昼ご飯は基本的に食べない主義だと以前に書いた記憶があるけれど、ゴルフ場へ行くとその掟はいともたやすく破られる。
たいていのゴルフ場では午前のハーフラウンドを終えたあと、クラブハウスで食事をするために一時間近くの休息を取り、また午後のラウンドに出て行くというのが通例となっている。たまに昼の休憩時間を取らずに十八ホール一気にラウンドすることがないわけではない。朝のスタートを七時台にした場合、ハーフを終えた時点でまだ午前十時頃。ここで昼ご飯を食べるのはなんとも早過ぎる。ならば休憩を端折ってそのまま後半の九ホールを回り、すべてのラウンドを終えたのち、「クラブハウス、あるいは帰り道のどこかで昼ご飯を食べましょうか?」と同伴者の同意を得た場合、そういう流れになることもあるということだ。
とはいえ、いずれにしろ昼ご飯は食べることになる。
前半ハーフを終え、洗面所で手を洗い、クラブハウスのレストランへ入る。テーブルに着き、メニューを広げる。
「飲み物はどうします?」
そう問われた途端にカサカサと喉がビールの到来を心待ちにする。
「僕たちはみんな、ビールにしましたが」
そうだよなあ。やっぱりビールでしょう。でも、後半のラウンドでフラフラしちゃうかもしれない。スコアの不調を挽回するためにも、ここは我慢のしどころか。よし、お茶にしよう。いや、ノンアルだったら酔わないかなあ。でも飲みたいなあ……。
「どうします?」
「ビール!」
「ノンアルコール?」
「いえ、普通のビールを小ジョッキで!」
結局、そういうことになる。
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