ITを学ぶということ 〜イトナブの挑戦〜
デルシオと仲間から呼ばれている若者がいる。
彼は2年前まで、工業高校の生徒だった。ITとの関わりは主にネトゲ。ゲームに勝つためにハードウェアにはやたら詳しかったが、授業で習ったCやVBには興味を持てないでいた。このままではネトゲ廃人まっしぐらかと思っていた彼が2年前の夏に変わった。
イトナブが実施した石巻ハッカソンのITブートキャンプ部門に参加し、スマホアプリの開発を学んだ彼はプログラミングの面白さに目覚めた。すでに開始していた地元企業への就職活動を止め、大学進学を決めた。
それから2年、彼は自らアプリを開発する一方、イトナブに訪れる小中学生などにプログラミングを教える立場になっている。
人は変わる。
その同じ工業高校にK先生という人がいる。2年前のITブートキャンプに教員としてサポートする立場で参加した彼は、アプリ開発の教育効果と実際に学んだ生徒の変化に驚き、自ら教えられる立場になろうと、高校に直談判し、仙台のIT企業へのインターンシップを決めた。もうすぐ1年のインターンシップを終える。
その後も石巻やほか東北地方でのハッカソンなどのITイベントでお会いすることがあるが、顔つきがIT技術者になってきている。
人は変わる。
「IT」+「営む」+「学ぶ」を意味するイトナブは石巻に震災後10年ので1,000人のIT技術者を育て、石巻にIT産業を根付かせることを目指している。2年前から夏に石巻ハッカソンを行うほか、東北各地でアプリ開発を教える東北Tech道場にも石巻から参加している。
Hack For Japan: 石巻IT Boot Camp レポート
Hack For Japan: 第2回石巻ハッカソンレポート
私も2回の石巻ハッカソンや各種イベントに参加するようになり、震災からの3年で10回近くすでに石巻を訪れている。教えることで学ぶことは大変多い。
人を教えるということ - Nothing ventured, nothing gained.
正直に言うと、イトナブの活動に賛同してはいるものの、イトナブに来ている若者が必ずしも全員IT技術者にならなくても良いと思っている。ITを学ぶということは、IT技術者になり、IT産業に従事するということだけのためでない。ITが彼らにとって、将来を夢見て、世界とつながるということに少しでも役立てば良い。
昨年末、イトナブの成果発表会に参加したときにもそのような思いを話した。
IT教育というものを通じて、教える側も教わる側も世界を広げ、未来を考える。そのような機会をイトナブが与えてくれていると思っている。
このイトナブが活動資金獲得のために、クラウドファンディングのREADYFORで支援を求めている。締め切りまであと4日で283,000円。1週間ほど前は、目標の300万円に半分も到達しておらず、どうなることかと危ぶまれたが、ここ数日での多くのサポーターの呼びかけで一気に実現可能性が高まってきた。イトナブで学ぶ若者たちも、ドキドキしながら見守っている。
石巻の子供達に、働き続けるためのIT技術を学ぶ場を作りたい(古山隆幸) - READYFOR?
この記事でイトナブの活動に興味を持ったなら、是非とも支援をお願いしたい。
彼らの未来のために。あなたの未来のために。