午後の恐竜(星新一)感想ネタバレ注意・読書好きな人が一度は必ず通る作家です(乱れ蝙蝠の365書その13)
はじめに(ナカノ実験室)。
今回も友人の乱れ蝙蝠からの寄稿です。
乱れ蝙蝠の365書その13「午後の恐竜」
ここから短編集が続きます。
星新一の名を知らない人はあまりいないだろう。読書好きな人が一度は必ず通る作家です。その社会や人間にたいする皮肉や諷刺、警告は今もってふるびていない。どの国やどの時代の人でも面白く読めるように、固有名詞や時代、地域を思わせる記述を徹底してある。しかしその功績とは裏腹に生前は、「軽い文学」等と下に見られていた事もあり本人にも苦悩があったようだ。しかし例え短かかろうとわかりやすい作品だろうと彼の作品の魅力が古びる事は永遠に無い。
この間、星新一のショートショート5編をオムニバス形式でドラマ化した番組が流れていたがその中で知らない話があった。それでその話の原作が収録されているこの文庫を買ってきた。ほとんど読んだつもりでいたが、まだ読んでない作品があった。なんせ1001編あるからなあ。
この短編集には11の短編が収録されている。全体的に毒が強い皮肉に満ちた作品が多い。
表題作の「午後の恐竜」は現代社会に突然、幻のような恐竜達の群れが現れたという話だが、結末はなんとも切ない壮大なものだった。人間の歴史等、地球全体から見ると一瞬だが、愛おしい物だ。タイトルを忘れたが、ある著名な博士が、人類におおいに役立つ発明をするという発表をしたが、それは何の役にも立たないでくの坊のようなロボットだった・・
という話があった。結末はふせるがなんとも切ない話で、この「午後の恐竜」と似た物を感じる。
なんというかこの人類にたいする客観的な突き放したような星さんの作品を読んでると、本当に地球人?なんて思ってしまうな。飄々とした変人みたいな人だったらしいけど。
他には「戦う人」が、普段、自分達の凶暴な本能を見ないようにしている人間を皮肉っている。「おれの一座」「偏見」「狂的体質」はユーモアが漂っていて面白い。「おれの一座」は途中で話のバックグラウンドが見えてニヤリとした。
他にも人間の文面の起源、発展を皮肉った「エデン改造計画」等、「ボッコちゃん」や「未来いそっぷ」等の短編集程有名な作品集ではないが、この本も粒揃いである。
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おわりに(ナカノ実験室)。
小説を書いているのに、小説を読まない私は、今後の人生の指針として星新一作品は読もうかなと思っていて、まだ1冊しか読んでおりません。そんな私には嬉しい寄稿でした。
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