さよなら、オリンピック

 パリ・オリンピックは何も見なかった。いつ始まって、いつ終わったのかもよく知らなかった。

 いつの頃からか、オリンピックに興味がなくなった。いや、興味がないというよりも、何か嫌なイベントというイメージを持つようになった。

 競技自体はおそらく見れば面白いのだろうし(スポーツの内容も、雰囲気も)、参加する選手にとっては人生を賭けるくらいのものがあるのだろう。しかし、競技以外の部分がオリンピックは厭わしい。

 思い返せば、アテネ・オリンピックあたりまでは普通に見ていたと思う。今調べると2004年だから20年も前である。その次の北京オリンピックの開会式を見て、あまりに国威発揚というか、「中国、万歳!」的な内容に嫌気がさした。別に中国に限らず、開会式は「我が国、万歳!」となりがちで、オリンピックの嫌なところのひとつである。

 その後のロンドン、リオはほとんど見た記憶がない。

 東京オリンピックは招致の段階で、なるべくお金をかけない、環境にやさしいということを謳いながら、その後、どんどんお金が注ぎ込まれ、新国立競技場建設をめぐるドタバタもあった。嘘の多さに、どんどんオリンピックという存在が嫌になっていった。

 開催前に当時の菅首相が「東日本大震災の被災地が見事に復興を成し遂げた姿を世界に向けて発信する場にしたい」「コロナを世界が団結して乗り越えることができたことを日本から発信したい」などと建前としかいいようのない発言をしていて、ますます嘘の多い大会だと感じた(復興を成し遂げた姿を見せるなら、東京ではなく岩手か宮城か福島で開催すべきではないか?)。開催直前で開会式ほかの関係者のスキャンダルというか、ゴシップがほじくりかえされ、グダグダになっていく様を見たのも、嫌気のさしたひとつの理由だ。

 オリンピックはスポーツイベントとして巨大すぎる。巨大なイベントにはいろんな人間の思惑がからみあい、人間の嫌な部分も見えてくる。おれにはもう関係のない大会と思っている。