検索クエリ の機能では、クリック数やクリック率など、アクセス解析ツールで馴染みのある指標が表示されているため、「アクセス解析ツールとどう違うかわからない」という声を聞きます。検索クエリでは、サイトに訪問したユーザーのログ等を解析するアクセス解析ツールとは違い、サイトに訪問していないユーザーの、Google 検索での挙動を知ることができます。特に検索結果でのクエリごとの表示回数や平均掲載順位は他のツールでは確認することのできない非常に重要な指標です。表示回数の多いクエリなどを分析してみると、これまでに見えなかった改善点などが見つかるかもしれません。


ウェブマスター ツールに届くメッセージは必ず対応して再審査リクエストを送らないといけない?



ウェブマスター ツールのメッセージセンターには、ガイドライン違反があった場合の通知や、Google がクロールする中で発見した変化など、様々な情報をお送りしています。再審査リクエストをお送り頂く必要があるのは、ウェブマスター向けガイドライン に違反していることにより、手動の対策がされたというメッセージに対してだけです。Google が検知した変化についてのお知らせなどは、再審査リクエストをお送り頂く必要はありません。例えば ソフトウェアのアップデートをおすすめする通知 は、ページ上で使用しているソフトウェアやプラグインについてアップデートできることを検出した際にお伝えしているものです。古いバージョンを使い続けることが大きな問題とならない場合もありますが、脆弱性に関連する場合もありますのでお伝えしています。こうしたメッセージについては、再審査リクエストをお送り頂く必要はありません。

また、そうしたお知らせから普段気づかないサイトの兆候に気づくことがありますので、何かあった際にすぐに気づくように、メールの転送設定 をオンにしておくことをお勧めします。


ウェブマスター ツールはドメイン単位でしかサイトの追加ができない?

ウェブマスター ツールは次の例のように、ドメイン単位ではなくサブドメインやサブディレクトリ単位でも追加可能です。
例)
example.com/
www.example.com/
foo.example.com/
www.example.com/foo/bar/

また、ウェブマスター ツールは管理者権限だけでなく、閲覧専用のアクセス権限など、アクセス権限を制限して設定する こともできますので、ウェブ担当者だけでなく、マーケティング担当者や営業担当者、PR 担当者など、ウェブ部門以外の関係者にも担当するコンテンツをディレクトリやサブドメインなどで区切って共有することをお勧めします。


Google が提供するリンクの情報は正確ではない?


外部のサイトからのリンクはあなたのサイトの評判を確認する良い手段です。ウェブマスター ツールでは、サイトへのリンク を使って外部からのリンクを確認することができます。「最新のリンクをダウンロードする」機能を使って最新のリンクデータを時系列でダウンロードできますので、定期的に、新規に発見されたリンクを確認することをお勧めします。

しかし時々、このサイトへのリンクのデータがあてにならない、という声を聞きます。調べてみますと、http://www.example.com/ でウェブマスター ツールに登録しているウェブマスターが、http://example.com/ では登録してないことが原因でした。一般的に http://www.example.com/ と http://example.com/ は同じコンテンツを掲載するケースが多いようですが、この www を含むバージョンと www を含まないバージョンの 2 つの URL は技術的には 2 つの異なるページであり、それぞれ異なるコンテンツを掲載することができます。そのため、http://www.example.com/ しかウェブマスター ツールに登録していない場合は、http://example.com/ へのリンクはサイトへのリンクには表示されませんのでご注意ください。www あり/なしの 2 つのバージョン両方へのリンクを確認するには、両バージョンのサイトをウェブマスター ツールに登録し、使用するドメイン で、検索結果に優先的に表示させたいバージョンを指定してください(ただし、適切に設定した場合でも、Google が把握しているすべててのリンクが表示されているとは限りませんのでご注意ください)。

※ブログ記事「サイトの制作や集客を外注しているサイトオーナーのみなさまへ」でもご紹介した通り、サイトの制作を依頼した業者によって、依頼した内容を越えて何の告知もなくガイドラインに違反したサイトへのリンクが設置されるような事例もあるようです。サイトの制作や集客を外注されている方は定期的に、頻繁にリンクを確認されることをお勧めします。

今回お伝えした内容はみなさんご存知でしたでしょうか?他にもまだ試したことのない機能があるかもしれませんので、改めてウェブマスター ツールをひと通り試して頂ければと思います。その際にわからない機能等ありましたら、ヘルプページ をご覧頂くか、ウェブマスター ヘルプフォーラム のウェブマスター ツールのカテゴリでご質問ください。

今回この記事を作成するにあたって、ウェブ マスターヘルプフォーラムの トップレベル ユーザー のみなさまからは色々アドバイスを頂きました。トップレベル ユーザーのみなさま、ありがとうございました!


今回のサイト クリニックは NPO の方だけでなく、一般のウェブマスターの方にも役立つ内容だと思いますので、当日の様子をご紹介します。今回はいくつかの参加団体のサイトを題材に、Google 検索と相性の良いサイト運営を行う上での 5 つの基礎ポイントについて確認し、ベストプラクティスや改善点などをご紹介しました。


「Google 検索と相性の良いサイト運営: 5 つの基礎ポイント」の紹介

「5 つの基礎ポイント」は Google が提供している 検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド の第 1 章にも掲載されている以下のポイントをご紹介しました。

  1. 質の高いコンテンツを提供しよう
  2. 適切なページ タイトルを付けよう
  3. description メタ タグを設定しよう
  4. URL の構造を改善しよう
  5. ナビゲーションをわかりやすくしよう
初歩的な項目が並んでいるように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、サイトの情報を検索ユーザー、検索エンジンにきちんと伝える上でどれも非常に重要なポイントです。「うちのサイトは当然大丈夫だ」と思われている皆さまも、ぜひもう一度確認してみてください。

ここでは概要と、当日参加された NPO のサイトからのベストプラクティスをご紹介したいと思います(各項目についての詳細は 検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド をご覧ください)。

  1. 質の高いコンテンツを提供しよう
    「質の高いコンテンツ」というと、「自分達のサイトのコンテンツって質が高いかな」と不安に思われる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、様々な社会問題の現場で活動されている NPO の皆さまは、既に多くの有益なコンテンツをお持ちであることが多いと考えられます。実際に今回イベントに参加された NPO の皆さまのサイトにも、環境保全や災害支援、海外協力など様々な分野での取り組みを通じたユニークで貴重な情報が溢れていました。では、こうした貴重で質の高いコンテンツを、検索エンジン経由で多くの人達に届けるにはどうしたらよいでしょうか?それには、団体のサイト上にあるコンテンツを、ユーザーにも、検索エンジンのクローラー(Googlebot など) に対してもわかりやすい形で整理し、提供することが重要となります。そうした情報を整理する作業は、検索エンジン最適化(SEO) の基本の 1 つです。

  2. 適切なページ タイトルを付けよう
    ページ タイトル は、いわばページの表札のようなものですので、サイトの訪問者と検索エンジンの双方にそのページのトピックが何であるかを伝えるよう設定します。 国際人権 NGO アムネスティ日本 (以下、団体名敬称略)のサイトや スペシャルオリンピックス日本 のサイトのように、そのページにどのようなコンテンツが含まれているかを簡潔に示すページ固有のタイトルが付いていると、それぞれのページのトピックが検索ユーザーにも検索エンジンにもわかりやすくなります。複数のページで同じページ タイトルを使いまわすのは避けましょう。また、タイトルが長すぎると検索結果にはその一部しか表示されなくなります。NPO のサイトの場合、団体名をタイトルに含める際に「特定非営利活動法人」や「公益財団法人」など法人格も含めるとタイトルが長くなり、一部切れてしまう傾向が見られました。何をユーザーに伝えたいか、法人格を入れる必要性のあるページとはどんなページかなどについて検討の上、タイトルを設定していくことが重要です。
    *そのページが検索キーワードと関連性が高いものであると気づいてもらうため、Google では、代わりのページ タイトルを生成するアルゴリズムを利用することがあります(関連ブログ記事)。


  3. description メタ タグを設定しよう
    description メタ タグ とは、Google やその他の検索エンジンにページの概要を伝えるもので、Google 検索ではスニペット(検索結果ページでタイトルの下に表示されるテキスト、説明文)の情報として利用する可能性があります。ページ タイトルと同様、ユーザーが閲覧するページを決める際に参考にする重要な情報となりますので、そのページの内容を簡潔にまとめ、それぞれのページに固有の description メタ タグを設定しましょう。 国際ボランティア NGO NICE のサイトでは、例えば トップページワークキャンプ情報のページ でそれぞれ異なる、ページ固有の簡潔な description メタタグが設定されています(description メタ タグは各ページのソースから確認が可能です)。

    トップページ の description メタ タグ
    <meta name="Description" content="初めてでも一人でも大丈夫♪国際ボランティアに興味のある学生や社会人にオススメ!NICEでは日本全国・海外約100ヶ国の短長期の国内海外ボランティア募集情報を公開!">
    

    ワークキャンプ情報のページ の description メタ タグ
    <meta name="Description" content="国際ボランティアNGO NICE(ナイス)が提案する国内の国際ワークキャンプ最新情報">">
    
    

  4. URL の構造を改善しよう
    URL の構造を考える際に、コンテンツのカテゴリや、ファイル名に説明的な名前を利用することは、検索エンジンがそれらのドキュメントを理解しやすくなることにもつながります。また、ページの URL は Google の 検索結果にも表示され、ページ タイトルやスニペットと同様、ユーザーの検索キーワードが URL に含まれていた場合、その部分が太字で表示されます。そこで、”page1.html” のような一般的なファイル名ばかりになっていないか、ディレクトリ構造が過度に複雑になっていないかなど、今後ページが増えて対処困難になる前に、一度現状を整理し、ファイル名のつけ方やディレクトリ構成について運用ルールを作っておくことをお勧めします。特に複数のメンバーによってコンテンツを更新している団体の皆さまに有効でしょう。以下の URL 群は 国際協力 NGO シャプラニール のサイトの URL 構造の一部を書き出してみたものです。URL からページの内容が想像できるくらい各ディレクトリ、ファイル名が明確で、かつディレクトリ構造が適切に整理されていることがわかります。

    http://www.shaplaneer.org/
                          :
    http://www.shaplaneer.org/about/
    http://www.shaplaneer.org/about/access.html
    http://www.shaplaneer.org/about/articles.html
    http://www.shaplaneer.org/about/conference.html
    http://www.shaplaneer.org/about/history.html
    http://www.shaplaneer.org/about/history_table.html
    http://www.shaplaneer.org/about/media.php
    http://www.shaplaneer.org/about/message.html
    http://www.shaplaneer.org/about/mission.html
    http://www.shaplaneer.org/about/outline.html
                          : 
    http://www.shaplaneer.org/about/report/2008annual.pdf
    http://www.shaplaneer.org/about/report/2009annual.pdf
    http://www.shaplaneer.org/about/report/2010annual2.pdf
    http://www.shaplaneer.org/about/report/2011annual.pdf
                          : 
    http://www.shaplaneer.org/activity/india/drcsc.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/india/map.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/india/parichiti.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/india/projectnews.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/india/top.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/nepal/basic_info.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/nepal/children.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/nepal/children_situation.htm
    http://www.shaplaneer.org/activity/nepal/csd.htm
                          :  

  5. ナビゲーションをわかりやすくしよう
    サイトのナビゲーション(ページ間の誘導経路)をわかりやすく整理することは、ユーザーが迅速に目的のコンテンツにたどり着けるようにするために重要です。また、検索エンジンにとっても、ウェブマスターがどのコンテンツを重要と考えているのかを理解するのに役立ちます。
    ナビゲーションの設定としてまず最初にお勧めするのは「トップページからそれぞれのページにスムーズにたどり着けるか」ということを確認してみることです。そして、サイトマップ(HTML 形式、XML 形式 両方)や パンくずリスト を作成することで、ユーザーにとっても Googlebot にってもサイトの構造をわかりやすく示すことが可能です。また、かものはしプロジェクト のサイトのように オリジナルの 404 ページ を用意しておくことも、リンク切れや消去したページを訪れたユーザーの混乱(そしてサイトからの離脱)を防ぐ上で有効です。

以上、Google 検索と相性の良いサイト運営を考える上での 5 つの基礎ポイントについて、ダイジェストでご案内しました。具体例として紹介することにご快諾いただいた NPO の皆さま、ありがとうございました。
イベントの際にも「実際のサイトの具体例があることで、自分の団体のサイトの改善ポイントがクリアに見えた」といった感想を頂くことができましたが、このブログ記事が様々な分野で活動されている NPO の皆さま、そして多くのウェブマスターの皆さまにとって少しでもお役に立ちましたら幸いです。

ご意見、ご感想などありましたら、ウェブマスター ヘルプフォーラム までお寄せください。




    ある特定のエラーの意味がよく分からないときは、その項目にカーソルを合せると、簡単な説明を読むことができます。「 詳しくはこちらをご覧ください。」とあるリンクをクリックすると、さらに詳細な情報を閲覧できます。


    この機能の改善により、[サイト エラー] の項目からより詳しい情報を得ることが可能になります。サイトを万全の状態に維持するのに少しでもお役に立てば幸いです。この記事に関するコメントやご質問は、ウェブマスター ヘルプフォーラム までお寄せください。


    Original version: Site Errors Breakdown