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今さらミッドサマーみた

映画「ミッドサマー」のネタバレしか含まない記事です


アマプラでミッドサマーを観て、無事に「オフゥ…」ってなったので、感想とかを書き記しておきたいと思います。

一言でいうとこの映画は、なんか嫌なことが起こりそうな雰囲気を終始漂わせつつ、期待どおりに嫌なことが起き続けるという新手の精神攻撃のようなアレでした。

夏至祭を見物するためにスウェーデンのとある村落に遊びにいったら、そこがやべえ儀式をやりまくる超変態カルトの集団で……という感じの物語です。

劇中やたら美しい風景とか幸せそうな音楽に乗せて嫌な場面をぶちこんでくるので、二重三重にキツイものが味わえます。

「オヤオヤ、こんなに美しく素晴らしい場面なのに、あなたはなぜ顔をしかめているんだい?」

的な底意地の悪さというか。


~うろおぼえ登場人物紹介~

●ダニー
主人公の女子大生。クリスチャンの彼女。
重度にメンをヘラった妹がおり、そのせいで自分自身もかなりヘラっている。
最後、いろいろあって物理的に炎上するクリスチャン(彼氏)を見て、笑顔になる。

●クリスチャン
ダニーの彼氏。
ヘビーメンヘラと化したダニーと別れたいが切り出せない優柔不断なイケメン。
最後、熊のコスプレをさせられ生きたまま燃やされる。

●ジョシュ
クリスチャンの大学生仲間の黒人。
村の風習とかの研究にギラギラしている。いろいろ感じが悪い。俳優さんは40歳らしい。
村の重要文書を盗撮してるところを見つかり撲殺される。

●マーク
「ウヒョーっ、あのオンナ孕ませてぇーっ」が口癖の快男児。
下半身のおもむくまま、一貫して空気を読まない行動を取りまくる勇者。
神木に小便をかけた挙げ句、全身の皮を剥がれて死ぬ。

●ペレ
スウェーデンの激ヤバ村出身の大学生で、クリスチャンたちを夏至祭に招いた張本人。
ものごしも柔らかく、思いやりもあり優しいのに溢れ出るサイコパス感。
最後、外部から生贄を連れてきた功績で無事に燃やされる。
よく見返したら燃やされたのは別の村人で、ペレは草冠授与されて生きてましたね。最悪やコイツ。


冒頭。
やたら意味ありげで不穏なイラストが描かれたタペストリーが出てきて不安を煽ってきます。
なんかこれ、よく見たらその後の物語を全部暗示してるそうで……。

ダニー妹が極限メンヘラ化し、両親を巻き込んでガス自殺を敢行。
ドアの隙間とかにめちゃくちゃびっちりテープで目張りしており、ぜったいにガスは漏らさねーぞという鉄の意志を感じさせる周到な手口。

精神的にまいってしまって、すっかりクリスチャン(彼氏)に依存するダニー。
一方、もう正直しんどいから別れたいけど別れられないクリスチャン。
「あんなめんどくせえ女となんか別れちまえよ。そしたらあのウェイトレスを孕ませることだってできるんだぜ?」
わかりやすくゲス発言を繰り返すマーク。
ペレに誘われたスウェーデン旅行ではなんかいろんな穴場でヤリまくれるらしく、期待に胸と股間を膨らませていました。

話の流れで男連中のスウェーデン旅行に同行することになったダニー。
ペレの故郷の村は、いにしえの生贄の風習とかがゴリゴリに残るエクストリームな村でした。

夏至祭の初日。
ほんのオープニングセレモニーとばかりに、72歳を迎えた老人が高い崖の上から紐なしバンジーを敢行します。ここぞとばかりにグロ画像。
見事に死ねないと、村人たちからめちゃくちゃブーイングされたあげく、でっけえ杵で顔面を砕かれます。
さすがにどん引きするダニー一行。

いっぽう、年頃になった村娘の一人に目をつけられたクリスチャンは、以下のような村に伝わる恋のおまじないで猛アタックされます。

好きな男の枕(ベッド)の下に御札(ラブ☆ルーン)を置く
食べ物に自分に陰毛を混ぜて食わせる
飲み物に自分の経血を混ぜて飲ませる
ラブラブになる

おまじないというか、けっきょくは催淫剤みたいなものを混入した飲み物と精力増強ミストみたいなやつのパワーで強制的にセックスアニマルとなり、裸の女性たちに囲まれながら村娘と合体。
行為の最中に、真剣な顔つきをした老婆が腰を後ろから押したりしてきます。ピストン職人でしょうか。熟練の業を感じました。

そんな空前のエロ行事が繰り広げられているとはつゆ知らず、ダニーは村娘たちに混ざって、メイクイーンを決めるための極限ダンスバトル大会に参加していました。
メイクイーンに選ばれるのはたいへんな栄誉らしく、村の建物の中に歴代メイクイーンの写真が飾られたりしてるのですが、村の中には誰一人メイクイーンだったという女性がおらず、おそらくロクでもないアレなんだろうなということが容易に想像できます。

映画の視聴者全員が
「いいか? オイ優勝するなよ? なあオイぜったい優勝するなよ?」
と思っている中、見事ダンスバトルに優勝してしまうダニー。
令和によみがえった上島竜兵と言わざるをえません。

さらには彼氏のクリスチャンが村の娘とピストン行為してるところもきっちり目撃してしまい、感情がバグってしまいます。

「メイクイーンは生贄の最後の一人を選ぶことができるよ。
 生贄ガチャで選んだ知らん村人Aか、彼氏のクリスチャン。どっちにする?」

と司祭(村長)に問われるダニー。
こんなもん普通に考えたら村人A一択なんですが、この時点でダニーはもういろいろ限界だったので、この映画のお作法どおりにクリスチャンが無事に選ばれました。
(ダニーがそれを選択するシーンが直接的に描かれないのが、また……)

神殿と称した小屋に、殺されたジョシュやマーク、同じように夏至祭に訪れていたカップルの死体が配置されます。
生贄を外から調達してきたことで名誉ある生贄に選ばれた村二人も入ります。
中央に、熊の生皮に包まれたクリスチャン。薬で身体は動きませんが、意識はある状態です。

これはハッピーエンドだよと言わんばかりの美しい音楽とともに燃やされる小屋。
で、この映画最高の胸糞ポイントの一つだと思うんですが、焼死する直前、ペレといっしょにいた村人が最後に恐怖と絶望でめちゃくちゃ泣きわめくっていう……。
いやお前らもやっぱり死にたくないんじゃねえかよ!っていうね……。
燃える小屋の外では、嬉しいのか悲しいのかよくわからん謎テンションで村人たちが乱舞。惨劇のキーマンであるペレとか、どう見ても嘆き、泣き叫んでるように見えます。

村人とともに、炎につつまれ燃え落ちる小屋を呆然と眺めるダニー。
そしてその顔には笑顔が……という締めくくりでした。

おまえなにわろとんねん。

と言いたいところですが、そんな単純なツッコミでは消化しきれない複雑な感情がわきあがりましたね。まさに問題作というか……。

作中、いろんな小ネタやら伏線があり、考察なんかもたくさんされてるようなので、そのへんを漁って読むのも楽しみなところです。
いやしかし……とにかくいろいろ救いがない話だったんで、エンドロールぐらいはジェッキーチェンの映画みたいなNGシーン集にしてほしかったところですがね!


なんだかんだおもしろかったので、近いうちに同じ監督の「ヘレディタリー 継承」も観ると思います。
例によってまったく内容を知りませんが、たぶんろくでもねえもんを継承するんだろうなー。
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