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【書評】「討ち入りたくない内蔵助」(白蔵 盈太)

本好きの父親の影響で子どもの頃から本好きだったが、小学生の頃には「伝記」を読むことが多かった。「ベーブ・ルース」や「ヘレンケラー」、「野口英世」や「キュリー夫人」など、国内外の偉人たちの伝記を読んではすごいなと思ったものだ。

歴史上の功績をあげた人物の伝記を読むと、その功績や人柄を示すエピソードなどが書かれていて素晴らしい。しかし、実際には日々の生活があって、時にはつまらないことで悩んだり笑ったり怒ったりしているかもしれない。そんな「普段の素の姿」があることは、伝記を読んだだけではピンと来ないのではないだろうか。

討ち入りたくない内蔵助 (文芸社文庫 し 6-2)

白蔵盈太さんが書かれた「討ち入りたくない内蔵助」は、赤穂浪士47人が吉良邸に討ち入った赤穂浪士事件の中心人物、大石内蔵助の「普段の素の姿」を描いた物語だ。

松の廊下での刃傷事件の情報がもたらされると、籠城だ仇討ちだといきり立つ藩士たち。内蔵助は彼らをのらりくらりとかわしながら、「藩士どもを殺してたまるか!」とお家再興に向け画策する。しかし、精一杯やっているのに四面楚歌。やってられるか、こんなこと! 筆頭家老の責任なんて投げ出せたら楽になれるのに……。既存のイメージを覆す、人間・内蔵助を等身大で描く新たな忠臣蔵。 

(ブックデータベースより)

前作の「あの日、松の廊下で」の続編ともいえるこの物語は、歴史上実在した人物を等身大の姿で描いている作品だ。前作同様に「人間味あふれる登場人物」ばかりだ。

「忠臣蔵」に出てくる赤穂浪士の事件は、その経緯も討ち入りの様子も事後の対応もすべて分かっていることだが、物語を読み進めていくうちに結末を変えたくなるようなもどかしさを覚える。それだけ登場人物に感情移入をしてしまうのだが、それも筆者の筆力が高いからだろう。読み終わったときに、清々しさと哀しさと温かさを感じる、とても素敵な一冊だった。

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