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旧ブログから続く「特殊レンズ(超)マニアックス」 シリーズ記事では、所有している、やや特殊なレンズ または稀に、やや特殊なカメラを紹介している。 特殊な故に、あまり世間に評価(良いものも悪いものも) が無い、という機材の紹介が主だ。 現在、全4回の短期シリーズとして「希少システム」編 を連載中だ、全部で36(本/台)の希少機材を紹介中、 今回がその最終回となる。 特殊であり希少でもある機材(主にレンズ、稀にカメラ) を紹介する意図は、「希少品といっても、それの販売 時点では、ごく普通に安価に売られていた機材であり、 個人的には、それを適価で入手していた・・ しかし、不人気・低性能・宣伝不足、等の理由で、 それらの生産・販売・流通数は極少であり、後年には 「希少品」として捉えられる事となってしまった。 だが、「希少だから、良いもので高価である」という 理屈は成り立たず、これらは、ただ単に「希少な」 だけ(≒さほどの価値は無い)であるものが大半だ。 何故、希少品となってしまったのか?を説明する事で、 平凡な機材を、後年に「投機的対象」と見なすような 事を避けてもらいたいが為、その出自を説明する意図だ。 なお、本記事は、マニアのM君との「仮想問答形式」 とする。 それと、本ブログでは、他にもレンズ関連のシリーズ 記事は存在する為、本シリーズは、不定期連載、そして 近いうちに他のシリーズに統合する為に、完了予定だ。 ---- では始めよう、今回最初の希少レンズ。 レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM G.ZUIKO 55mm/F1.2 (中古購入価格 20,000円)(以下、OM55/1.2) カメラは、SONY α7S(フルサイズ機) 1970年代頃発売のMF大口径標準レンズ。 では、以下は「仮想問答」とする。 M「F1.2のオールド標準レンズは、写りがイマイチ なのだろう?」 匠「そうだ。全体的にそうだが、特に50mmがまだ 実現できていない時代、つまり大口径標準 レンズが、55mmだとか58mmという焦点距離 だった時代のものは、完全に未成熟な状態だ」 M「なんと言ったか? ”鷹の目なんとか”という F1.2のレンズ、あれはどうなのだ?」 匠「良くそんなものを知っているなあ。 1960年代に”鷹の目ロッコール”と異名を馳せた ”MINOLTA MC ROKKOR PG58mm/F1.2”の事だろう? 所有しているが、残念ながら絞りが故障して しまっている。開放で撮った例は、旧ブログの 「最強50mmレンズ選手権第7回、MF50mm/F1.2編」 で紹介している。 ただ・・ このレンズも評判の割には、どうなん だろう?と、故障していなかった頃には常に疑問 があった。 最大の疑問は、誰がどういう撮影技法で、これを 評価し、どういう点が良いと思ったのか?だ」 M「どういう撮影技法とは・・?」 匠「MINOLTAの銀塩MF一眼レフ(MC/MD系マウント) では、旗艦機で極めてレアな”MINOLTA X-1” (1973年、旧ブログ”銀塩一眼レフ第4回”記事) の最高シャッター速度1/2000秒を除き、他は 全て1/1000秒機だ。 ISO100の低感度フィルムを用いた際、日中の 晴天時では、1/1000秒でも絞りをF5.6まで しか開ける事ができない。 まあ、暗所で撮るという手段は勿論あるが、 絞りをフルレンジ(F1.2から、F16程度まで) で自在に用い、解像感やボケ質の良好な所を 探して撮るなどは、銀塩時代の撮影技法では 絶対に無理だ。 まあだから、やや絞って撮った写真の中から 解像感の高い写真が得られ、”シャープに良く 写るレンズだ”などという評価をしただけ かも知れない、と思っている」 M「要は、銀塩時代での評価など、あてにならないと」 匠「そうだとは言い切れないが、多分にその可能性 は高い。そもそも、評価をする為の撮影枚数が 全然少ない筈だ。近代のデジタル時代であれば、 1本のレンズの評価をするのに、数千枚くらいは 普通に撮るが、フィルムでは、そこ迄は無理だ。 だから、レンズはもとより、カメラにおいても、 膨大な数の撮影により、精緻な評価を下すという そういう基本的な試験環境を得る事ができない」 M「なるほどね。 で、このOM55/1.2はどうなのだ?」 匠「すっかり忘れていた(汗) このレンズはOM-SYSTEM初期のF1.2級標準であり 後年には50mm/F1.2に正規化(≒標準的な仕様 として修正)された。レンズ構成はどちらも 6群7枚だが、硝材の種類(屈折率等)が 変化している可能性が高い。 で、当然ながら、短期で改善されたという事は、 この初期型の55mm/F1.2は、イマイチの性能だ」 M「どうしてもF1.2とかを各社作りたかったの だろう? ”大口径競争”というやつだ。 でも、その理由は何だ? 高く売れるからか? それとも、大口径にしないと、他社に比べて 技術力が低いと見なされてしまうからか?」 匠「良くわかるな、多分、どちらも正解だろう。 でも、やはり、その時代(1970年代前後)の F1.2級標準は実用性が低い。 希少価値(高価だから、あまり売れていない) は、わかるが、それ故に高価格な中古相場に なっている場合は、無理をして買う必要はない」 M「わかった。まあ、そうだろうな」 ---- さて、2本目のレンズ。 レンズは、SIGMA 24mm/F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO (新品購入価格 38,000円)(以下、EX24/1.8) カメラは、CANON EOS 6D (フルサイズ機) 2001年に発売された、銀塩フルサイズ・デジタル 兼用のAF大口径広角単焦点、準マクロレンズ。 M「なんとか三兄弟だろう? 希少なのか?」 匠「個人的に呼ぶ、”SIGMA大口径広角三兄弟”だ。 銀塩からデジタルへの移行期に開発され、 銀塩機では超広角(20、24、28mm) デジタルのAPS-C一眼レフでは準広角 (30~42mm程度)として利用できる。 また、全レンズが開放F1.8で、最短撮影距離が 20cm以下であり、”背景をボカした広角マクロ” の用法ができる。 近代では、フルサイズ機が普及しているので、 ”(超)広角マクロ”の用法が、再び注目だ」 M「効能はわかった。希少か否かは?」 匠「希少性など、どうでも良い話なんだけどなあ・・ 必要性があれば買うし、無ければ買わない。 私は、銀塩機からデジタル機への移行において SIGMAの企画通りの用途があったから買った。 ただEX28mm/F1.8だけは、APS-C機で準標準 画角にしかならないので、だいぶ後年になって からの入手だ。 いずれにしても、比較的単純で、当然な用法ながら、 ”銀塩の末期に買ったレンズをデジタル期に入っても 利用する”という、ほんの数年先を見た機材の 用法ですら、多くの消費者層にはピンと来ない話だ、 皆、今現在の、その時点の事しか考えていない。 そして、いくら中古カメラブームの時代であり ユーザー層での機材知識が増えていた時代であっても カメラ本体の事のみ興味があり、”NIKON F3を買うか、 Leica M6を買うか、どっちが良いか?”等のカメラ 自身への興味はあったが、レンズの事など、あまり 考えている人は居ない。 たとえNIKON F3を買った人でも、付属していた Ai50mm/F1.4S以外のNIKKOR交換レンズを買った 人の比率など、全体から見れば、限りなく低い。 何故ならば、”写真を撮る”事に興味があるのでは なく、”写真機であるNIKON F3”の事にしか興味が 無いからであり、本体と付属レンズ1本があれば、 それで満足してしまい、それ以上の発展的な興味等、 もう何も無い訳だ。 まあだから、このSIGMAの、しごくまっとうな企画 も、それがちゃんと消費者層に伝わっていたか どうかは疑問だし、理解できる消費者層であっても ”その日暮らし”の発想のままでは、デジタル化の 数年先を見据えたレンズ購入計画、など持っていない。 つまり、決して飛ぶように売れたレンズでは無い」 M「そうか・・ 残念な話とも言えるが、 まあ、レンズ購入計画など、誰も立てないだろう?」 匠「レンズの事を考えて(検討して、決めて)から カメラを買うという、メーカー側の(特にレンズ メーカーであるSIGMAの)考え方は、まともだと 思うが、消費者層の文化にはマッチしていなかった。 だけど、これはどう解釈しても、消費者層の側に 問題がある話だと思う。 レンズの事を知らない、わからない、考えない、 というのは、褒められた話では無いからな。 でもまあ、幸いにしてSIGMA広角三兄弟は希少価値 からの投機対象にはなっていないが・・」 ---- では、次の希少?レンズ。 レンズは、YASHICA CONTAX Planar T* 50mm/F1.4 (中古購入価格 19,000円) カメラは、SONY α7(フルサイズ機) 1975年発売のMF大口径標準レンズ。 匠「最初に言っておくが、一番、紹介/説明したく 無いレンズだ」 M「何故だ、CONTAXとか、カールツァイスと言えば 凄い名玉なのだろう?」 匠「半世紀も前の、ごく普通の国産標準レンズだ。 ただ、これが発売された時点(1975年)では、 確かに、他の国産(または海外製)一眼レフ用 大口径標準(つまり50mm/F1.4級)レンズよりも 僅かな性能優位性はあっただろう。 しかし、その優位性もほんの数年間だけの話だ、 1980年前後、MF時代末期においては、各社、 つまりCONTAXを含め、NIKON、CANON、PENTAX、 MINOLTA、OLYMPUS等の50mm/F1.4級標準レンズは、 どのメーカーのものを買っても、性能的に横並びだ。 まあつまり、50mm/F1.4級レンズの設計手法は、 この時代に完成の域に達したと思われる」 M「まあ良く聞く話だ、”どのメーカーのも一緒”と」 匠「そりゃあそうだ、その時代は(銀塩MF)一眼レフを 買うと、たいてい(MFの)50mm/F1.4レンズが 付属して付いてくる。 そのキット(付属)レンズの性能が低ければ、 ”このメーカーのカメラは写りが悪い”という悪評が 立って致命的になる。そうならないように、付属 の標準レンズの性能は、各社、日々、細かい改良を 重ねて、常に他社に負けないようにしていた訳だ」 M「じゃあ、なんでCONTAXが凄いと言われ続ける?」 匠「知らん。 いや、わかっていても説明したくない。 面白く無い内容だからだ」 M「いつも、気にいらないことは説明を省かれるなあ」 匠「当たり前だろう。そもそも、こういうレンズを 不条理な値段で、高価に売買していたとしても、 私には全く関係の無い話だ。馬鹿馬鹿しい話だと 思ったとしても、そこに口を挟んでどうする?」 M「わかったよ。要は、普通の性能のレンズを、皆が 有難がって、磨いて、神棚に飾って、拝んでいる 事が気に入らないのだな?」 匠「その通りだ、理解しているじゃあないか。 じゃあ、もう、このレンズの説明は終わりだ」 ---- では、4本目の希少レンズ。 レンズは、NIKON Ai NIKKOR 105mm/F1.8S (中古購入価格 41,000円)(以下、Ai105/1.8) カメラは、PANASONIC DC-G9(μ4/3機) 1981年に発売されたMF大口径中望遠レンズ。 M「これも気に入らないのではないのか?」 匠「まあそうだ。本来、この手のNIKKORの大口径の オールドレンズは、当時の戦略上の意味があって 発売されている。 具体的には、NIKON F3(1980年~)の発売に 合わせ、レンズラインナップを上級層でも 満足できるように充実させる為だ。 その手のレンズ群としては、Ai~S型において、 魚眼、超広角、大口径(F2級)広角、 大口径準広角(35mm/F1.4)、大口径標準 (58mm/F1.2)、大口径中望遠(85mm/F1.4、 105mm/F1.8)、大口径望遠(135mm/F2、 180mm/F2.8、200mm/F2)、大口径超望遠 (300mm/F2.8、400mm級以上)、マクロレンズ 等、いくらでも存在する。 ただし、いずれも高価であり、最低でも7万円 以上、普通は10万円越え、中には40万円もする ものも存在する」 M「フツーのレンズは、いくらくらいの時代だ?」 匠「だから、そういう事は、いちいち人に聞かずに 自分で調べろよ。当時の物価指数等も含めてだ。 まあ1つだけ例を挙げれば、Ai50mm/F1.8Sが 2万円だった時代だ。 物価指数は、現代の貨幣価値に直すには、 概ね2倍強程度と考えておけば良いであろう」 M「ううむ、すると、それらのNIKON F3用の 高性能(なのか・・?)レンズ群は、高すぎる のではないのか?」 匠「そうだ、値段が高すぎる。 職業写真家層等で、業務上で、それらのレンズを 揃えておく必要が無ければ、簡単に買えるものでは 無い。NIKON F3本体と高性能(?)レンズ数本の 最小限の(業務用)システムでも、現代の貨幣価値で およそ100万円以上にも到達する。 ちなみに、趣味分野におけるNIKON機の主力ユーザー 層である「団塊の世代」は、この時代では30歳代 前半位だ。 会社で言えば、主任とか、良くて係長クラスだろう、 その給料で、結婚もしなければならないし、家も 買うか借りなければならない。クルマも必要だし 家具も揃えなければならない。子供ができれば 養育費もかかる。仕事で忙しい中、時間があれば、 せいぜいが喫茶店で「インベーダーゲーム」に 数百円を費やす程度だ。 とてもじゃあないが、カメラやレンズに、今の 貨幣価値で100万円もの金額は投資できない」 M「ううむ・・・ 状況が見えるようだ」 匠「まあ、逆に言えば、NIKON F3や、それ用の 高性能(?)レンズ群は、その世代の「憧れ」だ。 だから後年、1990年代後半には、団塊の世代は 50歳前後となって、会社では課長か部長クラスで 給料も良く、子育てからも解放され、その 可処分所得の高さから、NIKON F3等の、若い頃に 憧れたカメラを(中古で)買い漁った訳だ。 その傾向は、銀塩時代が終わってデジタル時代に 入っても続き、2010年代までは継続された。 2010年代では、もう銀塩撮影をする人は居ないが 団塊の世代は、定年の時期だ。 ちょうどその時代、NIKONからはフルサイズの デジタル一眼レフが色々と発売され、カメラは デジタルだけど、レンズは、若い頃の憧れの NIKKORを(今にして)使ってみたい、と考える 人達はかなり多かっただろう」 M「よくわかった。 で、さっきから、”高性能”に「?」マークが ついているのは何故か?」 匠「要は、値段と性能が見合わない、という事だよ。 日本の工業力を高めて来たのは、その団塊の世代か または、その少し上の世代だ。 で、日本の工業は、品質の良い製品を大量生産で 安く作って売る事で成り立っていた。 1980年頃では、その日本製品が世界的に広まって いった世情だ。 映画「Back to the Future Part1」で、主人公の マーティは、当初1985年から1955年にタイム トラベルをしたが、その際、1955年在住の若き 科学者ドクが、タイムマシンの壊れた部品を見て、 「ああ、これはダメだ、日本製だ」と言うのだが、 マーティは「何を言っているの? 今は日本製が 一番なんだよ」と、ドクをたしなめる。 これは、1985年に公開された映画であるが、 その時代では、国際的にも、日本製品の品質が 認められていた事が良くわかるエピソードだ。 話を戻して・・ でも、日本製品が高い品質や 性能を発揮できるのは、大量生産の場合が主だ 高度成長期以降、インフレもあって、高騰しつつ あった人件費では、少量生産や、手工業的な 生産スタイルの場合では、その製品は、恐ろしく 高価になってしまう。 カメラ用のレンズでも同様、沢山売れれば その価格はどんどんと下がるのだが、あまり 売れないと、そのレンズは高額になってしまう。 当時のNIKKORの、高額レンズ群は売れない、 売れないから余計に割高となる悪循環だ。 ・・まあ、大量生産に乗らない、という訳だ。 こんな事は、高度成長期や、続くバブル期まで を支えてきた団塊の世代層や、そのやや上の 年代層であれば、仕事の上では「常識」と言えた 話であろう。 しかし、同じ人物でも、仕事を離れ、カメラとか 言った趣味の分野になると、とたんに、その常識 を忘れてしまう。 ”高価なNIKKORは、高性能な部品を使っているから 高価なのだ。ここまで高いのだったら、どんなに 良い写りをするのだろうか?”とか言い出す。 あるいは、値段による差別化の他の例としては ”この値段だったら、これくらいの性能でも、もう やむを得ない。もっと高価なものだったら、 もう1段高い性能になってしかるべきなのだが・・” いずれも、とんでもない誤解である事は、説明 する必要も無い。でも、何故、同じ人物であっても 趣味の世界では、こんなにも理解力が無くなって しまうのだろうか? なんだか良くわからない」 M「う~ん、耳が痛い話だな。 オレも、商品の値段について、そのように思う時は 多々あるぞ。でも、そういう話では無いのだな?」 匠「厳密に言えば、上の話が通用したのは、バブル期 までだ。それ以降、アフターバブル期においては 商品の「価格」というものは、その部品代等の 製造原価とは連動せず、”いくらだったら、その モノが売れるか”とか、あるいは、ハードウェアの 価格はもう限りなく安価にしても、その後の サービスやコンテンツで、利益を回収するような ビジネスモデルが当たり前となった」 M「まあつまり、値段と性能は比例しない、と」 匠「当たり前の話だ。何で、こんな話を何度も しなければならないのだろうか・・?」 M「わかったよ、オレの理解力が足りない話だ。 じゃあ話題を変える、このAi105mm/F1.8 というレンズは、レアなのか? いや失礼、 これは愚問だった。先ほどの説明で、こういう レンズが売れる筈も無いからな。 ・・じゃあ別の質問だ、性能はどうなのだ?」 匠「極めて悪い、失敗作ギリギリであろう。 先年、ちょっと研究がしたくなって、1950年代 から2010年代までのNIKKORの105mmという 焦点距離のレンズを光学系で分類し(10種類ある) それを全て購入して、その変遷を調べてみた。 105mmの焦点距離は、「NIKKORの栄光」とも 呼ばれるからな、それが本当かどうか?という 意地悪な検証も、その研究の背景にある」 M「趣味の悪い研究だなあ・・(汗) で、栄光のNIKKOR105mmはどうだったのだ?」 匠「確かに、優れたレンズも何本かある、フツーの 105mmレンズもある、ダメなレンズもある。 本Ai105/1.8は、残念ながらダメな類だ」 M「そうか、残念だな。 不満足な性能で、しかも高価ならば、もう お話にもならない訳だな」 匠「私の場合は”研究テーマ”があった訳だが、 団塊の世代を中心とした一般消費者層ならば、 本レンズや、他のオールド(高級)NIKKORを 買う事に対し、”憧れの実現”という部分に、 どれだけお金を積む事ができるか?という話に、 最終的にはなると思う。 ちなみに、”ダメだ”とは言ってはいるが、レンズ を使いこなすのは、最終的にはオーナーの責任だ。 単なるダメ出しならば、初級中級層でもできる。 でも、レンズの弱点を回避しながら、上手に使い こなすのは、上級層にしか出来ない事だ、だから ”可能ならば、それを目指せ”という事だ」 M「よくわかった、オレも、機材の事を”ダメだ”とは 言わないように気をつけよう」 ---- さて、次は銀塩カメラ+銀塩用の希少レンズだ。 カメラは、CANON (New) F-1(銀塩MF一眼レフ) (1981年発売、発売時定価:149,000円) (中古購入価格 60,000円) フィルムは、FUJICOLOR 100(カラーネガ) レンズは、CANON (New) FD 50mm/F1.2 L (1980年発売、中古購入価格 55,000円) M「ニューF-1といったら、名機では無いのか? 何処が希少なのだ?」 匠「良く知っているなあ、そう、名機だよ。 しかも今でも中古流通はある。若干高価だが 幸い、不条理なまでの投機的高額相場では無い。 ただ、装着しているレンズが希少品なんだよ」 M「ああ、わかったぞ、F1.2級だから、高くて 売れていなかったのだな?」 匠「その通り。ちなみに、同時代のCANONのFD系 標準レンズの発売年、仕様、価格をあげておく。 (安いもの順。注:消費税実施前) 1980:New FD 50mm/F2.0 :17,000円 1979:New FD 50mm/F1.8 :22,000円 1979:New FD 50mm/F1.4 :32,000円 1980:New FD 50mm/F1.2 :52,000円 1980:New FD 50mm/F1.2L:90,000円」 M「やはりな。F1.2、しかもLは高すぎるぞ。 それと、Lって、どういう意味だ?」 匠「CANONでの高級レンズを表す称号という事は 知っているな? 現代でも使われているからな。 この場合のLの「意味」つまり「差異」だが、 50mm/F1.2は、一般的な6群7枚変形ダブルガウス型だ。 50mm/F1.2Lは、6群8枚。1枚増えているのは非球面 レンズを追加して搭載しているからだ」 M「あれ、以前、”通常の構成に非球面を1枚足した くらいでは描写力は改善しない”とは言って いなかったか?」 匠「良く覚えているな。基本的にはそうだ。 まあ”多少は良くなるが、劇的な改善は無い” というのが、より正確な言い回しだ。 ただ、このレンズの場合は違う効果がある。 これも以前に説明したが、「F1.2級標準レンズは どれも低い描写力だ」という話だ。 だが、本レンズの場合は、開放F1.2にした事に 対して、非球面を入れてバランスを取っている。 だから、他のF1.2級標準のような、ダメダメな 写りにはならない」 M「でも、良くも無い・・と」 匠「そうだ、言いたい事を予想したな(汗) 一番まずいのは、まあ、F1.2の弱点を非球面で 相殺したのは良いが、その結果、上の表のとおり 他の標準レンズの3倍~5倍も高価となってしまった」 M「だからコスパが悪いのだろう?」 匠「その通りだ、もう何も言うことはないな。 このレンズの説明は、これにて終了」 M「ちょ、ちょっと・・ 銀塩機で使うというのはどうなんだ? デジタル とは、また違うものなのか?」 匠「ああ、そっちの話ね・・・ 全然使い勝手は悪いよ。この場合、ISO100のネガ を入れているが、New F-1の1/2000秒シャッター では、日中は絞りをF4程度までしか開けれない。 つまり、開放F1.2の威力を屋外撮影では発揮 する事ができない。 そうであれば、日中ではなく、室内や弱暗所で 撮ったらどうなのか?という疑問があるだろう? 確かにそこは考えた、だが今回は、コストがかかる 銀塩撮影ゆえに、成功率を高める措置を取った。 つまり、F5.6程度に絞って撮るならば、本レンズ の収差発生による描写力の低下は起こりにくい。 かつ、New F-1の最高シャッター速度を上回って 撮影不能または露出オーバーになる事も無い。 加えて、被写界深度が増しピンボケにもなりにくい。 だから、いくら開放F1.2のレンズだとは言え、 銀塩撮影では、普通は安全対策として、絞って 使うしかない」 M「そこまではわかった。でも、そうであれば、 この大口径レンズの持ち味は発揮できないし、 性能とかの評価も、わからないままでは?」 匠「その通りだ、だから銀塩システム、または銀塩 時代において、レンズの評価をちゃんとする等は その機材環境的に、とても困難な話だ。 また、コストがかかる為、大量撮影もできない。 フィルム撮影で、ほとんどF5.6に絞った状態で、 数十枚程度しか撮らなかったら・・ レンズの真の性能など、わかるはずも無いでは ないか」 M「先ほども、F1.2レンズで聞いた話に近いな。 ここが重要なポイントと言う訳か。 つまり、銀塩時代のレビューや評価は、あてに ならない、と」 匠「”根拠に乏しい”という事だよ。 そういうの(昔の評価)を探して、それを信じる 事も好ましくないし、ましてや、そういう昔の 情報を出典として要求したり、それを、エビデンス (証拠)とする(=誰それが、そう言った)等の、 ”まとめサイト”や”レビューサイト”、あるいは ”生成AI"とかの情報は、ますます信用に値しない」 M「なんでも自分で確かめろ、という事だな」 匠「その通りだ、マニアならば当たり前の話だ」 ---- では、6本目の希少?レンズ。 レンズは、TAMRON AF200-400mm/F5.6 LD [IF] (Model 75D)(中古購入価格 26,000円) カメラは、SONY α700(APS-C機) 1994年に発売された、開放F値固定型AF超望遠ズーム。 M「古臭い望遠ズームだな、(ちゃんと)写るのか?」 匠「SP銘は入っていないが、比較的良く写る。 ただ、それでも、とても良く写る、とは言えない レンズであるから、弱点は回避しなくてはならない」 M「弱点の回避とは?」 匠「個々のレンズによって、弱点が異なるから、 回避方法も、レンズ毎に異なる。 このレンズの場合、まず、AFが壊滅的に弱い。 その為、AFを使わず、MFで撮る。 ワンハンドズームもどきなので、重心バランスを 制御できるスキルを持てば、MF操作性は悪く無い。 また、絞り開放での解像感が低い。 その為、F5.6で撮らず、F8程度以上で撮る。 それと、望遠端での解像感が低下する。 その為、APS-C機で望遠画角を稼ぐとともに周辺 収差をカットし、さらに350mm程度(換算500mm 程度)までの焦点距離にとどめて使う。 手ブレ補正が無いので、できるだけα一眼レフ等の 手ブレ補正内蔵機を用いる。 まあ、そんな所か」 M「色々と面倒臭いなあ・・ 他のレンズでは また違う弱点回避があるのだろう?」 匠「そうだ、確かに面倒くさい。 だけど、それができなければ中級者どまりだ。 ”機材の弱点は認識できる、だけど、それに文句を 言うだけで、そこを克服しようとはしない” という感じだな。それではNGだろう?」 M「耳が痛い話だ。 で、このレンズは希少なのか?」 匠「希少になったのは、私の責任もある。 銀塩時代から、本レンズの有用性はわかっていて しかも2000年代初頭の銀塩末期には、本レンズ の中古相場は2万円台まで下落。最も買い安い、 超望遠、いや、このレンズしか超望遠の選択肢が 無い、という状況になっていた」 M「ふむふむ、それで?」 匠「だから、周囲の知人友人、まあ主に初級から 良くて中級層くらいだが・・ 彼ら彼女らが ”望遠レンズが欲しいのだけど、良いのはあるか?” と聞かれた際、必ず、このレンズを推奨し、実際に 購入にも付き合っていた。 その数、計10本弱という感じか・・ その為、大阪あるいは近隣の関西圏の、様々な中古 店で、本レンズを買い尽くし、2000年代中頃には 完全に流通が無くなってしまった。 残っているなら私も買うよ、という事で、さらに 予備レンズも買ったので、もう完全に流通消滅だ」 M「悪い事をしているなあ・・」 匠「悪い事か? 売れ残った中古品を買っているだけ なので、流通(お店)にとっては良い事では?」 M「他に欲しい人が居たら、困るだろう?」 匠「いやしないよ。だって、どの店に行っても たいてい、売れずに残っていたぞ。 店の人に、あえて話を聞くと、 ”古いレンズなので、AFがとても遅いです”とか、 場合により、完全な勘違いをしていて ”フィルム用レンズです、デジタルでは使えません” とか値札に書いてある場合すらあったぞ。 勿論、どのマウント(F、EF、α等)を買っても デジタル機で平気で使える。何も問題はない」 M「中古店よりも詳しいわけだな」 匠「それは常に目指すところだ。だって、変なモノを つかまされたらイヤだし・・ 店を構えているのと 違って、こちらは、そういう中古カメラやレンズを いつも使っている訳だ、詳しくならない筈が無い」 M「ふむ。で、買いつくして無くなってしまった・・と」 匠「そうだ。だから希少と言えるのかどうか・・?」 M「希少品じゃあないだろう? 他の地域に行けばまだ 売っているかもしれないし・・」 匠「そうだな、まあ、欲しければ、他の地域か、又は 通販で買ってくださいな」 ---- さて、次のレンズ。 レンズは、FUJIFILM FUJINON XF 56mm/F1.2 R APD (中古購入価格 112,000円)(以下、XF56/1.2APD) カメラは、FUJIFILM X-E1(APS-C機) 2014年発売のAPS-C機以下専用大口径AF標準 (中望遠画角)アポダイゼーションレンズ。 M「アポダイ・・ とかは、APOとは違うのか?」 匠「つまらない質問をするなあ、基本的な事だ。 APDとAPOの差がわからなければ、こういう レンズに興味を持つ事はないだろうし、 APDの効能がわからなければ、定価20万円 オーバーの、こういうレンズを買う事も無い」 M「良くわからんが、わからないから売れないで 希少品になってしまった、という事か?」 匠「厳密には希少品では無い。本記事執筆時点では まだ生産・販売が継続されているから、欲しければ 新品を買えば良い。中古は滅多に見ないが、全然 無いという訳でもない」 M「じゃあ、何で、希少品として取り上げる?」 匠「このレンズの事を希少とは言っていない。 だけど、アポダイゼーションとか、そういう 特殊な効能のレンズは、それが良くわかっていない 場合には手を出せない。つまり買わない。 だから、いずれこのレンズが生産終了となって しまったら、在庫品や所有品を高く転売したい という「投機的観点」が出てきてしまい、その頃に ようやくレビュー記事とか、アポダイゼーションの 詳細な説明とかがネットに出てくる。 勿論、そこには良い事しか書かれていない。 で、そういう美辞麗句の説明を読んだ人達は、 ”凄いレンズだったのだな。全然気付かなかったよ。 よし、これを買おう。 何、30万円? ちょっと高いけど、まあこれは 貴重なものだから、思い切って買ってしまおう もう二度と手に入らないかも知れないしな” ・・と、こういうシナリオになる訳だ」 M「馬鹿馬鹿しい話だ、何も知らない消費者が悪い。 まあでも、オレもわかっていないから、同類か・・」 匠「じゃあ、勉強してくださいな、できれば買うのが 一番良い、それが一番、特性がよくわかる」 M「ううむ・・ でも、高い!」 匠「そう思うならば買わんで良い、忘れろ(笑)」 ---- さて、8本目の希少?レンズ。 レンズは、TAMRON SP 90mm/F2.5 (Model 52BB) (中古購入価格 20,000円)(以下、SP90/2.5) カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機) 1988年発売のMF中望遠1/2倍マクロレンズ。 M「タムキューとか言うやつだな?」 匠「物事を知らない人ほど、あれこれあるものを 全て同じように”十把一絡げ”としてしまう。 TAMRON SP 90mm(MACRO)は、40年間以上 のロングセラーレンズで、機種数も多数があり、 光学系の変遷も、少なく見ても4種類がある。 それらを全部まとめて「タムキュー」かいな? どのレンズの事を言っているのか、さっぱり わからないじゃあないか」 M「失礼しました。タムキューの初期型ですかね?」 匠「違う。 初期型は、Model 52Bと言って、 1979年に発売だ。しかし、この52BB型は、 9年後に発売されたにもかかわらず、外観の マイナーチェンジ(小変更)に留まり、 光学系は変化が無い。つまり”改良の必要性が 無かった”という事で、初期型から光学系の 完成度は高かったと見なす事ができるだろう」 M「ふむ、ポートレートマクロと言うやつだな」 匠「そのニックネームがついて、有名かつ人気 レンズとなり、シリーズ通算で、40年以上も 売り続けることに成功した歴史だな。 ただ、1/2倍であった初期の頃のレンズには、 機種名に「MACRO」の文字は入らない。 自主規制かな? 1990年代に等倍化されてからは MACROの文字が入る事となった」 M「じゃあ、ポートレート・・ かいな?(笑) 何でそんな、あだ名がついた?」 匠「良い質問だ。 2つの大きな理由がある。 1つ、1970年代くらいのカメラユーザー層は、 付属の50mmレンズだけで終わってしまうか、 または、一部の人たちは追加でレンズを買うが せいぜいが広角(28mm)と、望遠(135mm) 程度だ。中望遠レンズ(85mm~100mm程度) や、マクロレンズは誰も持っていない。 そこに、ポートレート(中望遠)も、マクロ (1/2倍)も両方いける、安価なレンズが発売 された、多くの人はこれに興味を持つであろう。 第二に、そこまでを意図したTAMRONでは、 このレンズの特性を、中間ピント位置(数m) で、最良の画質(収差低減や、ボケ質等)を 得られるように設定(設計)した。 つまり、ポートレート用としても、優秀な 特性がある。マクロは、むしろ「おまけ」だ、 マクロ時に劣化する画質とか、誰も気付かない」 M「ほほう、よく考えられている」 匠「こういう設計仕様を、私は”確信犯”と良く 呼んでいる。でも悪口では無い、ユーザーの 心理の上を行き、しかも、それを悟られない、 とても優れた設計思想だ。 使い込むうちに、どんどんと、このレンズの ”信者”になってしまう訳だな」 M「まいったなあ、今時のレンズで、そんなものが 存在するのか? なんか、何も考えずに作って いるように感じるぞ」 匠「そう思いたくはないが、そうかもしれない。 まあ、だからマニア層が、新鋭機材に興味を もてず、ビギナー層しか買わないから、ますます あまり役立つとは思えないスペックばかりを 強調して、さらに値上げをするという悪循環だ」 M「辛らつだなあ・・ でも、そうなのだろうな」 匠「私だって、カメラ市場が縮退するのは見たくないさ、 欲しい機材が何も無くなってしまうからな。 でも、現実には、そうなりつつある。 何が問題か? きっと、スマホの普及でもコロナ禍の せいでもないだろう・・ 市場は自ら、面白く無い製品を作るように変化して しまった訳だ。これではもう、マニア層が激減する のも、やむを得ない」 M「残念な状況だ」 匠「そう思うならば、少しでも思うところを情報発信 したらどうなんだ?」 M「そりゃあ無理だ、何も説明できないしな」 匠「結局、ネットの時代だといっても、世の中にある 99.99%の情報は、役に立たないものばかりだ。 でも、だからといって、ただ単に情報を受信し、 それについて、あれこれと無意味に語っている だけだったり、あるいは、左から右へと情報を 転記しているだけならば、面白くないだろう? 自分なりに発信できる情報もあるのでは?」 M「ううむ・・・ 」 匠「まあ良い。自分が思うようにやれば良いだけだ」 ---- では、今回ラストの希少?レンズ。 レンズは、TAMRON SP AF 180mm/F3.5 Di LD [IF] MACRO 1:1 (Model B01)(中古購入価格 30,000円) カメラは、SONY α77Ⅱ (APS-C機) 2003年に発売された望遠等倍マクロレンズ。 匠「まさか、これすらも”タムキュー”、あるいは ”タムワンエイティ”とかは、言わないだろうな?」 M「まさか(笑) ”キュー十ミリ”じゃあ無いしな。 そもそも、オレは、このレンズの存在を知らん」 匠「だけどTAMRONの90mmマクロが、そこまで有名 ならば、何故、”TAMRONの他のマクロはどう なのだ?”と、興味を持たないのだろうか? それに、2010年代中頃まで、10数年間も販売 されていたロングセラーのレンズだったぞ」 M「知らない事は、言い訳はできないけど・・ 誰も褒めていないし、話題にも出て来ない」 匠「誰かが良いと言わないと、知らないままなのか? 情けない話だ。 そうそう、先年、μ4/3機を購入した知人から、 ”レンズはどれが良いのか”という相談を受けた。 何をどう撮りたいのか? 予算がどれくらいあるのか? そんな事は聞いていないし(聞いても、明確な意思 や計画がある訳でもなかった)、やむなく何本か 特徴的なレンズと、用途などを説明したのだが。 それは知らない、これも知らない、と、そんな返事だ。 レンズが欲しいから質問しているのではないのか? あまりにレンズの知識がなく、おまけに興味すら 持たず、自分で調べる事もしないし、調べたと しても低レベルなユーザー評価を、どこかのサイト で読んで、”それは色収差が出ると聞いた”等の、 超ビギナー評価の受け売りをするので、あきれて ”それじゃあ、まずμ4/3機のレンズを全部調べなさい。 全メーカーの全部で247機種あるから、その全ての スペックや価格を暗記するくらいにしてから、 そこからの相談だ”と答えた」 M「酷いアドバイスだなあ・・(汗) 覚えられる訳ないじゃあないか!」 匠「そうか? 例えば小学生とかでも、電車の型番とか 各国の国旗とか、昆虫やキノコの名前とか、物凄く 良く知っている子供は、いくらでもいるぞ」 M「それは、その子供が、それが好きで、図鑑とかを 毎日読んでいるから・・・ ああ、そうか、何が言いたいか、わかったぞ。 それは子供が、自分が、その分野に興味があったり 好きだから、続けられることであり、それで 自然に、そのジャンルの事を詳しく覚えてしまう 訳だな。 覚えられないとか、あれこれと文句を言うだけ とかは、興味が無い、好きでは無いからだな。 わかった、それでは「マニア」では無いな、 何を薦めたとしても、無意味かも知れないな」 匠「そうだ、言いたい事はそういう事だ。 カメラ本体は、皆、あれこれと欲しがるから、 当然、調べていくうちに、詳しくなる。 だが、レンズには、何も興味が無いのだ。 何を言っても耳に入らないし、覚える事も無い。 興味が無いから調べないし、結局、誰かが良いと いったレンズしか買わない訳だ。 (注:ユーザー評価を調べて買うというのも同じだ、 結局、自分の意思や目的が、購買行動に介在する 訳では無い) これは別に、その知人だけの課題ではない。 今時のたいていのユーザー層がそうなっている。 特に、マニア層と呼ばれる人達が激減してしまった 近年では、ますますレンズに興味がある人は減った。 世の中の統計とかも、カメラの販売台数だけしか 公表されていない。レンズの事など、何も正しい 情報が入ってこない訳だ・・」 M「ううむ・・ 良く考えると、これも耳の痛い話だ。 オレは果たして、所有機のマウントの全レンズの 事を覚えられるだろうか・・? 知らない、というのは、本質的に興味が無い という事なのかも知れないな。 何故だろう? レンズが高いからか?」 匠「レンズが高価すぎる、というのは、昔から 極めて良く聞く話だ。 私もそう思う、まあだから、ほぼ全て、中古品 しか購入しない。かつ、自分が事前に決めた そのレンズの実際の価値(金額)に達するまでは 絶対に購入しない。 例えば、本SP180mm/F3.5ならば、3万円の価値、 と、個人のメモ(購入予定リスト)に記入して、 そのまま待つ。その値段まで下がらなければ買う 事は無いので、場合により何年も待つ事になる」 M「絶対にその値段まで相場が下がるのか?」 匠「下がらない場合もある。そんな場合は、 世情の変化か、あるいは何らかの市場操作が 入っていると見なし、コスパが見合わない ならば、購入予定リストから消去する事もある。 つまり諦める」 M「必要なレンズだから、買うのではないのか?」 匠「必要という意味が、実用上で必要な場合と、 他にも、例えば、研究対象(知的好奇心)で 必要な場合もある。実用レンズは、もうたいてい 所有しているので、あまりそこに注力する必要も無い」 M「それは特殊な環境だな。 フツーは、使うから/欲しいからレンズを買うのでは?」 匠「だが、そう思って、”何をどう撮りたいのだ?”と 聞いたとしても、明確に答えられる人は少ないぞ」 M「う~ん、それもそうかもしれない」 匠「特に、本レンズのような”望遠マクロ”は、 その傾向が顕著だ。 ”望遠マクロが、どうしても必要だ”等と言う 人は、まず聞いた事がない」 M「ううむ、だから、オレも興味が無いから、 このレンズの事を知らなかった、と・・」 匠「そうだ。望遠マクロが必要だと思ったならば、 それに該当する機種は、数える程しかないのだから 必ず、この機種は購入検討対象に入っている筈だ。 しかし、そもそも”望遠マクロが必要だ”と思う 事自体が、まず無い。何故ならば、そう思う為 には、明確な撮影シチュエーションを想定しないと ならない。でも、その想定は一切無いだろうし、 あったとしても、世間で思う所の”望遠マクロが 必要なシーン”という状況が、実情とはかけ離れた ものだ」 M「かけ離れているとは? 望遠マクロと言えば、 植物園の花壇とかで、近寄れない場合に、三脚を 立てて、遠くから花を大きく写すものでは無いのか?」 匠「そんな使い方は一度もした事はない。 ・・違うんだよ、望遠マクロのWD(ワーキング・ ディスタンス)では、実際には、そんな使い方は あまり出来ないんだ」 M「ん? じゃあ、どう使うのだ?」 匠「言わない(笑) 説明が長くなるし、実際に 使ってみないと言葉だけでは理解が難しいだろうし、 そもそも、何でも人に・・」 M「”なんでも人に聞くな”、だろう(笑) わかったよ、オレは望遠マクロには、基本的に 興味が無いし、きっと買わないだろう・・・ ああ、そういう風に、用途や用法が思いつかない から、望遠マクロは売れず、希少になってしまう 訳だな・・・ そういう事か?」 匠「その通りだ。 ”知られていないから、希少品になってしまう”、 というケースは、極めて多い。 で、知らない事は、すなわち興味が無いという訳だ。 だから、知らないままでスルーするのが、1つの 賢明な対応だ。 変に、後から知って”どうしても欲しい”とか 思ってしまう事が、一番良くないパターンだ」 M「よくわかったよ、知らないままの方が幸せな事も あるという事だな・・・」 ---- では、今回の記事は、このあたりまで。 次回記事の内容は未定、不定期連載とする。
by pchansblog2
| 2023-12-02 18:11
| 完了:続・特殊レンズマニアックス
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