室井光広とは? わかりやすく解説

むろい‐みつひろ〔むろゐ‐〕【室井光広】

読み方:むろいみつひろ

[1955〜2019小説家文芸評論家福島生まれ図書館司書予備校講師経て文筆の道に入る。「おどるでく」で芥川賞受賞。他に小説猫又拾遺」「そして考」「あとは野となれ」、評論に「零の力」「縄文の記憶」など。


室井光広

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/10 03:24 UTC 版)

室井 光広(むろい みつひろ、1955年1月7日 - 2019年9月27日)は、日本小説家文芸評論家

来歴

福島県南会津郡下郷町出身。生家は農家

福島県立会津高等学校から早稲田大学政治経済学部に入学するが、理数音痴のために行き詰まり、演劇に興味を持ち始める。ドストエフスキーに熱中した後にキルケゴールに関心を持ち、帰郷してデンマーク語を独習する。ロンドンから取り寄せたテープでアンデルセン童話を聞く。21歳のとき、早稲田キャンパス新聞主催の第8回キャンパス文芸賞にドストエフスキー論で入選(選考委員は秋山駿)。慶應義塾大学文学部に再入学し、哲学科を卒業。在学中は慶應義塾外国語学校ロシア語を学び、東アジア諸国の言語も独習する。卒論ミシェル・フーコー

拓殖大学図書館司書として勤めているときにホルヘ・ルイス・ボルヘスに出会い、俳句短歌評論小説などを書き始める。図書館を退職して32歳から主夫生活を送る。

1988年、「零の力 J.L.ボルヘスをめぐる断章」で第31回群像新人文学賞(評論部門)受賞[1]。1991年、駿台予備学校英語科講師として就職。このときの同僚に今井宏がいる。同年、『群像』に「猫又拾遺」を発表し、小説家としてもデビュー。1994年、「おどるでく」で第111回芥川龍之介賞受賞[1]。同作の単行本は芥川賞受賞作史上最低の売れ行きで、文庫化もされなかった[2]。しかし、田中和生には「とても光栄なことでは」との言葉をもらう。

1995年、東京工業大学で講義を担当。1998年、立教大学で講義を担当。2001年、慶應義塾大学・久保田万太郎講座や早稲田大学で講義を担当。2006年、東海大学文学部文芸創作学科助教授。同年より神奈川県大磯町西小磯に在住。2007年准教授。

2011年の東日本大震災を機に商業的な執筆活動を終了する。2012年、東海大学退職。文学塾てんでんこを立ち上げ、主宰となる。

2019年9月27日、死去[3]

作品リスト

  • 『漆の歴史 - history of Japan』(私家版詩歌句集、1988年、限定2部。1996年再刊、限定12部)
  • 『猫又拾遺』(1994年4月、立風書房
    • 「猫又拾遺」(「群像」1991年10月号)
    • 「あんにゃ」(「群像」1992年9月号)
    • 「かなしがりや」(「群像」1993年8月号)
  • 『おどるでく』(1994年7月、講談社
    • 「おどるでく」(「群像」1994年4月号)
    • 「大字哀野」(「群像」1994年8月号)
  • 『そして考』(1994年9月、文藝春秋
    • 「そして考」(「文學界」1994年4月号)
    • 「ヴゼット石」(「文學界」1994年9月号)
  • 『零の力』(1996年3月、講談社)
    • 「零の力 - J・L・ボルヘスをめぐる断章」(「群像」1988年6月号)
    • 「木乃伊取り - 実践的批評について」(「群像」1989年2月号)
    • 「靈の力 - エズラ・パウンドを思う」(「群像」1991年9月号)
    • 「批評家失格という事 - 初期小林秀雄の可能性」(「群像」1992年11月号)
    • 「声とエコーの果て - 新三位一体論」(「群像」1995年4月号)
  • 『縄文の記憶』(1996年8月、紀伊國屋書店
  • 『あとは野となれ』(1997年、講談社、初出「群像」1997年4月号)
  • キルケゴールアンデルセン』(2000年、講談社)
  • カフカ入門 - 世界文学依存症』(2007年、東海大学出版会)
  • ドン・キホーテ讃歌 - 世界文学練習帖』(2008年、東海大学出版会
  • プルースト逍遥 - 世界文学シュンポシオン』(2009年、五柳書院)
  • 柳田国男の話』(2014年、東海教育研究所)
  • 『わらしべ集』乾の巻、坤の巻(2016年、深夜叢書社)
  • 『詩記列伝序説』(2020年、双子のライオン堂出版部)
  • 『多和田葉子ノート』(2020年、双子のライオン堂出版部)
  • 『おどるでく - 猫又伝奇集』 (2023年、中公文庫)
  • 『エセ物語 (対抗言論叢書)』 (2023年、法政大学出版局)(「三田文学」2008年秋号から12回の連載、その後「てんでんこ」連載)

単行本未収録作品

  • 「ナワの回転」(「群像」2003年1月号)

翻訳

脚注

  1. ^ a b 室井光広氏死去/作家、文芸評論家”. 四国新聞社. 2023年8月15日閲覧。
  2. ^ 芥川賞を読む 第13回 『おどるでく』室井光広”. WEB第三文明. 第三文明社 (2021年12月25日). 2023年8月15日閲覧。
  3. ^ “作家の室井光広氏死去”. 時事ドットコム. (2019年10月1日). https://web.archive.org/web/20191208023036/https://www.jiji.com/jc/article?k=2019100100909&g=obt 2019年10月1日閲覧。  {{cite news}}: |accessdate=|date=の日付が不正です。 (説明)

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