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科学な本のご紹介: 凋落した日本『科学立国の危機 失速する日本の研究力』

科学に佇む書斎



科学立国の危機 📖 
不適切なデータと間違った解釈、苦し紛れの政策によって順当に凋落した日本の科学力。
その実態の確認と同時に、本書では「日本の社会学や経済学は世界順位がたいへん低い」❗と記されているわけで、うわぁこりゃ社会・経済的に落ちぶれても仕方ないというか…

科学の本分析からは、政府が大学への研究資金を2倍に増やせば、それに数年遅れて、論文数も概ね2倍近くに増えることがわかります。

科学の本【大学の研究人件費の推移を示したグラフ】多くの国では右上がりですが、日本は減少〜停滞して、他の国との差がどんどんと開いていますね。

科学の本【大規模大学と中小規模大学はネットワーク生態系を形成している】「選択と集中」政策によって、地方の中小規模大学の機能や研究従事者数を縮小することは、大規模大学の研究機能をも低下させるリスクが大きいのです。
 図表は大学の研究人件費の推移を示したグラフです。多くの国では右上がりですが、日本は減少〜停滞して、他の国との差がどんどんと開いていますね。

科学の本中小規模大学の研究資金を削減し、大規模大学に「選択と集中」することは、生産性の高い群から低い群へ資金を移していることになり、国立大学全体としての論文数が減少することになります。

科学の本主要国の研究者の定義の一覧ですが、各国で研究者の定義がずいぶんと違うことがわかりますね。日本の場合は、少しでも研究に携わる者は研究者として数えるという感じであり、他国よりも研究者数が多く見積もられます。

科学の本「社会・心理系」(経済・経営学、社会科学、精神・心理学)は日本が最も不得意とする分野であり、世界順位もたいへん低い分野です。

科学の本日本の論文数が、欧米諸国や韓国に比べて約2倍という大きな差をつけられている主因は、大学政府研究機関の研究者・研究技術員数(FTE)が先進国に比較して少ないからであると断定してよいと考えます。

 ┗ つまり、研究者が研究している時間数が少ない。人員の少なさと人件費の少なさと雑用の多さ…



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『科学立国の危機 失速する日本の研究力』
 豊田長康
 東洋経済新報社 


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科学立国の危機: 失速する日本の研究力



著者さんは元三重大学の学長さんで、鈴鹿医療科学大学の学長さん。
そして本書の主張の一つに、「過剰な【選択と集中】政策によって地方大学や中小規模大学が力を失い、トップ大学への栄養を供給する根が絶たれたがゆえに論文生産力が堕ちた」点を指摘していてインパクト強いんだけれど、それだけに、この主張は「トップ大学」側から出してほしかった。もしくはトップ大学側の研究者との共著で著してみてほしかった。

だって、中小規模大学関係者側からの問題提起では、この姿になってしまう


著者さん一人でナマな考察過程込みに大胆に論を展開させていて、出版後に異論量産されてそうなタイプの書き物なので、その後のTL検索が必須になりそう …(検索結果がスカスカ) あれ。この本に興味をもつのは一部の科学者だけで、社会・経済学的検証のスキルないのか日本。

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科学立国の危機―失速する日本の研究力




→『ミニ特集:日本の科学はどこへ行く その2』
→『ミニ特集:日本の科学はどこへ行く その1』
→『ミニ特集:科学の性質を語る本 その2』
→『ミニ特集:科学の性質を語る本 その1』
→『ミニ特集:科学技術の本 ST』
→『科学の講演やシンポジウムに行って凄かった事例いろいろ』
→『パグウォッシュの憂鬱:日本物理学会講演会』
 




 No.2019,0318
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