EC事業の成長にはデジタルを活用したマーケティング力が必要。EC人材力向上の7つのポイントとは?
ECを成長させるためのテクノロジーとソリューションは大きな進化を遂げています。しかし「EC事業を成長させるための知識」不足が原因で、「自社独自のECマーケティングノウハウ」の確立に至るまで「運営サイクル」を回し続けられない事業者も少なくありません。前回のコラムでは「EC組織力」の大項目である「組織」「定例会議」の2つの中項目と6つの小項目について解説しました。今回は「EC人材力」について解説していきます。
全5回の記事では、筆者のECマーケティング人財育成(ECMJ)が手がけるコンサルティング、相談、講演・セミナーでの質問などから、EC事業の「運営サイクル」を強化するために必要な項目を洗い出した「EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート」をベースに、EC事業を伸ばす「組織力」「人材力」「運用力」を解説していきます(チェックシートの詳細はこちら)。このチェックシートは、「EC組織力」「EC人材力」「EC運用力」の大項目、14の中項目、そして41の小項目から成ります(2023年2月時点)。
「EC人材力」とは、EC事業推進に必要なデジタルを活用したマーケ力
チェックシートの2つ目のカテゴリは「EC人材力」です
EC組織力は「データ分析」「データ活用」「市場調査・競合調査」「その他の情報収集」の4つの中項目から成ります。
筆者たちECMJは、EC人材力を「EC事業を推進するためのデジタルを活用したマーケティング力」と定義しました。日々、EC運営業務を推進し、成長させるために土台として構築しておかなければならない力、いわゆる「リテラシー」です。
従来までのアナログビジネスとデジタルビジネスのもっとも大きな違いは「情報(データ)」です。息を吸うように情報(データ)を理解し、選択と判断を繰り返す力がEC人材に求められます。
- データ分析
- EC事業のデータ管理を日次で行い、日々データと要因の整理ができているか
- EC事業のデータ管理を月次で行い、毎月データと要因の整理ができているか
- 商品ページ別の販売実績データを作成し、商品ページにおけるセッションとCVRの変化を分析できているか
- データ活用
- EC事業の同一期間・同一条件のデータを比較し、データの変化を見ることができるか
- 定期的に取得するEC事業のデータのなかから異常値を見つけ出し、指摘することができるか
- データが動く原因を調査・把握し、データの変化や異常値の理由を説明することができるか
- ECサイトの売り上げが下がった際、具体的に「いつからどのデータが落ちているか」を説明できるか
データ分析 ①:EC事業のデータ管理を日次で行い、日々データと要因の整理ができているか
データ分析というと、大量のデータを集計しインサイトを見出す「データサイエンティスト」の仕事をイメージするかと思いますが、そうではありません。リテラシーとしてのデータ分析は、「データと要因の整理」を行うことです。
この「データと要因の整理」の最小単位は「日次」です。売り上げ、セッション数、CVR、客単価など、主要なデータ項目を「毎日」管理することを習慣化しましょう。
データ分析 ②:EC事業のデータ管理を月次で行い、毎月データと要因の整理ができているか
日次の「データと要因の整理」はユーザーに対する日々の細かい施策や、突発的な外的要因をキャッチするためのもので、「原因と結果」を感覚的に察知するデジタルならではのリテラシーです。
日次と並行して月次の「データと要因の整理」を行います。日次というミクロな単位から、月次という一段階マクロな単位に視野を広げて、EC事業の成長を俯瞰することが目的です。
データ分析 ③:商品ページ別の販売実績データを作成し、商品ページにおけるセッションとCVRの変化を分析できているか
EC事業の成長ためには、商品ページ単位での販売実績データを分析することが大切です。販売実績データをチェックするポイントは「セッション」と「CVR」のバランスです。
セッションが多いのにCVRが低い商品ページ、セッションが少ないのにCVRが高い商品ページなど、商品ページ単位での現状を把握し、商品力もしくは提案力にテコ入れできる改善施策を検討する。これを毎月繰り返すことで、「売れ筋兼導線商品」を作っていきましょう。
データ活用 ①:EC事業の同一期間・同一条件のデータを比較し、データの変化を見ることができるか
データ活用の第一歩は、「データは変化を見るもの」だと理解することです。データ分析にあげた「日次のデータ管理」「月次のデータ管理」は、ある1日・あるひと月のデータだけでは意味を成しません。
毎日、毎月という同一期間・同一条件のデータの羅列から、いかに変化を見出せるかがポイントになります。まずは「データの1点」ではなく「流れ」を見る習慣を作りましょう。
データ活用 ②:定期的に取得するEC事業のデータのなかから異常値を見つけ出し、指摘することができるか
データ活用の第二歩は、データの変化のなかから「異常値」を見つけ出すことです。日々データを見続けていると、たとえば「なぜこの日はセッションが高いのだろう?」という変化に気付けるようになってきます。
まずは「データに違和感を持つこと」を習慣化しましょう。データの変化を見続け、「どこか気になるデータはないか?」と問いかけ続ければ必ず習慣になるはずです。
データ活用 ③:データが動く原因を調査・把握し、データの変化や異常値の理由を説明することができるか
「なぜこの日はセッションが高いのだろう?」と異常値に気付けるようになると、次に「セッションが高くなった原因は何だろうか?」という疑問が浮かびます。この「結果(=データ)に対する原因」への疑問が大切です。
違和感を持ったらその理由を探すこと。データが変化した原因を調査・把握し、その理由を説明できる力がつけば、データ活用のリテラシーは相当なものです。なぜなら、データが変化した原因こそ、データを変化させるためのヒントなのですから。
データ活用 ④:ECサイトの売り上げが下がった際、具体的に「いつからどのデータが落ちているか」を説明できるか
EC人材のデータ活用のリテラシーが上がると、データの変化に敏感になります。たとえば「売上減の傾向」。習慣的にデータ管理を行っていない状態と、日次でデータ管理を行っている状態では、そのキャッチアップの速さが異なります。
「売上減の傾向」に早く気付き、セッション数やCVR、商品ページ別の実績など、どのデータが落ちているのかがわかれば、最速で「売上減の傾向」への対策を行うことができます。そして、売上減による被害も最小限に抑えられるはずです。
今回は「EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート」における「EC人材力」について7つのチェックポイントをご紹介しました。次回は「EC人材力」の残り2つの大項目、「市場調査・競合調査」「その他の情報収集」をご紹介します。
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
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