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トルコ政府とトルコ国民の英断で知った「教育の力」

 毎週火曜日になると、「みやざき中央新聞」という見開き4ページの小さな新聞が届く。新聞といっても事件や事故などのニュースが掲載されているのではなく、いろいろな方の講演内容が中心となっている情報誌のような新聞だ。

 毎週心が和む記事や良い気付きをもらえる新聞だが、今週の社説にもなるほどなと心を動かされる内容が書かれていた。

トルコ政府とトルコ市民の英断

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 社説に取り上げられていたのは、イラン・イラク戦争の際の邦人国外脱出の話。トルコ政府とトルコ市民の英断に、「教育の力」を感じる素晴らしいエピソードが書かれていた。

 イランに戦争を仕掛けたイラクが「42時間経過後、領空を飛行する航空機はすべて撃墜する」という通知を出し、各国は自国の駐在員や在住者を国外退去させるため次々と航空機をイラクに派遣していた。しかし、日本は日本航空に依頼したものの、安全が確保できないという理由で断られてしまう。

 イラクに駐留していた日本人は、現地の日本大使館が他国の航空機に空席がある度に座席を手配し、一人でも多くの日本人を脱出させようとしていた。タイムリミットが迫る中で、それでも大勢の日本人が帰国の途につくことができない。

 そこで、日本大使館はかねてから親交の厚いトルコ大使館に「航空機を1機追加で飛ばして欲しい」と依頼する。大使館から連絡を受けたトルコのオザル首相は「日本人には恩返しをしなければいけない」と答え、日本からの要請を受けて救援機を飛ばすことにした。

 しかも、日本人を優先的に登場させるという驚くようなことまでやってくれた。救援機に乗ることができなかったトルコ人は陸路で3日かけて脱出することになってしまったのだが、それに対して非難や批判の声がトルコ国内から一切出なかった。

  オザル首相の言った「日本人には恩返しをしなければいけない」という意味は、明治23年に起きたトルコ軍艦の海難事故のことである。有名な話なのでご存知の方も多いと思うが、トルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山県沖で座礁・沈没した際に、地元住民が献身的な救助活動を行った。

 地元住民たちは崖下にたどり着いた69名の乗組員を命懸けで助けただけではなく、貧しい村にもかかわらず非常食や鶏なども彼らに提供した。さらに、全国からも自然発生的に義援金が集まったという。こういったことを今でも忘れずに恩返しをしてくれることも素晴らしいし、それに対して非難や批判が出ない国民性というのもさらに素晴らしいと思う。

 みやざき中央新聞の社説によると、それは「教育の力」だとしている。トルコでは教科書に海難事故のことが載っており、国民だれしも日本の献身的な行動を知るとともに理解しているそうだ。それが、現代においても国民性として受け継がれているというのは、2011年に発生した東日本大震災でのトルコからの厚い支援を考えると頷けることであろう。

 「教育の力」というものは素晴らしいし、国や民族を超えて世界平和の礎になるということを社説は訴えていた。 

正しい教育は力となり世の中を変える

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 教育が大切だという話を読んで、先日知人に教えてもらった心温まる出来事を思い出した。

 話をしてくれた知人は視覚障害があり全盲だが、ウェブ関連の仕事に従事しバリバリと働いている会社員だ。彼は毎朝電車に乗って会社まで通っているが、白杖をついて誰にも頼らず一人で通っている。

 ある日、駅で電車を降りて改札を出ると「誘導しましょうか?」という可愛い声を聞いた。声をかけてきたのは近くの小学校に通う女の子で、彼が改札から出てくるのを見て声をかけてくれたらしい。思い切って声をかけてきたらしく、声を聞いただけで緊張しているのがわかったそうだ。

 毎日通い慣れている道なので誘導の必要はなかったが、せっかく声をかけてくれたのだからと誘導をお願いした。 誘導をしてもらいながら話を聞くと、学校の授業で視覚障害者の誘導方法について教えてもらったばかりだそうで、たまたま彼を見かけて勇気を出して声をかけてきたらしい。

 彼は女の子の誘導をありがたく感じながら、学校教育で教えてもらったことを実践しようとする彼女に、心から感謝するとともに感動したと嬉しそうに話していた。

子どもにどのような背中を見せるのかが大切だ

 今まで視覚障害者を見ても何の行動も起こさなかったであろう女の子が、学校で教えてもらったことによって思い切って声をかけて誘導をする。これも教育が持つ力だろうと思うし、こういったことが広がっていくと住みやすく平和な世の中になっていくだろうなと感じた。 世の中、まだまだ捨てたものではない。

 昔から「親の背中を見て子は育つ」というが、時代を担う子ども達に対してどのような行動を大人が見せるのかというのはとても重要なことだと思う。

 他人から手を差し伸べられたら素直に感謝し、困っていた人がいたらすすんで手を差し伸べる。人として当たり前のことだが、当たり前のことを当たり前のように行うことができる大人が増えないと、それを見習う子ども達も増えない。

 時代を担うのは子ども達だが、その子ども達を正しく教育し育てていくことこそが私たち大人の義務なんだろうと思う。