今回購入できたマニアックな魚の中でも、一番の収穫といえるのがこの
ハダカイワシ(サガミハダカ)。
昔「ざざむし」で見て以来ずっと食べてみたいと思ってきたが、30歳直前にしてついに初のご対面を果たすことができた。
イワシ…ではない深海魚
顔はカタクチイワシに似ているが、体表はずるんずるんにずる剥けていて、腹部に黒銀の斑点が散らばっている。
大きくても10㎝ほどの小魚だ。
ハダカイワシの仲間はイワシ(ニシン目)とはまったく異なる「ハダカイワシ目」というグループに属し、昼間は深海、夜間は表層と鉛直移動を繰り返しながらプランクトンを食べて暮らしている。
そう、このケッタイな見た目は深海性によるものなのだ。
腹部の斑点は発光器で、深海にいる際には上から来るわずかな光に自分の陰を同調させて、捕食者から姿を隠すのに役立っている。
ずる剥けなのは鱗が非常に剥がれやすいせいで、生きているときは普通の魚のような見た目をしていると思われる。
深海といえば隣の駿河湾が「世界で一番深い湾」として有名だが、相模湾も「相模トラフ」という海盆が延びておりかなり深い。
そのため定置網に深海魚が入ってくることがある。
深海魚はまだまだ研究が進んでおらず、正体不明のものや捕獲例が少ないものも沢山ある。
そういった魚とも出会えるのがここの朝市の大きな魅力の一つなのだ。
「ヤケド」の刺身
さてこのハダカイワシ、太平洋岸では利用している地域がいくつかあるのだが、特に知られているのが高知。
そこではそのずる剥けな見た目から「ヤケド」と呼ばれており、干物などで食べられている。
今回購入するときも、直売所のお姉さんに「ハダカイワシは焼いて食べるとうまいよ!」と言われたので試してみることにした。
しかし小魚で深海魚とはいえ、いくつかの個体は特に新鮮で腹も破れておらず、身もしっかりしている。
これは…生いけるんじゃないの?(゜∀゜)
と言うことで小さいながら3枚下ろしにし、
半身ずつの刺身にしてみた。
(゜~゜*)…
おお、これは美味!
まったりとして脂が甘く、歯ごたえも意外にしっかりしている。
というか…脂…すごすぎじゃね?
ちょっといやな予感がして調べてみると、やはりハダカイワシの脂はワックスエステルが主成分、つまりバラムツやアブラソコムツの脂と同じものなのだ。
在りし日の悪夢が蘇る…
というわけで刺身で食べまくるのはオススメできない。
「ヤケド」のファイアー
やはりここは産地に倣って焼いて食べてみよう。
焼くとワックス、もとい脂がどんどん流れ出てちょっと怖くなるw
でも本体の方は自らの脂でじゅうじゅうになり、まるで素揚げしたみたいだ。
食べてみると…
(≧~≦)
サクサクして美味しい!
特に塩など振っていないのに塩気があって、中骨や頭の骨も全く感じさせない。
こいつぁ止まらねぇ!
でもワックス怖いから10匹で止める!
味:★★★★★
価格:★★★☆☆
深海のキケンな脂が美味い
というわけでまたも禁断のワックスエステル魚に手を出してしまった。
とはいえバラムツやアブラソコムツと違って販売・流通が禁じられているわけではないので、危険性は遥かに低いのだろう。(サイズが小さいのも関係しているのでは)
入り会い箱に入っていて価格も手ごろ、今後も見かけたら即買い間違いなしだ。
コメント
初めまして ハダカイワシに含まれているワックスは食用にする際には
全く問題ないと静岡県水産技術研究所が報告していますよ
http://fish-exp.pref.shizuoka.jp/04library/4-7/pdf_hekisui/hekisui_no143.pdf
コメントありがとうございます!
おお、これはありがたいレポートですね。なるほど、イクラやタラコなどの魚卵よりも少ないと…
これならば量を気にせず食べられそうですね。
最近は片瀬漁港でも一押しの魚になっているようなので、今後も見つけたら即買いで良さそうです。