水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

厚生年金は憲法に違反している気がする

国は、原則として個人のお金の使い方に口を挟まないことになっています。たとえそれが、ブランド品を買い漁る、毎日パチンコ屋に入り浸る、AKB48のCDを一人で何百枚も買う、といったあまり賢明とは言えない支出でも。その結果、毎日カップ麺しか食べられなくても、電気を止められることになっても。です。
それは、自己責任などと言ったケチな概念ではなくもっと根源的な人権=「自由」です。何がその人にとって幸福かはその人次第。だからパチンコでもAKB48でも自分の金を何に使おうとその人の自由です。

憲法13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

にもかかわらず、自分の金の使い方に国が介入してくるのが年金の強制加入です。税はあくまで国の運営費用の請求です。それに対し年金は、本人に還ってくるお金の積み立てを強制しており普通に考えれば憲法13条に反します。老後の豊かな生活より、今、AKB48のCDを買う方が幸福の追求だと言う人に年金保険料支払いを強制する。何故そんな介入が許されるのでしょうか。
タテマエとしては、必要最低限の蓄えもなく老後を迎えると生存にかかわる極めて深刻な事態になる。だからそうならないよう事前に介入する事が例外的に許される。であり、本音としては、国民は馬鹿が多いので放置すると蓄えなく老後を迎える者が後を絶たず、生活保護の給付が際限なく膨らんで困る。という点があるでしょう。必要最低限な蓄えさえ怠ることは、本来回避できるはずの生活保護給付を生じさせるので「公共の福祉に反する」という訳です。

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老後の為に今本人が希望するCD購入枚数を減らさせることは許されるか?。その点に異論もあるでしょうが、ここは許されるとします。
それでも、①老後の生存を確保する、②生活保護の給付を回避する、という目的で容認されるのは、あくまで必要最低限の蓄えだけ。つまり国民年金のような「基礎年金or最低保障年金」だけで、厚生年金の報酬比例部分のような「所得比例年金」までは必要ありません。
現役時代に金を使い、老後は食うや食わずやの生活で良いと思うか、現役時代には節約し、その分ゆとりある老後を送りたいかは完全に個人の自由で、所得に比例して年金を増額する事を強制はできないはずです。
老後は質素で良いと思う人にとっては厚生年金は過剰貯蓄で、パチンコをしたいという現在の幸福追求権を侵しています。また、ゆとりある老後を望む人にとってもその準備を預金で行うか、株や債券で積極的に運用するか、土地や建物を買うか、選択は本人が決めることであり国が運営する年金しか選べないのは自由の侵害です。
憲法29条で財産権の保障があり、その下に民法206条があります。

第206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

まさにここで、合法である限り自分の金をパチンコに“使おう”が、預金や株で“利益を上げよう”が、AKBのCDを“捨てたり人に譲渡しよう”が自由だと明記されています。
基礎年金の範囲を逸脱する部分*1は憲法違反、少なくとも、報酬比例部分は任意加入が限度です。

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何故、年金制度はこれほど過剰に膨張してしまったのでしょうか。
最大の理由は国民が手厚い年金制度を望んだことです。が、それは厚労省から「支払った保険料以上の年金が受給できて得しますよ」という甘言に騙された結果です。「得する」という差額を一体誰が負担するのか?。賦課方式の年金が実態はネズミ講で、後の世代に過剰な負担を与える事を十分考えなかった事も悪いのですが、「国が保障するんだから大丈夫」と騙した方にも責任があります。

では、何故厚労省は年金制度を過剰に膨張「させた」のでしょうか。
それは、年金保険料が彼らにとって都合のよい「遊ぶ金」だった為です。年金保険料は厚労省の独自財源で財務省の顔色を窺う必要もありません。日本の年金は賦課方式ですが、今年誰かが払った保険料が、即、今年誰かの年金に支払われるわけではなく、積み立て方式を併用しています。年金積み立てピーク時には150兆円もありました。官僚たちは、この金を好き放題に使っていました。
かつて日本中にあった厚生年金会館というコンサートホール。これは「厚生年金保険加入者の福祉増進を目的」という意味不明な口実で厚生年金保険料を財源に設置され、その運営は社会保険庁に関連する財団法人である厚生年金事業振興団が行っていました。年金として国民に返すべき金を官僚と特殊法人の天下りOBが収奪していたのです。
グリーンピアというリゾート施設も、厚生年金休暇センターなどの宿泊施設も、厚生年金ハートピアなどの老人施設も同じです。日本中に何十件もの施設が立ち並び、官僚OBが役員・理事などとして天下っている団体で運営されていました。ザーザーと音を立てて金が官僚&OBたちのポケットに流れ込んでいました。これら施設は小泉政権時代に全て閉鎖売却されることが決まりましたが、それまでの間に官僚たちに流れ込んだ巨額の金は取り戻せません。
負担と給付の世代間格差からしばしばネズミ講にたとえられる年金ですが、最大の問題は、一番得をしているネズミ講の親(講元)が官僚だったことです。(今は一切不正な流用がないのかも、本当のところは分かりません。)

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非正規雇用が問題になり、パートなど非正規労働者が厚生年金へ加入するための対象条件を「週30時間以上」から「週20時間以上」に引き下げる方向で検討をしています。非正規雇用でも厚生年金に加入「できる」というのは、実際は加入を「強要」することです。あたかも、弱者のためを思っての温情的対応のフリをしていますが、厚労省にとっての本音は財務省に介入されない「自分の金」の規模拡大と、流入資金拡大によるネズミ講崩壊の先送りでしょう。

国が強制する年金は必要最低限の規模であるべき。今一度、「得する」という甘い言葉の裏を考え、憲法違反の過剰制度は廃止すべきだと思います。

追記:廃止すべき、と口で言っても変わらないものをどうやって変えられるか。それを次のエントリーに書きました。

*1:月6万5000円の年金で生活できるか?。生活保護よりずっと少ないじゃないか。というご批判もあると思います。ここで言う基礎年金は、現行の国民年金そのままとは限らず、妥当な範囲での最低保障年金を指します。