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May 16, 2021

80歳になった時こんな風にしていたいー森山大道「過去はいつも新しく、未来はいつも懐かしい」

森山大道の映画と写真展。渋谷PARCO。予想に反してコロナ的満席。しかも若い人達が多勢来ていて熱気ある会場。

言うまでもなく生きるレジェンドだが、これまで森山さんの肉声を聞いたことはほとんどなかった。想像を遥かに超える素晴らしい映画と写真展だったぜ。以前見見た写真美術館のものよりずっといい。PARCOらしく商業写真やグッズもたくさん。森山さんてこんなに最近はコマーシャルもやってるんだと驚いた。しかしかっこいい80歳。足も背筋も目つきもかっこいい。あとウン十年後にこんな風になれたらいいなと思わせられる。そしてこの映画で描かれたのは、紙の写真集の印刷の凄さ。凄まじさ。そうだよ紙ってこうなんだ。

そうだよ紙ってこうなんだ。印刷所の職人のあの目。造本を行った町口さん。関わる大人がみんなカッコいい。紙が滅びるなんて誰が言ったんだ。

デジタルではどうしようもない、届かないものがここにある。食い入るように見るデジタルネイティブ達の目。すごい写真集だ。これは買わざるを得ないでしょうと久しぶりに大きな写真集を買った。

そしてなんだよあのコンデジのかっこよさ。森山さんのは何だ。Nikonか。COOLPIXか。そうだよやっぱ街の写真はコンデジだろ。一眼じゃないだろ。と安直に染まりコンデジ欲しくなった。調べたらそうか。Nikonはもう国内生産やめたんだっけ。

とにかく森山大道を知ってる人も知らない人にも大オススメの素晴らしい映画と写真展でした。PARCOは30日まで。

#菅田将暉の映画冒頭解説とてもいいです震わせられます



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February 07, 2021

挙手の地下茎

香港やミャンマーで命の危険を引き受けながら戦っている人達のことを思えば日本は確かに平和である。突然玄関に軍人が立ち連行することもない。権力欲しかない愚かな老人の世迷言に何をそんなにと考えている人もいると思う。もっと重要なことはあるだろうと。


しかし国にはそれぞれの戦い方があり、その国の局面があるのだと思う。この国にもかつては発言すれば憲兵が、特高が玄関に立つ時代があった。ひとつの非合理はきっと深いところで地下茎のように非道の数々に繋がっていると思っている。命がかかっていないからと言って生易しいものだとは思わない。ここは絶対に譲ってはならないと思う局面はひとつひとつ潰さないと、大きな非道の台頭を許す。というよりもう許している。


端的にはあのような者のために、多くの人が死んでいる。多くの女性が、いや多くの男女が死んでいるのだ。


ひとりの愚かな老人すら追い出すことすらできないことの地下茎は、結果として最後は自分達全員の命を脅かしているのだと思う。女性の命だけではない。我々全員の命だ。これが大げさな表現ではないことは、コロナ禍の只中にいる自分達には十分理解できているはずだ。


遠い未来にもしかしたら軍人があなたの家の玄関に立つかもしれない。立たないかもしれない。それはわからないが、今行うべきことはそれに遠く繋がると思われる地下茎を片端から断つことだ。それはモノを言わせない不合理を断ち切ることである。


もちろん現場ではそれほど簡単なことではないのだろう。それは理解できないことではないが、それぞれの現場で、挙手を行おう。モノを言おう。国に希望の1つの基準があるとすれば、挙手をして(銃を持ってではない)立ちはだかる人がどれだけいて、その背中をどれだけの人が逃げずに支えてくれるかなのだろうと思う。


あの愚かな老人の向こうに地下茎の先に非道があり、最後は私達の命が全て繋がっている。自分達は皆、それがよくわかっているはずだ。

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January 01, 2020

理不尽と戦う全ての皆様に幸がありますよう

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今日も明日も同じように太陽が東から昇る系内第三惑星ではありますが、本年は大変にお世話になりました。
期せずして喪中につき新年のご挨拶は形式上省かせていただきますが、そして来年は戌年でもトナカイ年でもありませんが幸福な生き物目線から、新年に向けてエリアによらずこの世の全ての人と生き物の世界の幸福、そして中でも理不尽と戦う全ての皆様に幸がありますよう心より祈らせていただきます。

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ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ

-茨木のり子

May 02, 2019

紙の本が残るための条件と悲しいDAYS JAPAN



連休は相変わらず大量の「紙の本」との格闘が不本意にも続いている。とりあえず処分するのは1000冊目安だけど残余の山がまだまだ手強い。
こうして片付けながら考えていると紙の本として残っていくものの条件が幾つか見えてくる。逆に言えばこれらの条件外のものは電子書籍で良いと思える。むしろ電子書籍がよい。

こうして見るとレイヤーは違うが古書の存在意義と(当たり前だが)重なってくる。(が、微妙にそれと違う要素もある)あと、最近は雑誌をほとんど買わなくなっているので勢いあるものは古い雑誌ばかりだな。特集本位で残している。

(紙でありながら笑 残すもの)
●大判を必要とする美術本、画集、図録
●古い時代に出版され今後デジタル化される見込みのない本
●存在自体が稀少である本、印刷装丁含めて全体が作品となっている本
●個人の思い入れ?(誰かにもらったとかメッセージ入っているとか)


それとは別の話だけどDAYS JAPANなんか全部捨ててやると思っていたがよい特集も多くあり手を止めてしまう。悲しい話だ。

April 29, 2019

蔵書の大整理-脳内のスキャン

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何十年ぶりかの引越しを控え、蔵書の大整理をしている。目標は2/3の処分。古書店にまとめて送ってしまい、買い取ってもらうことにする。

滅多にできない断捨離のチャンス。自分の大量の積ん読も、伯母から引き継いだ大量の本も、今後読む可能性がないもの、読み返すこともないもの、資料としての価値もないものなど、このまたとない機会に大整理することにした。

自分が判定していく基準を見ているとなかなか興味深い。作家によっては全滅の作家と(特定するとナニだから名前は書かないが)、作品によって残す作家、全て残す作家、ほぼ全滅の半端に古いIT関連本、資料として残したいのは古いコンピュータ本やサイバーパンク、宗教テロ関連、風俗関連にサブカル系などなど。思い切り古典になってしまうと意外となかなか捨てられない。初読では大して面白くなかったが、読み返しのために置いておきたい本などなど。もちろん東日本大震災や原発関連は全て残す。

自分がいま何にこだわって生きていて、何についてこだわっていないかよくわかる。脳がスキャンされる。

 

基本的にコレクターではありたくない。今後買う本は出来うる限り電子書籍として、自分がいなくなると同時に消えて構わない。そう思っている自分にとってそれでも今残したい紙の本とは何なのか。諸々思う。考える。

March 03, 2019

「グリーンブック」-地獄のような60年代の南部をエンターテイメントにしている



よくこんな難しいテーマを映画にできたなと思う。白人と黒人のロードムービーということでお決まりのラインかなと思ったけれど、細かなひねりが各所に効いている。その上ここでこれまで被せてくるのかとか。何よりこんな見ようによっては救いのないシリアスなテーマをエンターテインメントにして楽しさまで演出しているのが凄い。

人は必ず誰かに救われるものであり、一方的な依存関係はないんだというところの表現もいいです。ヒリヒリするようなドクの孤独とか。

しかし60年代の南部の人種差別の凄まじさに背筋が凍る。我らには人種問題に時として敏感すぎるのではないかと思われるハリウッドだけれど、むべなるかな。ここをくぐり抜けてきて彼らは今の場所に立っている。

イタリア系運転手トニーの奥さんがとてもいい。

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February 23, 2019

仕事の場で人をちゃん呼ばわりするのはやめよう

モーニングショーで、羽鳥さんがテレビが安心させるためのもので何が悪いのか的なことを言って話題になっていたが、その時テレビ報道への疑問を口にした宇賀アナウンサーのことを皆で「宇賀ちゃん」「宇賀ちゃん」と呼ぶのはもうやめないか。そもそもなぜ女子だと公の場でちゃん呼ばわりする。

男を公で「ちゃん呼ばわり」する例はなくはない。とくにテレビ関係だとよくある表現なのは知っているが、それなら「羽鳥ちゃん」「玉川ちゃん」と揃えるべきだ。「宇賀さん」と呼ぼうよと。ちゃん呼ばわりは親しみと交換にやはり本人への目線を下げる。そして女子ならちゃんでいい風潮は確かにある。

自分も気が緩むとやりかねないことではあるので、余計に戒めようと思う。飲み会だとか親しい間柄なら別かもしれないが、少なくとも仕事の場で人のことをちゃん呼ばわりするのはやめるべきだと思う。特に女子に対して多い。業界であってもテレビの中とかね。やめようよと。

宇賀さんは、報道をやりたいと思ってこの世界に来たと話していた。そして報道をするということは思うようにはいかないんだなと思っていると。そうした思いを抱えている、1人の若い有能な人を「ちゃん」などと気安く呼ぶのはもうやめよう。これは出演者もわれわれも。そういうところからじゃないのかな。ひとつひとつ。

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性の隣に

性に関わる仕事をしている人たちの中に、めちゃめちゃ文章巧者が多いということに、自分は前から気がついているのだけれど、(その人たちの性の表現がいいということではないです。それはある意味仕事柄当たり前なので)なかなかその理由がわからない。

凡な言い方になるけれど、性の隣に生と死があるその厳粛なエネルギーが、知らず知らずその人に宿るのかなとも思うのだけれど、少しこじつけめいているような気もする。

そうであれば、政治の隣には生も死もないのでありましょうか。ということになる。もっとも言葉を必要とする世界のはずなのに、荒涼たる砂漠どころか、砂にたとえるすらもったいない状況がある。


9/2。死ぬのめっちゃ怖い 戸田真琴

「わたしは死にたくないし、きみにも死んでほしくない。みんな、200年くらい、そう、生きることに本当にくたびれて、ぐだぐだに煮込み尽くされて茶色くなったおでんのはんぺんみたいになって、あと体験していない重要なことはたぶん死ぬっていうことくらいだな。とピュアな気持ちで思うことができるようになるくらいまで、いやになるほど生きて欲しい。200年生きようね、なんて一歩間違えたら怪しい宗教みたいに聞こえる言葉を、ファンのみなさんに対して言いながらちょっと泣きそうになったりする。

変なんだ、すべてのやさしい生き物、おもしろい生き物、かわいい生き物、どうしようもない生き物も、200年くらい生きてくれよ。ぜんぶしゃぶり尽くして嫌になるまで、もう顔も見たくなくなるくらいまで、そばにいようよ。そう思うことがあるんです。ほとんど、いつも。

なので、私、死ぬのがめちゃくちゃ怖いです。きみが死ぬのもめちゃくちゃ怖い、自分が死ぬのと同じくらい怖い。」

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February 17, 2019

沖縄のビートルズ

「今かかっていたのは沖縄の音楽?」とカフェにいた年配の客が出がけのレジ前でいきなり聞いた。
「?!いえ?!ビートルズですよ」とマスターが答える。

そう。誰が聴いてもアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」だよ。

「A day in the Life」でちょうど高校時代のことを思い出していた時だったから、僕もその質問には驚いた。

(皆が知っているように)インド音楽のようではあるけれど、まさかの沖縄音楽かと聞かれたマスターも驚いている。でもすぐに「確かにそんな風にも聞こえますね。考えたことなかったけど(笑)」と続けた。この人はこういうところがいい。

客の方は「ビートルズなの?!こんなビートルズ聴いたことがなかった」と照れている。

沖縄音楽かあ。。ちょっと考えてみたけれどシタールが三線の音色に重なったのかな?

でも僕にとって、ちょっとそれはないなあ。確かに世界は繋がってはいるけれど。沖縄の魂とは違う。

それにしても世界にはビートルズと言えば「イエスタデイ」や「Let it be」だと思ってる人もいるんだろうなあ。そういう人にとっては試行錯誤を繰り返した禍々しいビートルズは存在していないのかもしれない。それもこの世界の不可思議だ。

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February 11, 2019

Youtubeプレミアム「ORIGIN」が凄い——こんなクリエイターたちの時代に添いたかった。

YoutubeプレミアムのSFホラー「ORIGIN」
最初はエイリアンとブレードランナー足して2で割る的な程度の印象だったのだけれど、ストーリーもしっかりしていて人間描写も丁寧でかなり深い。何より同時代進行ののサイバークリエイターがどんな未来を考えているかがリアルにわかる。VRやAIの絡ませ方も上手いなあ。いいなあと感心。

こんなものが作られる時代のクリエイターにもっと添いたかった。



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