「やり切った感はあったので」。浦和の橋本直哉騎手(43)が引退した。今年いっぱいと決めていたという。騎手人生は「ひと言で言うなら楽しかった。重賞も勝たせてもらって、去年は浦和リーディングも取らせてもらった」。当初は最後に浦和で乗り、あと4勝に迫っていた地方通算500勝を達成したいと考えていたが、11日の川崎7Rで左足の小指を骨折しながら5着。結果的にそれが最後の騎乗となってしまった。
19年にノブワイルドでプラチナCを制した。「あの日の出来事は忘れられないですね」。デビュー21年目での初重賞制覇に「自分が泣く前にみんなが泣いてくれていた」と振り返る。その思い出のパートナーが早世。20日に訃報を知り、最期を迎えた茨城県の乗馬クラブに急行。「おつかれさま」と花を手向けてきた。
25年8カ月の現役生活に未練はないという。「馬に乗ることしかできない。今後は小久保厩舎のスタッフとして働くので、寂しさはないです」。調教専門厩務員に立場は変わるが「浦和を代表する馬を作れるように」。これまで通り調教には乗り続ける。【牛山基康】