【映画】どうすればよかったか?

話題の映画を観てきました。怖くって、他人事とは思えなくって、しばらく席を立てませんでした。

精神疾患は恥だ、受け入れられないって放置して、25年。それから10年。どうしようもない日常をビデオで撮り続けて、映画にしたものです。

(以下、ネタバレします!)

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医者で研究者の夫婦、姉、弟。

当然のように医者になり研究者になることを期待されて育つ姉弟。ところが姉が高校生のとき分裂病(現在の統合失調症)になったことをきっかけに、家族の歯車がどんどん狂っていく。救急車を呼ぶレベルの絶叫(予告編でも十分ショッキング)なのに親たちは、姉は勉強が嫌だから精神病のフリをしているだけだと、みとめない。姉は必死で勉強して、4浪(!)して医学部に入る。弟は医者はいやだと農学部から遠く離れた県で就職。ところが、実家に帰省するたび姉の状態が悪くなっていく。姉を精神科に連れて行こうとするが、両親は元気だから問題ないからと医療から遠ざける。これはまずいと、ビデオで記録を撮りはじめる。

精神障害への差別意識が、姉を医療から遠ざける

1980年代は、医療ど真ん中にも差別が蔓延ってたという話を聞く事があります。それでも1980年にDSM-IIIが発表され、自閉症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害などの発達障害の診断基準が明確化。精神疾患は脱施設化(Deinstitutionalization)が進み、統合失調症によく効く薬が開発された時代です。

医者で研究者であれば容易にアクセスできたはず。なのに、差別意識に囚われて、自分の子だから優秀なはずと、受け入れることができず、そのまま70になり、80になり、認知症がはじまり、ようやく手放すことになる。ここまで25年・・・。映画の中で、1992年・1993年・・・2007年・2007年・2008年・・・刻まれる日々がつらい。どんどん年老いていく両親はますます話が通じなくなり、姉も女子大生から中年になり、髪はぼさぼさぐちゃぐちゃを超えて、会話ができなくなり、日夜絶叫。

もうね、ここのシーンがつらい。耳を塞いでました。あんまり辛くて。それでもお世話し続けるのよ。それは愛なのか。最後まで責任もって面倒見るとはこの事なのか。

だけど、両親は体力的にもうお世話の限界になる日がきます。そして、

姉がようやく精神科に入院。

3ヶ月後に退院したら、投薬が効いて落ち着いて、元の人格が戻ってくる。だけどね、理性の戻った目で天井をただ静かに眺めるシーン。10代で発症して混乱の渦の中にずっといて、目が覚めたら50代。ぼろぼろのお家、年老いた両親。なんつったらいいの、どうしたらいいのこれ🥺

心理学の授業でありました。精神疾患は多くの場合、思春期に発症し、長い経過を辿り、落ち着く頃には中年を過ぎ、取り戻せない時間に愕然とする。ああ、これか・・・45分の授業で語られた事は、こういう事なのか・・・

穏やかな日々が流れる。おしゃれしてピースするお姉さんにほっこりする。だけど退院から10年余りでガンになって亡くなってしまう。

 

なんていうか、ほんとうにため息がでてしまって。1980年の最先端の医療と支援が十分あればなんとかなったのに。ここんちのご両親ならそれができたはずなのに。

 

自分が発達障害だから、発達障害の子どもを見る事がある。親に余裕があって前向きな子と、余裕がなかったり、差別的だったりするお家の子でぜんぜんその後が違うんだよ。いまだに家単位なのよ。ヨソんちに口は出さないって風調。いったいどうしたらいいの?

 

わああん、つらい

 

せめて、私が生きている間に、少しでも精神疾患への差別がゆるみますように🥺

 

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