水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

老人と技術

私は稀に、「年金 VS 若者」のような、やや高齢者に批判的なエントリーを書くことがあります。今日は敬老の日なので、高齢者の側に立って考えてみたいと思います。

自動車

高齢ドライバーの増加に伴い、アクセルとブレーキを踏み間違えて店舗に突っ込むといった事故が多発しています。高齢者は免許を返納しろとか運転するなと言われたりしますが、本来自動車を必要としているのは元気な若者より足腰の弱った高齢者です。悪いのは高齢者の運転技量ではなく、今だにアクセルを踏んで加速しハンドルで操作すると言う100年も前に開発された稚拙な技術を使い続けていることです。
と言う話は以前も書いたのですが、google先生が頑張っています。

自動運転が実用化されれば、高齢者は事故の心配なく車を使う事ができ、外出する自由・好きな場所に行く能力を確保できます。それでこその自動車社会。
世界トップの高齢化社会で、かつ1400兆円の個人金融資産の六割を60代以上が抱えている日本は、一躍世界で最も成長の見込める自動車市場になるかもしれません。トヨタやホンダにも頑張っていただきたい。

携帯電話

振り込め詐欺の被害は今も続いています。
通話しながらの状態で銀行のATMまで誘導出来てしまう技術革新が、特に初期オレオレ詐欺の原動力になっていました。弱点となっているのは、電話が携帯に進化したけど通話は依然として音声でしている点です。
田舎に年老いた親が暮らしている人は、帰省した際に「テレビ電話」の使い方を仕込んでみたらどうでしょう。「もし俺が通勤電車で痴漢して、その日中に示談金が必要な事態になったら、絶対にテレビ電話で連絡する」と強調しておきましょう。また、老人は教えたことをすぐ忘れるので、月に一回程度テレビ電話をかけて上げます。親孝行にもなるし、繰り返す事で「息子(娘)からの電話は必ず映像で来る」ということをパブロフの犬になるまで教え込むのです。
更にあと一歩、「息子(娘)からのコールはskypeで来る。昔の“電話”なんてもう使わない」まで出来るようになればコストも楽で防犯能力も上がります。

ネット通販

ネット通販も自動車同様、本来は若者より高齢者に必要なものです。スーパーまで行くのも大変だし買い物を持って帰るのも大変。でも、パソコン操作が壁になっています。
amazonは初回利用時に、商品の送り先等を「キーボード入力で登録しろ」と言ってきます。困難な事を平然と要求する傲慢な態度と言わねばなりません。それに対し、皇潤の通販は親切です(ジャパネットたかたでもいいですが)。テレビ画面上に表示された番号に電話さえすれば、後は親切なオペレーターさんが手取り足取り、あるいは根掘り葉掘り、住所や支払い方法を確認してくれます。テレビ+電話と言う枯れた技術に勝てないネットなんて!。大手スーパーなどは、ネット通販の代用に高齢者だけカタログを配布したりしているそうですが、カタログって…更に退化してるじゃないですか。
では、どうすればいいのでしょう。高齢者はパソコン嫌いですがテレビは大好きです。テレビ画面全体をタッチパッドには出来ないのでしょうか?。40inchの液晶画面にバーンとスーパーのチラシが表示されて、指操作でページがめくれて、欲しいものをタッチすれば注文OK。必要ならskypeでコールセンターに接続して、送り先住所の確認など、対面でサポートを受ける。とかとか。コールセンターコストがかかりますが、高齢者はそんな価格差は気にしないでしょう。ジャパネットがそれで利益を上げてるんですから大丈夫です。
要素技術的には可能な気がしますが、その地域ごとにスーパーのちらしをバーンと表示するのはどういう仕組か…。うーん。

次の市場

コンビニは高齢者向けの総菜に力を入れています。ゲームセンターが高齢者の憩いの場になっているという話があったり、DVDレンタル市場で60〜70代のシニア層の利用が増加していたりするそうです。
かつて若い顧客層を主眼にしていたビジネスが、市場の飽和あるいは衰退とともに高齢者市場にシフトしている形です。
ということは、今から20年後にはグリーやモバゲーが高齢者をターゲットにバーチャルペット育成ゲームやバーチャル孫と遊ぶゲームなんかを展開しているかもしれません。

おまけ

技術によって生じた格差や弱者は、その技術を否定して解消するのでなく、もっと技術を高めて解消したいっていう話をしたかったのです。ま、それはともかく、日本には老人を敬う日が今日以外にもあるのをご存知ですか。wikipediaによると、

敬老の日を第3月曜日に移すにあたって、高齢者団体から反発が相次いだため、2001年(平成13年)に老人福祉法第5条を改正して9月15日を老人の日、同日より1週間を老人週間とした。

とあります。あー、なんでしょう。この、老人どもが政治を好き勝手に支配している感じ。こんなニュースもあります。

希望者全員、65歳まで雇用へ 継続の選別基準撤廃
厚生労働省は12日、高年齢者雇用安定法を改正し、(中略)年金の受給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられることを受け、希望者全員が例外なく、受給開始まで仕事を続けられるようにする考え。

http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011091201000871.html

高齢者を10人継続雇用するってことは10人分椅子が埋まるわけで、そこはトレードオフで若年層の新規雇用は10人削られます。つまり政府や厚労省には、若者が、希望者全員が例外なく仕事に就けるようにする考えはないということです。
敬老の日は、国民の祝日に関する法律によると「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としているそうです。でも、敬老の気持よりも、もっと今の日本に不足しているものを考えると、そろそろ敬老の日は今年あたりで廃止にして、「これから多年にわたり社会につくしていかなければならない若者の困窮を考え、その改善を図る」

救若の日

でも作った方がいいのではないでしょうか。