やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

中学校の学習指導要領改訂案で気になったこと5つをまとめてみた(総則編)

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私が気になったポイントを5点まとめてみます。

①カリキュラム・マネジメントできない学校はまずいよ!

ついに!というのが私の第一印象です。といっても、いったいカリキュラム・マネジメントとは何なのか。。あやしいカタカナです。そこで、3段階に分けてみてみましょう。

まずは、文科省による「添削しろ」と言われたら即「一文が長すぎる」と赤をいれそうな改定案をご覧下さい。

各学校においては、生徒や学校及び地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育の活動の質の向上を図っていくこと(以下、「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。(第1章総則 第1の4。太字は筆者。)

ここでそっと画面を閉じそうな私でした。が、

 

次にカリキュラム・マネジメントをもう少し端的に示しているのが新潟県教育センターの文章をみてみましょう。

「各学校が設定する教育目標を実現するために、学習指導要領等に基づきカリキュラムを編成し、それを実施・評価し改善していくこと」

だとされています。

 

そして最後に、私の解釈なので誤っていたらご指摘頂けるとありがたいのですが、もう少し噛み砕いてみると、

①各学校が目標を定める(これは普通なら今までも行われてきた)

②目標実現のために指導要領を踏まえてカリキュラムをつくる(これも普通なら今までやってきている)

③カリキュラムに基づいて教育を行う(これも従来通り)

④カリキュラムの評価・改善をすること(!)

がカリキュラム・マネジメントの要素であり、最後の「評価・改善」がカギだと考えています。

つまり、学校レベルでカリキュラムを毎年評価、改善してますか?

それを、教科横断的にやっていますか?というのが文科省のメッセージです。

授業ベース、単元ベースの改善ではなく、カリキュラムベースで改善を行っていくことが求められているということです。まさに、「学びの設計」の視点です。 

これからの教員は、現場にあわせたカリキュラム・マネジメントができないと、映像授業やAIで駆逐されていくでしょう。危機感をもたねばなりません。

 ※こちらの記事でも「学びの設計」について言及し、かなりのアクセスを頂戴しました。

yacchaesensei.hatenablog.com

 

 

②「多様な人々との協同」できる学びをつくって!

「個性を生かす教育の充実」から

「個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実」(第1章総則 1の1)

へと太線部が書き加えられました。

当然、授業の中で「恊働」の要素を形だけではなく、設けていく必要があります。

他の箇所でも「主体的・対話的」の文言も、何度か新たに登場していますね。

※①の文言にもありましたが、「教科横断的な視点」で「恊働」を促す教育活動を捉えると、少し選択肢の幅が広がるのかもしれません。(もちろん教科内だけでも恊働は促せる)

 

 

③一人ひとり、一つひとつ。の連呼!

「生徒や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して」(前文)

「生徒の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して」(第1章総則 第1の1)

 「各学校においては、生徒や学校及び地域の実態を適切に把握し」(第1章総則 第1の4)

 以下省略します。当たり前といえば当たり前ですし、時代の要請もあれど、やっぱり教育の本質的な要素だと思います。じゃないとこんなに連呼しない。

 

 

④なんとなく一貫校にしてもダメだよ!

第1章総則 の4に新たに「学校段階間の接続」が盛り込まれました。

要は、小中一貫校・中高一貫校は、きちんと入口・出口につながるようにしてね!というメッセージです。

現在一貫校に勤務している筆者としては、現実的な問題なのですが、

最近ニーズの増えている小中一貫・中高一貫の学校も、「生徒が集まるから」という理由ではなく、明確な目標の設定をしなさいよ!という匂いがします。

(これは私の置かれている環境が、私にそう読ませているだけかもしれません)

 

⑤カウンセリング・キャリア教育も大事だよ!

もう、盛りだくさんです(笑)

集団指導のガイダンスも必要、一人ひとりのカウンセリングも必要。

キャリア教育も同様にガイダンスとカウンセリングが必要。

同意はしますが、すべての学校で実現可能かと言うと、難しいと思わざるを得ません。

ただ、1つ感じるのは、

「全ての生徒が高校・大学に進学する必要はない」というのが文科省の今後の方針だと思います。だから、キャリア教育をしっかりして、高専のような専門学校に通う道も模索しましょうね、という布石のような気がします。

  

◯おわりに

総則編だけで長くなってしまいました。

社会科の教科編、部活動やなどの特別活動編・・・あと2回は書きたい。。。