Hack For Japan 復旧・復興支援制度データベースAPI ハッカソン
昨年の震災以来、数多くの支援制度が用意された。たとえば、被災した児童や生徒の就学を支援する制度がある。また、被災した自動車を買い換えるなどした場合、自動車重量税や自動車取得税などの税金が免除される制度もある。
いずれも「探せば」わかるものではあるが、提供する側が複数の省庁や自治体などに分散しているため、簡単に見つけ出すことができない。
そのため、「復旧・復興支援制度情報」というサイトが今年の1月より立ち上がっている。このサイトは複数の省庁によって共同運営されているサイトであり、今回の東日本大震災の被災地支援への活用にとどまらず、すべての災害の被害者への支援用の制度データベースとして利用できるようになっている。
2月からはさらに利用を促進するために、APIが用意された。APIはシンプルなRESTful APIであり、現在のところ特別な利用登録が必要ではない*1。同一IPアドレスから1時間に5000回を越えてリクエストすると、エラーが返るようになっているが、特に厳しい制限ではないだろう。
たとえば、このAPIは以下のように使うことができる。
GET http://api.r-assistance.go.jp/v1/api.svc/getSupportTargets?appkey=0 でサポートされている制度の大分類を得ることができる。現在のところ、ID=1の個人向け、ID=2の事業者向け、ID=3の自治体向けの3つがサポートされている。この3つがXMLで返却され、これ以降のAPIでIDを指定してさらに制度情報をたどっていくこととなる。たとえば、GET http://api.r-assistance.go.jp/v1/api.svc/getSearchCategories?appkey=0&supporttarget=1 では先ほど得られた制度の大分類のIDとして1の個人向けを指定したことになる。
つまり、http://www.r-assistance.go.jp/search_k.aspx で行うような検索に必要なことがAPIで用意されていると考えると良い。
こう書くと大変失礼かもしれないが、国が用意したサイトにしては、頑張っていると思う。しかし、関係者から話を聞くところによると、期待されたほど利用されていないようである。登録されている情報が少ないのではないかだとかいろいろと可能性はあるが、まずは集まって試してみよう。どのようなアプリケーションやサービスができるのか話しあってみよう。ということで、Hack For Japanと経済産業省、三菱総合研究所の共催でハッカソンを開催することとした。
詳細は、Hack For Japanブログのエントリを見て欲しいが、開催要項を以下に載せる。
開催要項
開催日時/場所
- 6/2(土)10:00 - 17:00
- 三菱総合研究所 会議室 / 東京都千代田区永田町二丁目10番3号(地図)
- 定員50名
対象者
- 開発者: アプリケーション/サービスを開発する人
- 利用者: 行政書士/税理士など
- そのほか、興味ある人
利用者が行政書士や税理士などになっているのは、一般市民が直接探すことよりも、ある種専門家と言われる方々が市民の相談に乗る際に使われることなどを想定しているからだ。そのため、行政書士や税理士の方々を想定ユーザーとしている。
サイトに書かれている利用想定場面と方法は以下のとおりだ。
行政機関職員が住民や事業者からの支援相談時に利用
行政書士などの行政業務の専門家が住民や事業者からの支援相談時に利用
地方公共団体のホームページの支援制度情報ページの代替
民間事業者が、民間の支援情報・サービスなどと組み合わせて利用
今までのHack For Japanの東京でのイベントの反省点として、実際にどのように使われるかわからないまま、議論し、開発をしてしまったケースというのもあった*2ため、今回はイベントの最初の方に、想定される利用方法や実際の被災地でのニーズなどについてお話をいただくようにした。これにより、作ったものが使われないという不幸な状況を避けることができるのではないかと考える。
なお、一般市民が使うものとしては、復旧復興支援ナビというサイトがある。これは「震災復興支援ユニバーサルメニュー」という自治体向けの標準メニュー体系をベースにしたものだ。これなどを参考にして、どのように支援制度を分かりやすく提供するかを考えるのも良いかもしれない。
ユニバーサルメニュー(UM)については、復旧復興支援ナビのサイト内に以下のように説明がある。
「ユニバーサルメニュー」(以下「UM」といいます。) とは、NPO団体アスコエにより開発された自治体Webサイトの標準的メニュー体系で、ユーザーである市民にとってわかりやすさ・使い勝手を重視したサービスの実現を目指しています。
震災復興支援ユニバーサルメニューの設計に関しては、このUMを設計の基本コンセプトとし、IT企業11社がメンバーとして参加しているOpenUMプロジェクトによって検討されたXMLスキーマを利用しています。
当日の進め方は、アイデアソン的に議論をした後に、グループに分かれ、開発できるところは開発し、そうでないところは議論を続けるようにしたい。集まった方々を見て、また希望を聞いて、進め方は臨機応変に変える可能性があるが、開発者以外で議論だけ参加したいということも可能なので、奮って参加を検討いただければと思う。書いたように、東日本大震災の復旧・復興支援だけではなく、考えたくないかもしれないけれど、絶対に来る日本で近い将来に起きるであろうほかの災害の支援情報でもあるのだから。