ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

『サラ金の歴史』小島庸平 サラ金業界の勃興から隆盛、壊滅に至るまでを概観する

新書大賞2022大賞受賞作品 2021年刊行。筆者の小島庸平(こじまようへい)は1982年生まれの経済史学者。東京大学経済学研究科の准教授。 本書は2021年の2021年度の第43回サントリー学芸賞を受賞。更に、2020年12月~2021年11月に刊行された新書を対象とした…

『幕末単身赴任 下級武士の食日記』青木直己 食レポ日記から幕末の江戸を知る

幕末の世相を「食」から読み解く 2005年の刊行。最初はNHK出版の生活人新書からの登場であった。 筆者の青木直己(あおきなおみ)は1954年生まれ。有名和菓子店虎屋の研究部門、虎屋文庫で和菓子に関する調査、研究に従事されていた方。虎屋クラスの企業にな…

『決算書のトリセツ』前田忠志 決算書くらいは読めるようになりたいあなたに

決算書が読めないコンプレックスをなんとかしたい 社会人一年目頃、研修の一環として簿記三級の資格を取りましょうという勉強会があった。最初の何回かだけ通ったものの、あとは日々の忙しさにかまけて脱落してしまった。同期で、ちゃんと合格したのは経理配…

『徒然草』兼好・島内裕子訳/校訂 日本三大随筆のひとつを現代語訳と併せて通読できる

あけましておめでとうございます。 今週のお題「2024こんな年だった・2025こんな年にしたい」に便乗。 昨年は大河ドラマの影響で、平安時代や日本の古典文学に沼った一年だった。その影響は今年も続く予定。その一環として、本日はこちらの作品をご紹介した…

『著作権ハンドブック』宮武久佳・大塚大 学校現場での著作権利用について知りたい方に

知財の専門家が書いた学校著作権の本 2021年刊行。筆者の宮武久佳(みやたけひさよし)は1957年生まれ。共同通信の記者、デスクを経て、横浜国立大学の教授に。現在は東京理科大学教養教育研究院の教授。記者から大学教授に転身された方。もう一人の筆者、大…

『ヨハネ受難曲』礒山雅の遺稿となった入魂の「ヨハネ」考察本

礒山先生の遺作 2020年刊行。筆者の礒山雅(いそやまただし)は1946年生まれの音楽学者。残念ながら2018年に不慮の事故で亡くなられている。 遺稿となったのが本書で、国際基督教大学名誉教授である伊東辰彦(いとうたつひこ)が校訂し刊行にまでこぎつけて…

『女たちの平安後期―紫式部から源平までの200年』榎村寛之 藤原詮子、彰子からはじまった女院権力の変遷

平安時代の後期を概観 2024年刊行。筆者の榎村寛之(えむらひろゆき)は1959年生まれの研究者。三重県立斎宮歴史博物館で学芸員を務めている方。 中公新書としては2017年の『斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史』、2023年の『謎の平安前期―桓武天皇から『源氏…

『「働かないおじさん問題」のトリセツ』難波猛 「働かないおじさん」問題を解決する方法を考える

「働かないおじさん」はいつごろから登場したのか 近年、目にすることが多くなったこの言葉だが、いつごろから言われ始めたのか、軽くググってみたところ、比較的古い記事では東洋経済のこちらが発見された。人事コンサルタント楠木新(くすのきあらた)によ…

『刀伊の入寇 平安時代、最大の対外危機』関幸彦 女真族の襲来と軍事貴族たちの台頭

三年前の記事ですが、大河ドラマ『光る君へ』で、刀伊の入寇が映像化されるようなので、上げておきます。刀伊の入寇のようなマニアックなイベントがドラマ化されるとは!その場に紫式部が居たとは思えないけど、今年の大河ドラマは面白いです。 平安時代の異…

『更級日記』菅原孝標女・江國香織訳 『源氏物語』に憧れた女の一生

河出文庫古典新訳コレクションの一冊として 2016年刊行作品。先日ご紹介した『土左日記』と同様に、池澤夏樹(いけざわなつき)による個人編集版「日本文学全集(全30巻)」の第3巻に収録されている作品。『更級日記』『土左日記』以外に、『竹取物語』『伊…