悪性度(あくせいど)
悪性度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 06:57 UTC 版)
一般に、脳腫瘍における病理組織学的な悪性度も、組織型の分類と同じくWHOによる分類法が利用されており、悪性度が最も低いGrade Iから悪性度が最も高いGrade IVまでの4段階に分類して個々の腫瘍と対比している。この悪性度と発生部位には関連性があり、一般に脳外 (Extra-axial) の場合は比較的良性の場合が多く、逆に脳内 (Intra-axial) の場合は悪性である可能性が高い傾向にある。WHOのGrade Iとは限局性で良性、Grade IIとは浸潤性であるが低悪性(細胞異型のみ)、Grade IIIとは退形成性(細胞異型と核分裂像)、Grade IVは悪性(細胞異型、核分裂像に加え、微小血管増生、壊死)である。このGradeは予後に相関すると考えられており、治療法の選択に影響する。 ただし、脳腫瘍はその発生場所が、脳という人間の思考・人格や各臓器のコントロールを司る器官であり、かつ丈夫な頭蓋骨に囲まれた狭い場所であるという特殊条件ゆえに、前述の病理学的なものだけで判断するのは好ましくなく、臨床的な立場で悪性度を考える必要がある(例えば、病理学的にはGrade I=良性腫瘍であっても、頭蓋内圧亢進から脳ヘルニアを起こして致命的となりうる)。すなわち、腫瘍の発生部位、大きさ、浸潤性(後述)であるかどうか、放射線もしくは薬剤に対する反応性などを考慮する必要性がある。なお、脳腫瘍には基本的には病期 (Stage) という概念は存在しない。 浸潤性 浸潤性(しんじゅんせい)とは腫瘍の成長の仕方のひとつで、周囲の正常組織に分け入って、あたかも正常細胞を腫瘍細胞に置き換えていくように成長することをいう(対義語が「膨脹性」あるいは「圧排性」で、周りの組織を機械的に押しのけながら成長するのみであることをいう)。すなわち、腫瘍と非腫瘍の境界が不明瞭であるため、この特性を持った腫瘍を全摘出しようとすると、同時に腫瘍の周囲にある正常な細胞組織をも摘出しなければならないことになる。言い換えれば、腫瘍の全摘出が極めて困難であることを意味する。 退形成 退形成(たいけいせい)とは腫瘍細胞の分化度がより未分化であることを示している。未分化であるほど増殖速度が早く、また特異的マーカーに乏しく治療しにくいと考えられている。
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