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英日翻訳者・ライター。行けるとこまで行きます。

「エブエブ」「フェイブルマンズ」

「エブエブ」日を追う毎に自分のなかでいい映画だったという感動がじわじわと高まっている。あんな人生もあったはず、あそこであの選択をしていたら、というオルタナティブリアリティをいくつも体験した後で、それでも今を生きるしかないんだって腹をくくると、目の前にちょっとだけ光が差してくるのがとてもよかった。

「フェイブルマンズ」。「ワンハリ」のジュリア・バターズがすっかり大きくなってー。

作業ログ:3月4日(金)〜3月17日(金)BO訳出 終了 BO2周目 P73

「別れる決心」

タン・ウェイ、憂いがあって魅力的だった。身寄りのない韓国に不法で入った中国移民の女性の生活がどういう感じなのか、私にはちゃんと想像がつかない。移民になるしかないっていう境遇、きつい。幸せになってほしかったな。あんな死に方があるのね。いろいろ調べたら、なるほどーっていう考察が出てくるんだろうけど、今はそれどころじゃなくて。。。

作業ログ:2月20日(月)〜3月3日(金)BO訳出 p.228

「仕掛人 藤枝梅安」

天海祐希がすごくよかったー。美しくて凄みがあって。トヨエツと並んでも引けを取らない華があって。「仕掛人 藤枝梅安」は「イニシェリン島の精霊」の対極のわかりやすさで、そこまで説明しなくても大丈夫だよ?とも思ったけど(特にあのマーベルみのあるフラッシュバック回想)、梅安も彦さんもよいブロマンス感を醸し出しててよかった。

作業ログ:2月7日(火)〜2月19日(土)BO訳出 p.183

「ユー・ピープル  僕らはこんなに違うけど」

監督ケニヤ・バリスだからと期待していたけど、そんなに面白くなかった。主人公の白人男子と黒人女子のあいだにそもそもケミストリーが全然感じられないから、いろんな壁を乗り越えてでも一緒になりたい感が出なかったんだと思う。ジュリア・ルイス=ドレイファスの演技のうまさに救われた作品なのでは。あと、このあいだジョナ・ヒルメンタルヘルスのドキュメンタリー「スタッツ:人生を好転させるツール」を見たばかりだから、彼本人の苦しみに思いがいっちゃって笑えなかった。ジョナ・ヒル好きだからほんと病んでるの見てるのつらかったんだよな。役者が生身の自分を見せるとこういう弊害もあるよね。そういえば、「ユー・ピープル」でジョナが一緒にポッドキャストやってた人、サム・ジェイっていう「サタデー・ナイト・ライブ」の脚本家らしい。彼女、「マスター・オブ・ゼロ」のリナ・ウェイス的な感じで今後ちょっと注目したい。

作業ログ:2月6日(月)〜2月11日(土)BO訳出 p.161

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「イニシェリン島の精霊」

めちゃくちゃキレイな画で、ぜひこの島に行きたいと思った。もちろん旅行で。やっぱり、どんなに美しい景色でもあんなに閉鎖的なところには住みたくない。同じパブで同じ人と話して一日を終えるなんて生活を何十年も続けてたら、どうにかなっちゃうのもわかるよ。もうこいつとは縁切りたいって、自分の人生の退屈さを他人のせいにしたくもなるだろうし、善人でいても一つもいいことないなって気づいたら善人やめたくもなるだろうし。小さい頃読んでたグリム童話って、結構辛辣で悲惨な話が多かった記憶なんだけど、この映画もグリム童話的な印象だった。

作業ログ:1月29日(日)〜2月5日(土)BO訳出 p.139

「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」

みんなが言っているように、「その名を暴け」という副題に違和感があったけど、映画はとても見応えあった。ワインスタインの名を暴けってことなのは明白だけど、そして原作の邦訳版にもそう副題がついてるんだけど、話は被害者の女性たちがオンレコで告発するかどうかの葛藤とか、記者たちが信憑性を高めるため彼女たちと粘り強く交渉するところが中心で、この副題だとちょっとピントがずれてる気がするんだよな。

大統領の陰謀」とは違い、記者の女性二人が仕事だけでなく育児や家事にも追われる姿を描いているところは誠実だと思った。男の記者が主人公なら、こんな描写はないもんね。

あとパトリシア・クラークソンが毎度着けてるボリュームあるネックレスがすてきだった。デキる上司。「プラダを着た悪魔」のメリルと双璧では。

作業ログ:1月22日(日)〜28日(土)BO訳出 p.112