ミニ特集:科学技術の本 ST
『構造災 科学技術社会に潜む危機』
『科学者は戦争で何をしたか』
『科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体』
『岩波講座 科学/技術と人間 第3巻 「現代社会のなかの科学/技術」』
『構造災 科学技術社会に潜む危機』
岩波新書 / 松本三和夫 岩波新書 岩波書店
●科学や技術開発に携わる人々の動向が、いかに社会要因に強く影響を受けるかを鋭く描出した啓発の書。
これが常に常に存在する科学・技術・社会の間を跋扈する魔物の姿。
放置するとどうしても発生してしまう社会のひずみを、うまくかしめて調整するのが行政の役割のはずなんだけどね…
専門知はあらかじめ結果が定まっていない事柄を探究する知的営みの所産。それに対し、あらかじめ出すべき特定の結果があり、それを正当化するためになされる営みは、それらしい装いであっても、専門知とはおよそ無縁の代物である。(原発の安全性等)
2005年から福島原発事故の直前までに東北地方で開かれたサイエンス・カフェ253回の内、原発を話題とするカフェは1回だけ。それも原発の安全性の話題ではない。直接の事故当事者になる地域に対し、何も事前に語られてこなかったことになる。
『科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体』
瀬川至朗 筑摩書房 ちくま新書
●STAP細胞問題におけるメディア報道と科学誌の姿勢、東北大震災における原発事故報道の問題点、そして地球温暖化問題の報道…
新聞社の科学報道部門に身を置いていた著者ならではの、状況確認の書。
朝日、毎日、読売などの日本の全国紙に科学部(あるいは科学報道本部)が創設されたのは、戦後の1950年代。高度経済成長の始まりのころだった。
高さ15mの津波を想定していなかったとしても、それがきっかけとなって原発内に生じた出来事はいずれも「想定内」だった。すべてが「想定外」で片づけられがちな風潮に田辺文也は早くから警鐘をならしていた。
ジャーナリズムを学ぶ人、実践する人にとっての必読書とも評されるのが、ビル・コヴァッチとトム・ローゼンスティールによる『ジャーナリズムの原則』(日本経済評論社)がある。
これですね ↓
ジャーナリズムの原則 (コヴァッチ&ローゼンスティール2001-2002)
— ピザ(アドセンスクリックお願い) (@rafcocc) 2016年5月26日
英語圏のジャーナリスト養成学校出身者は必ずこの本を読んでいるらしいですね^^ pic.twitter.com/wFXKXlJ4Nm
『岩波講座 科学/技術と人間 第3巻 「現代社会のなかの科学/技術」』
岡田節人, 竹内啓, 中村雄二郎, 吉川弘之, 佐藤文隆, 長尾真, 村上陽一郎 編集
岩波書店
常石敬一 ”「ちゃ壜 チャビン」は旧日本軍では「ちび」と呼ばれた化学兵器で中身は青酸ガス。実効を上げるには相手の戦車から7mという至近距離まで近づかなければならない特攻兵器だった。”
『科学者は戦争で何をしたか』
益川敏英 集英社新書
●「世にも恐ろしい大量殺戮兵器の開発に加担してしまった」という歴史的トラウマを強く抱える物理学会。
ノーベル物理学賞の受賞者さんが、安倍政権で特に顕在化しまくってきた「科学技術研究成果の軍事利用解禁」に際して尖った懸念をぶちまける。
こちらで紹介
『科学者は戦争で何をしたか』
『パグウォッシュの憂鬱:日本物理学会講演会』
『ミニ特集:科学と技術を語る本 その4』
『ミニ特集:科学と技術を語る本 その3』
『ミニ特集:科学と技術を語る本 その2』
『ミニ特集:科学と技術を語る本 その1』