石井遊佳とは? わかりやすく解説

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いしい‐ゆうか〔いしゐイウカ〕【石井遊佳】

読み方:いしいゆうか

1963〜 ]小説家大阪生まれインド日本語教師として勤務する傍ら執筆活動行い、「百年泥(ひゃくねんどろ)」で新潮新人賞受賞し作家デビュー同作で、第158芥川賞受賞


石井遊佳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/05 13:41 UTC 版)

石井 遊佳(いしい ゆうか、1963年11月[1] - )は日本の小説家日本語教師

略歴

大阪府枚方市生まれ[2]大阪府立大手前高等学校早稲田大学法学部卒業[3]

大学在学中、文学研究会に所属して「小菅陽子」の筆名でいくつかの小説を書いた[4]。卒業後はアルバイトの傍ら習作を書き、20代の後半から投稿を始めた[5]草津温泉で仲居をしていた33歳のときに文學界新人賞の最終選考に残ったことから、その後大阪に戻って投稿生活を送る[5]。36歳のとき、仏教を学ぼうと東京大学文学部インド哲学仏教学専修課程に学士入学し、中国仏教を専攻[6][7][8]。修士3年のときにインド文学研究室の男性と結婚[6]。その後、同大学院(人文社会系研究科)の博士課程に進み、学会発表を終えるなどしたが、インドへの留学が決まった夫(サンスクリット語研究者石井裕[9])に帯同するため、5年半の研究を絶って満期退学[2][6]。その後は暑季を除き、3年ほどヴァーラーナシーで暮らした[6]

2009年に帰国して1年半から2年弱ほど朝日カルチャーセンターの小説講座に通い、『海燕』・『野性時代』の元編集長・根本昌夫の指導を受けた[6]東日本大震災のあと避難したネパールカトマンドゥで、日本語学校校長に頼まれて1年間にわか日本語教師を務めた[6]。帰国後、夫が日本語教師の学校に通い資格を取得[10]。2015年からは、求人があった南インドチェンナイにあるIT企業で、夫とともに日本語教師として働いた[8]

2017年、『百年泥』で第49回新潮新人賞を受賞[2]。2018年、同作で第158回芥川龍之介賞を受賞[2][8]。なお同時受賞の若竹千佐子も、同じく根本昌夫が教えていた別の小説講座(早稲田大学エクステンションセンター小説講座)の受講生だった[6][11]

芥川賞受賞ののち、チェンナイより帰国して作家に専念、2020年頃より大阪市内に在住[2][12]

単行本

  • 『百年泥』(新潮社、2018年1月 / 新潮文庫、2020年7月)
    • 初出:『新潮』2017年11月号
  • 『象牛』(新潮社、2020年9月)
    • 象牛 - 『新潮』2018年10月号
    • 星曝し - 『新潮』2020年4月号
  • 『ティータイム』(集英社、2025年6月)
    • ティータイム - 『すばる』2024年4月号
    • 奇遇 - 『すばる』2024年10月号
    • 網ダナの上に - 『すばる』2023年1月号
    • Delivery on holy night - 『すばる』2025年3月号

単行本未収録

小説

  • 「水妖生死奇譚」 - 『新潮』2022年12月号
  • 「かけこみ一番」 - 『新潮』2024年11月号

エッセイ・書評・その他

  • 「百年泥々」 - 『すばる』2018年2月号
  • 「時ならぬ事々──挿話」 - 『群像』2018年2月号
  • 「〈教訓〉について」 - 『文学界』2018年3月号
  • 「東大で仏教を学び、夫とインドへ」 - 『文藝春秋』2018年3月号
  • 「ダブル受賞者は同じ先生の生徒だった 先生、私たち芥川賞獲りました!」(若竹千佐子、根本昌夫との鼎談) - 『文藝春秋』2018年4月号
  • 「こんなことしてていいのか日記」 - 『すばる』2018年7月号 - 9月号
  • 「ベジ/ノンベジ話二題」 - 『新潮』2018年12月号
  • 「言葉の無力を打ち立てる、常軌を逸した言葉の力」(吉村萬壱『前世は兎』書評) - 『文學界』2019年1月号
  • Amyいわく 十九人の心に響いた恋愛にまつわる一節」 - 『文學界』2019年11月号
  • 「インドねこ女神さま」 - 『文藝春秋』2019年12月号
  • 「私と受験 小説家への夢、インドとの因縁、呪われた執拗さは入試で養われた」 - 『中央公論』2020年2月号
  • 「三島のロマン主義に思いを馳せる」(三島由紀夫『手長姫 英霊の声 1938-1966』書評)[13] - 『』2020年11月号
  • 「読書日録」 - 『すばる』2021年1月号 - 3月号
  • 「旅のおわり・小説のはじまり」 - 『新潮』2021年9月号
  • 「新しい神話」(村田喜代子『姉の島』書評) - 『文學界』2021年10月号
  • 「〈楽園〉のありか」(李琴峰『彼岸花が咲く島』書評) - 『新潮』2021年11月号
  • 古井由吉の文 三回忌に寄せて」 - 『新潮』2022年3月号
  • 「輪廻・唯識・世界――「『豊饒の海』論」を中心に」(平野啓一郎『三島由紀夫論』書評) - 『すばる』2023年9月号
  • 「世界は小説を書くために」(田中慎弥『流れる島と海の怪物』書評) - 『新潮』2023年10月号
  • 「〈影響〉という名の翼」(伊良刹那『海を覗く』書評)[14] - 『波』2024年4月号
  • 「創作縁起――「百年泥」のるつぼ」 - 『新潮』2024年6月号
  • 「〈孤独〉について」[15] - 『新潮』2024年8月号
  • 「三島由紀夫の文 『愛の渇き』」 - 『新潮』2025年2月号
  • 「〈我〉とは何か?」(円城塔『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』書評) - 『新潮』2025年2月号

脚注

  1. ^ 瀧井朝世 (2018年5月16日). “作家の読書道 第194回:石井遊佳さん その1「お寺の書架で読書にふける」 (1/6)”. 本の雑誌社. 2022年9月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e 『百年泥』著者プロフィール”. 新潮社. 2022年9月3日閲覧。
  3. ^ 早稲田大学法学部ホームページ. 2018年1月23日閲覧。
  4. ^ 瀧井朝世 (2018年5月16日). “作家の読書道 第194回:石井遊佳さん その3「幻の第一作、ご一報求む」 (3/6)”. 本の雑誌社. 2022年9月3日閲覧。
  5. ^ a b 瀧井朝世 (2018年5月16日). “作家の読書道 第194回:石井遊佳さん その4「本格的に小説を書き始める」 (4/6)”. 本の雑誌社. 2022年9月3日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g 瀧井朝世 (2018年5月16日). “作家の読書道 第194回:石井遊佳さん その5「仏教を学ぶ&インドへ」 (5/6)”. 本の雑誌社. 2022年9月3日閲覧。
  7. ^ 石井遊佳「私と受験」『中央公論』2月号、中央公論新社、2020年、113頁。
  8. ^ a b c “芥川賞に若竹千佐子さんと石井遊佳さん 直木賞に門井慶喜さん”. 東京新聞. (2018年1月17日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011702000130.html 2018年1月20日閲覧。 
  9. ^ 石井裕「妻・石井遊佳の芥川賞受賞に想う」『新潮』2018年4月
  10. ^ 瀧井朝世 (2018年5月16日). “作家の読書道 第194回:石井遊佳さん その6「チェンナイでの執筆と読書」 (6/6)”. 本の雑誌社. 2022年9月3日閲覧。
  11. ^ 文藝春秋:平成三十年四月一日 四月号』文藝春秋、2018年、194-195頁。
  12. ^ “荒唐無稽な物語に通底する「現実への懐疑」 石井遊佳さん芥川賞受賞第1作「象牛」”. 毎日新聞. (2020年12月20日). https://mainichi.jp/articles/20201218/k00/00m/040/190000c 2022年2月13日閲覧。 
  13. ^ 『手長姫 英霊の声―1938-1966―』 三島由紀夫”. 新潮社. 2024年10月6日閲覧。
  14. ^ 〈影響〉という名の翼 伊良刹那『海を覗く』”. 新潮社. 2024年10月6日閲覧。
  15. ^ 子供の頃の妄想を「非常識」と糾弾された作家が、『百年の孤独』を読んで手に入れた想像力とは?”. 2024年10月6日閲覧。


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