのではないでしょうか?それどころか、かなり妥当な内容で、(一部修正するとしても)一刻も早くこの方向で停戦に向かうべきでしょう。
この内容を受け入れれば、中国の台湾侵攻に対しても中国自ら足枷をはめる事になり、日本など中国の周辺諸国にとってもいい提案とも言えるでしょう。戦争前からロシア・ウクライナ双方と繋がりの深かった中国だからこそ出来る仲介役かも知れません。
それなのにアメリカを筆頭にNATO諸国はこの提案を「幻想を抱くべきではない」とか、「評価に値しない」とか、「中国には裏の目論みがある」とか(・・それもあるでしょうけれど、そんなことを言うのならば、アメリカのやることも表向きと違った裏ばかりでしょう。)アメリカバイデン大統領にいたっては「ロシア以外の誰も利することはない」とまで言っています。実際に読んでみて、そんな内容でしょうか?中国の提案だから嫌なのでしょう。そこにウクライナの一般国民に対する配慮は感じられません。どこの国の案とかよりも、先ずは停戦して和平を達成することが優先でしょう。
アメリカは、停戦をさせたく無く、戦争を長引かせて、ウクライナにはあくまでも戦って欲しいようです。
ロシアを弱体化させることと、中国に手柄を立てさせたくない事、そして武器を売りつけてアメリカ軍需産業を潤し続けるために、戦争を続行させたいようです。自国の利益ばかり優先で、ウクライナ国民の事は二の次なのでしょうか?酷い話です。
私がウクライナ人ならば、停戦条件に不満があったとしても、一刻も早く停戦して欲しいと考えるでしょう。家族、友人、国民が武器でいつ殺されるかわからない状況は一刻も早く脱したいと思うでしょう。反転攻勢から戦争が長引けば、犠牲者がもっと沢山出ることでしょう。ウクライナ国民のことを優先しないウクライナ支援って何なのでしょう?
この件に関して、反転攻勢を支援し、戦争の続行を煽るアメリカと、停戦・和平案を出した中国と、どちらがまともと言えるでしょうか?
にほんブログ村
- 関連記事
-
- シオニズムなんて認められない 2023/11/19
- イスラエル軍の攻撃は自衛権の行使では無い 2023/11/17
- テロリストは寧ろイスラエル政府だ! 2023/11/05
- 戰争させられるな! 2023/10/23
- 負の遺産にしかならない辺野古新基地 2023/10/17
- NATOに加盟? 2023/07/03
- 反転攻勢よりも和平 2023/06/19
- 長期戦を辞さない・・? 2023/05/03
- ネトウヨレベルの右翼同士の対立 2023/04/13
- ウクライナの二の舞 2023/03/29
- 第三次世界大戦の危機 2023/03/17
- 朝鮮戦争の実態 2023/02/19
- 致命的な急所を晒して、防衛力強化って? 2022/12/17