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  • 2024/08/02 掲載

BYD次の一手は「日本車キラー」、超肝入りPHEV技術「DM-i」がトヨタすら脅かす

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BYDが日本に進出して1年半が経過した。その業績は極めて微妙だが、「BYDの日本進出は失敗」と結論づけるのはやや早計である。その理由は、近い将来、BYDが日本市場に投入することが予測されるPHEV(プラグインハイブリッド車)にある。同社はこれまで、「DM-i」と呼ばれるPHEV技術に注力してきたが、その性能は日本市場に大波乱を呼ぶ可能性がある。「日本車の強敵」の実力とは。
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BYDの次の一手が、日本市場に大波乱を巻き起こす……
(Photo/Cobalt S-Elinoi/ricochet64/Shutterstock.com)

日本進出から1年半、BYDの車はどれくらい売れた?

 中国の新エネルギー車メーカー「BYD」が日本に上陸をして1年半が経過した。

 2023年の販売台数は1446台であり、成功だったのか失敗だったのか微妙な数字だ。「中国の車など怖くて乗れない」という拒否感を持つ人が多い日本市場を考えればよくやっていると言えるし、BYDが目標としている「日本の新エネルギー車市場で一定程度のシェアを獲得する」から考えるとかなり寂しい数字だ。

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図1:日本における輸入車の新車登録台数の推移
BYDはフェラーリとほぼ同じ程度の売れ行き。テスラは販売台数を公開していないが、輸入車の新車登録台数の「その他」は、ほとんどがテスラであると推測できる

1ページ目を1分でまとめた動画
 2023年の日本のEV市場でのBYDのシェアはわずか3.29%にすぎない。「中国と日本でNo.1の新エネルギー車」という勲章を得てアジア圏に展開するためには、数字が1桁小さいのではないだろうか。

 BYDは、バッテリー製造から出発をした企業で、バッテリー技術に強みがある。「低コストで寿命が長く安全性が高いが、エネルギー密度が低い」という特徴を持つリン酸鉄系リチウムイオン電池の構造を工夫して、実質的なエネルギー密度を高めることに成功した「ブレードバッテリー」が核心技術になっている。

 これにより、他メーカーを圧倒する性能と価格のBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)を発売し、中国のNEV(New Energy Vehicle:新エネルギー車)市場を牽引している。

 しかし、実はBYDの強みはもう1つある。

バッテリーだけじゃない、BYDが中国EV市場を制せた「技術」

 その強みとは、意外なことにガソリンエンジンだ。BYDが発売しているPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:プラグインハイブリッド車)「秦L」「SEAL 06」に採用されている1.5Lエンジンは、「熱効率46.06%という世界最高水準を達成した」と発表している。

 この高効率エンジンを採用したPHEVは、中国でも売れている。BEVとPHEVの両方が売れることで、BYDは中国のNEV市場でNo.1メーカーの地位を築いた。


 日本には、トヨタをはじめとするHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド車)があり、特にトヨタのTHS(Toyota Hybrid System)は、20世紀の日本を代表する発明の1つだ。枯れた技術であった遊星歯車を洗練させ、エンジン動力とバッテリー動力をシームレスに合成するという機構は、日本のものづくりならではの技術によるものだ。

 しかし、現在世界が挑戦しているのはCO2をまったく排出しないZEV(Zero Emission Vehicle:ゼロ排出車)であり、HEVは2035年以降、日本を除く先進国では販売規制される運命にある。

 その代替として注目をされているのがPHEVだ。

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次のページ以降では、BYDのPHEV技術を図解で深堀しつつ、燃料車・HEV(トヨタアクア)・PHEV(BYD SEAL 06)・BEVそれぞれの燃料代を算出して、BYDの技術力を検証します
【次ページ】【図解】BYDのPHEV技術「DM-i」とは?驚きの燃費はどう実現?
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