個人的ゲーム史2
■PCエンジン
キヨシくんの家でR-TYPEを初めて遊んだとき感じたことを、今あらためて言葉にすると「次世代感」になるかと思う。白くてしゃれた筐体が持つ、明らかにファミコンとは格の違うパワーに俺は酔いしれた。
ファミコンカセットとは比較にならぬほど薄く小さいHuカード。
AボタンではなくIボタン。
BボタンではなくIIボタン。
スタートボタンではなくRUNボタン。
すげえ! ファミコンとは一味違うぜ!
当時は半ば本気でそう思い、邪聖剣ネクロマンサーだの、弁慶外伝だの、定吉七番だのと、次々と発売されるエッジなゲームに没入していった。
当然のことながら「大竹まことのただいま!PCランド」も欠かさず視聴していた。ゲームについて素人同然の連中に囲まれ、ただひとり真摯にゲームの紹介をしつづける渡辺浩弐氏の孤軍奮闘に尊敬の念を抱いたものだ。
■ゲームボーイ
くにおくんの大運動会やダブルドラゴンで殺伐とした同時対戦に明け暮れていた俺たちは、ゲームボーイがもたらした「通信対戦」にもまた、激しくのめり込んだ。
通信対戦に用いるゲームは、もっぱらテトリスだった。というか、それ以外のゲームボーイソフトで対戦をしたことがない。
小学六年生になっていた俺は、人気者ナミオカくんといっしょにウジイエくんというクラスメイトの家に毎週集まり、ひたすらテトリスの対戦に明け暮れた。
ブロックを鬼のような速度で積み上げ、テトリス棒を入れて相手側に邪魔なブロックを大量に送り込み圧殺する。あるいは先にテトリスを達成され、下からせり上がってきたブロックで圧死する。
少年期、発達途上であろう脳細胞、その大部分を俺たちはテトリスに費やしていたと思う。
ゲーム脳だとかテトリス脳という言葉は、俺たちに限って言えばわりと的を得た状況だったかもしれない。俺は明けても暮れてもブロック同士の間隙を埋めることだけを考えていた。
どうしてあんなにも必死になっていたんだろう。
今考えると少し不思議に感じるくらいの熱中ぶりだった。
感傷的な話でまとめるならば、まあ、ただ単に埋めたかったんだろうなと思う。
十二年ばかりこなしてきた人生の中で気づきはじめた現実における隙間。どうあがいても埋められないもの、いつまで経とうがからっぽにすぎない空虚ななにかの代わりに、俺たちは液晶画面の中でテトリス棒を積み上がったブロックの間に黙々と差し込んでいたんじゃないかと思う。
どこか大人びたところのあったウジイエくんの部屋には、セガのマスターシステムやらパソコンやらが置かれており、俺にとっては文字通り宝の山のような有様だった。
パソコンを起動すると、そっけない白い線画で洋風の館が表示された。
どうやらアドベンチャーゲームらしかったが、コマンド入力のやり方がわからず投げ出してしまった。それが「ミステリーハウス」というゲームだったと知るのは、ずっとずっと先の話だ。
俺たちが遊びに行くと、ウジイエくんの姉さんが必ずチョコレートを差し入れてくれた。
小指の先ぐらいの、銀紙に包まれたチョコレート。
それが何枚も籐製のバスケットに入れられていた。
もしかすると少しばかり高級なチョコだったのかもしれない。包み紙の中のそれを口にするたび、濃い甘さの中に少しだけ苦味を感じた。
キヨシくんの家でR-TYPEを初めて遊んだとき感じたことを、今あらためて言葉にすると「次世代感」になるかと思う。白くてしゃれた筐体が持つ、明らかにファミコンとは格の違うパワーに俺は酔いしれた。
ファミコンカセットとは比較にならぬほど薄く小さいHuカード。
AボタンではなくIボタン。
BボタンではなくIIボタン。
スタートボタンではなくRUNボタン。
すげえ! ファミコンとは一味違うぜ!
当時は半ば本気でそう思い、邪聖剣ネクロマンサーだの、弁慶外伝だの、定吉七番だのと、次々と発売されるエッジなゲームに没入していった。
当然のことながら「大竹まことのただいま!PCランド」も欠かさず視聴していた。ゲームについて素人同然の連中に囲まれ、ただひとり真摯にゲームの紹介をしつづける渡辺浩弐氏の孤軍奮闘に尊敬の念を抱いたものだ。
■ゲームボーイ
くにおくんの大運動会やダブルドラゴンで殺伐とした同時対戦に明け暮れていた俺たちは、ゲームボーイがもたらした「通信対戦」にもまた、激しくのめり込んだ。
通信対戦に用いるゲームは、もっぱらテトリスだった。というか、それ以外のゲームボーイソフトで対戦をしたことがない。
小学六年生になっていた俺は、人気者ナミオカくんといっしょにウジイエくんというクラスメイトの家に毎週集まり、ひたすらテトリスの対戦に明け暮れた。
ブロックを鬼のような速度で積み上げ、テトリス棒を入れて相手側に邪魔なブロックを大量に送り込み圧殺する。あるいは先にテトリスを達成され、下からせり上がってきたブロックで圧死する。
少年期、発達途上であろう脳細胞、その大部分を俺たちはテトリスに費やしていたと思う。
ゲーム脳だとかテトリス脳という言葉は、俺たちに限って言えばわりと的を得た状況だったかもしれない。俺は明けても暮れてもブロック同士の間隙を埋めることだけを考えていた。
どうしてあんなにも必死になっていたんだろう。
今考えると少し不思議に感じるくらいの熱中ぶりだった。
感傷的な話でまとめるならば、まあ、ただ単に埋めたかったんだろうなと思う。
十二年ばかりこなしてきた人生の中で気づきはじめた現実における隙間。どうあがいても埋められないもの、いつまで経とうがからっぽにすぎない空虚ななにかの代わりに、俺たちは液晶画面の中でテトリス棒を積み上がったブロックの間に黙々と差し込んでいたんじゃないかと思う。
どこか大人びたところのあったウジイエくんの部屋には、セガのマスターシステムやらパソコンやらが置かれており、俺にとっては文字通り宝の山のような有様だった。
パソコンを起動すると、そっけない白い線画で洋風の館が表示された。
どうやらアドベンチャーゲームらしかったが、コマンド入力のやり方がわからず投げ出してしまった。それが「ミステリーハウス」というゲームだったと知るのは、ずっとずっと先の話だ。
俺たちが遊びに行くと、ウジイエくんの姉さんが必ずチョコレートを差し入れてくれた。
小指の先ぐらいの、銀紙に包まれたチョコレート。
それが何枚も籐製のバスケットに入れられていた。
もしかすると少しばかり高級なチョコだったのかもしれない。包み紙の中のそれを口にするたび、濃い甘さの中に少しだけ苦味を感じた。
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