荒廃した学校の生徒が、教師となって母校に舞い戻り、荒れ狂う生徒達と心の交流をすることで、不良たちを立ち直らせていく。
ディレクターの頭には「ヤンキー先生母校に帰る」が頭をよぎったのだろう。
父兄が子供に見せたいテレビ番組のNo.1に選ばれたばかりのNHKのプロジェクトXで、制作側のいささかの勇み足が明るみになってしまった。
最近はこの番組自体を観ていないので、問題になった番組も観ていないのだが、5月10日放送の「ファイト! 町工場に捧げる日本一の歌」がそれ。
大阪の荒れ狂う府立高校へ着任した新人教師が同高に合唱部をつくり、全国コンクールで金賞を受賞するまでの日々を追ったもの。
番組の冒頭「30年前の同校荒れていた。ケンカに、暴走、退学者は毎年80人になった」と荒れ狂う高校のイメージを作り上げ、そこに一人の新米教師が音楽で学校を立ち直らせた、というシナリオを事実以上に膨らませてしまったようだ。
合唱コンクールで1位を取ったのは間違いないのだが、普通の高校が取っても番組にはならない。番組的には荒れ狂った高校が全国1位を取らなくては、プロジェクトXの最大の持ち味であるお涙頂戴的視聴者の共感も呼べない。
そこで、多少の脚色を交え、ことさら荒廃ぶりを誇張したものだから、同校のOBから「そこまで荒廃していた事実はない」と抗議が殺到したようだ。
NHKも行き過ぎがあったことを認めている。
NHKのドキュメント番組でもこんな程度の作り方なのである。
報道でも、まず、マスコミが決めた結論ありき。それに当てはまる自分達に都合のいい声だけを繋ぎ合わせて、世論を誘導するものなのだ。
最後に番組タイトルに突っ込み。
「町工場に捧げる日本一の歌」とあるが、このタイトルからは中小の家内工場が高校の周辺にあるかのようなイメージを受ける。
同校のある守口市は松下電器、三洋電機の本社のお膝元で、本社工場はあるが、周辺にタイトルをイメージする町工場はない。若い頃その近くに住んでいたの高校の周辺の風景は毎日接していた。
タイトルも飛ばしすぎている。
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