2021-9-29(水)
3話にわたって続いた電線の接続シリーズの応用編です。
とは言っても、いつものオフグリッド・ソーラー発電ではなく、今回は蛍光灯で遊びます。
さて、この10年で、一気に普及してきたのが、蛍光灯型LEDランプです。
製品にはよりますが、蛍光灯から取り替えるだけで節電になります。
実際、LEDランプ自体は、蛍光灯の半分の消費電力ということが多いようです。
しかし、そのままLEDランプに交換した場合、“アイツ” が電力を消費し続けます。
それは安定器です。
安定器は、蛍光灯の点灯には必須ですが、LEDランプにはまったくの不用なのです。
オンをアダで返すようですが、安定器には退いてもらうのがよいです。
安定器のバイパス化 (電気が安定器を通らないようにする) には、こんなメリットがあります。
- 省エネ
- 使えるLEDランプが増える
- ヘルツフリー (50Hzでも60Hzでも使えるようになる)
- 力率が改善 (間接的に省エネ)
- LEDランプがチカチカするのを防げる
- “ジー” という安定器の振動音がなくなる
- 安定器の故障後も使える
- 安定器自体が劣化で燃えるのを防げる (安定器の寿命は10年ほどとされます)
安定器の音は、懐かしい感じがするので、私は好きですが、一般的には雑音とされることもあるようです。
今後、蛍光灯に戻す予定がないなら、安定器を残す理由もないと思います。
安定器バイパス化の前に、器具やLEDランプの種類を確認します。
種類によっては、この記事の方法は使えません。
主に、蛍光灯器具には、グロースタート式,ラピッドスタート式,インバーター式があります。
LEDランプには、コンバーター回路内蔵型 (工事不用型) と回路外付け型 (工事必要型) があり、回路内蔵型には、グロースタート式用,ラピッドスタート式用,インバーター式用がそれぞれ存在します。
さらに、端子の付き方によって、片側給電方式と両側給電方式に分けられます。
別に覚える必要はないです。
今回、使う器具です。
20形のグロースタート式 (安定器と点灯管があるタイプ) で、トラフ型と呼ばれるものです。
私、このトラフ型の器具がいちばん好きなんです。
この器具は、コンセントに挿して使う “機器” ですから、バイパス化は “機器の改造” であり、“電気工事” ではないので、資格はいらないはずです。
これが、蛍光灯型LEDランプです。“片側給電方式” というタイプで、写真の左側の端子に電源がつながります。
ランプの中に、点灯用のコンバーター回路が入っています。
下のちっちゃいのは、付属品の点灯管型の替え玉で、ヒューズ入りです。安全のため、このヒューズ入り替え玉も使用します。
これから器具を分解しますが、必ずコンセントは抜いてください。失敗すると感電します。
器具の内部と配線図です。
片側方式のLEDランプに合わせて、回路をこのように変更します。
この回路では、点灯管型の替え玉を入れることで、片側方式と、替え玉をはずすことで、両側方式のランプが使えます。
ただし、替え玉が付属しないタイプの片側方式には使えません。
こういう回路にすれば、すべての片側方式が使えます。(両側方式は使えなくなります)
まずは、コードの太さを確認します。
今回は、被覆に "0.75mm^2" と書かれていました。
また、“タイネツ” とも書かれているので、耐熱型の単心ビニルコード (H-VSF) なんですね。勉強になります。
コネクター選び。どれにしようかな……
"P1.25" に決めた!
コードを重ね合わせて接続する場合、"1.5mm^2" が抱合範囲にあるスリーブを選びます。
CE型スリーブが便利ですが、なんか芸がないので。ちょっと高いし。
これが安定器です。
さっそく、コードを切り、被覆をむきます。
蛍光灯に戻すことも考えて、安定器にもちょっとだけコードを残しました。(優柔不断なもので……)
P1.25を、圧着工具のTP-14で圧着しました。
裸スリーブは、絶縁処理が必要です。
エフコテープ (自己融着性テープ) を巻いてから、上にビニルテープも巻きました。
安定器側のコードの切れ端も絶縁します。
通常、外箱がメタル製の電気製品には、アース (接地線または接地端子) がついていますが、蛍光灯器具は例外です。内部で漏電してしまうと、ダイレクトに感電しますので、絶縁はしっかりおこないましょう。
点灯管の隣にある “雑音防止コンデンサー” は、点灯管によるノイズを抑えるものですから、残しても撤去してもどっちでも大丈夫です。ここに電気はほとんど流れません。(撤去するのがおすすめです)
コードを器具内に戻します。
このとき、コードが蓋に挟まったり、ネジ穴にかぶらないよう注意。
本来は、回路に間違いがないことをテスターで確認しますが、持っていなかったのでパスです。
蓋を閉める前に、LEDランプを入れて点灯のチェックです。この瞬間はドキドキ……。
煙や火花が出たり、何かが破裂する音がしたり、停電したりしなければ、蓋を閉めておしまいです。乙。
消費電力の変化です。蛍光灯は21W、バイパス前のLEDランプは9W、バイパス後も9Wです。
なんか残念。(これ、北電は喜びます)
細かいチカチカがなくなったので、まあいいでしょう。
ちなみに、かかった費用は、P1.25が7円、テープが8円です。
バイパス化のあとは、もう蛍光灯は使えません。誤って蛍光灯を取り付けないように、“バイパス化した器具だよ” と書いたシールを貼っておきましょう。
ここに蛍光灯を取り付けると、短絡 (ショート) となり壊れてしまいます。
責任逃れのために注意書きを。
- 器具やランプによって配線方法は異なる
- 必ずコンセントを抜いてから
- 接続する電線にあったスリーブやコネクターを使う
- 裸スリーブや電線の切れ端はしっかり絶縁をする
- バイパス後は、蛍光灯は使用できない
- “バイパス済み・蛍光灯不可・対応ランプ” を書いて貼っておく
- コンセントやシーリングソケットを介していない器具は電気工作物となり、資格が必要
機器の改造は自己責任でお願いします。
さて、インターネットやホームセンターで売っている蛍光灯型LEDランプの多くは、“工事不用型” です。
工事とは、この記事でやったような、“安定器バイパス” のことです。(私がやったのは、あくまでも “機器の改造” であって工事ではありませんが)
工事不用というだけあって、ポン付けでも、とりあえずは使えます。
しかし、工事をしない場合、残っている安定器が劣化して燃えるかもしれないとのことです。
これは、LEDランプが普及して、まだ10年くらいですから、何が起こるかわからないのも現状のようです。
とりあえずやってみるのが面白いと思います。
閲覧ありがとうございました。
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