水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

IT企業と野球とテレビ

古い話で恐縮ですが、楽天が最後までDeNAの球団保有に反対していた時「へー、そうなんだ」という…なんというか、約30%の意外感がありました。「球団保有で楽天はそんなにメリットが出てるんだー」と言う感慨です。もし楽天が球団保有を費用対効果的にパッとしないと感じていたら、DeNA参入にこれほど抵抗はしなかったでしょう。あるいはむしろ「フフン、お前も費用負担の苦しみを味わえ」でウェルカムな態度をとったかも。以前、新興企業の球団保有に賛成するエントリーを書いたことがありますが、私の想像以上に、執拗な抵抗をするくらい球団保有にはメリットがあるようです。
それは、連日連夜テレビのニュース番組で「楽天」という企業名が連呼される効果でしょう。球団保有の価値はテレビの価値でもあります。

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テレビの価値と言えば大阪市の新市長橋下氏も連想されます。橋下氏の勝利は「行列のできる法律相談所」への出演によって、攻撃的なビッグマウスキャラが世間に広く認知されていた為です。そうでなければ、一介の弁護士がいきなり知事選・市長選に立候補して「府も市もぶっ壊して大阪都を作る」なんて吠えても、誇大妄想にしか見えません。アブナイ感じ全開で、マック赤坂氏並みの「変なおっさん」で終わったでしょう。
ネットの中の有名人にこれほど知名度のある人がいるかと言えば、うーん…。

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「家政婦のミタ」第8話は視聴率29.6%。「天空の城ラピュタ」は13回目の放送にして視聴率15.9%でした。これはテレビ(特に地上波)の多様性の無さが「共通」を生みだす力です。無限の情報を抱えるネットで、単一のコンテンツを三割の世帯が同時に視聴するという事態は想像するのが難しい。多様性が影響力の弱さになっているように思えます。
先ごろ発表されたBLOGOS AWARD 2011も印象的でした。ページビュー賞は中部大学教授・武田邦彦氏が、ブログメディア賞は池田信夫氏が代表を務める「アゴラ」が受賞。反原発ヒステリーを煽っている代表と、それを批判している代表が賞を分け合う皮肉さ。多様性こそがネットの素晴らしさでありつつ、ヒステリー派は武田氏のブログを読み、冷静派は池田氏のブログを読む。同様に「反韓流」だの「TPP賛成派」「反対派」だの多様な階層に分断され細分化され「共通」がない。
じゃあテレビが正しいのか?。「報道ステーション」で放送されている内容が国民の知識として理想なのか、といえばそうは思いません。思いませんが、厳然として報道ステーションの方が国民の「共通」を形成する影響力がある。これは果たして今なお過渡的な状況なのか?、それとも構造的な違い?。

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ネットでビジネスを成功させてもなかなか知名度や企業イメージが上がらない。けれどテレビで、どのチャンネルをつけても似たり寄ったりのニュースが放送されていて、その中で「読売」や「西武」といった伝統ある企業と同列に「楽天」と連呼されると認知され、イメージが改善する。胡散臭さがロンダリングできてしまう。金をかける価値があり、だからこそ今度は「ソフトバンク」や「楽天」とあたかも同列であるかのごとく、「DeNA」と連呼されるのが楽天は許せない。
テレビ業界は今、ネットの隆盛に押されて経営は悪化しています。その一方でソフトバンク・楽天・DeNAという日本IT業界の古参・大手・新興が競ってテレビで企業名が連呼される事に大金を注ぎ込むのは興味深い現象です。

ヤバイ…上手くまとめられないのですが、ネットとテレビはパイを食い合う代替的なだけでなく、IT企業がテレビに名を出したがるように、また先日のバルス祭りのように補完的にテレビも生き残ることができるのか。それとも、いつかネットの多様性の中に公約数的な「みんなの共通」を作りだす技術が生まれて、テレビは更に片隅に追いやられるのか?。うーん。

おまけ

日本ハムファイターズが、札幌ドームの使用料値下げを要請すると言うニュースがありました。ファイターズが北海道に移転したのは大正解だと思いますが、日本ハムという歴史ある企業がこれ以上日本国内でイメージ向上に大金を使う必要性は乏しく、それが日ハムが出せる予算を制約します。
ファイターズもGREEあたりに売り付けちゃえばいいんじゃないの、などと思います。売れば買いそうじゃない?、結構高値で。日本シリーズが「DeNAベイスターズ 対 GREEファイターズ」になったりしたら、オーナー企業同士の「意地でも絶対負けられないっっ!」が火花散らして超面白そう。