松原 沙甫[執筆] 12/17 7:30

アマゾンジャパンは2023年に兵庫県へ310億円以上を投資し、2012年から2023年までの総投資額は1370億円超になったと12月16日に発表した。

投資金額には設備投資(物流拠点であるフルフィルメントセンター、配送拠点であるデリバリーステーション、データセンターなどのインフラ整備を含む投資)、顧客や配送パートナー、中小企業向けプログラムの拡充、従業員報酬などの事業運営費を含んでいる。

兵庫県はAmazonによる投資が多い県の1つという。2020年に兵庫県初の配送拠点であるデリバリーステーションを尼崎市に設置。2022年には尼崎市に商品保管容量約100万立方フィート、延べ床面積10万平方メートル以上(東京ドームの2個分以上の規模)を持つ西日本最大の物流拠点であるフルフィルメントセンター「Amazon尼崎FC」を開設した。2023年には神戸市長田区に新たなデリバリーステーションを開設している。

2023年には「Amazon尼崎FC」内に日本初となる災害支援物資の保管拠点「Disaster Relief Hub」を設置。自然災害の被災者へ迅速かつ効率的に支援物資を届けるための拠点で、モバイルバッテリーや衛生用品など約50種類、約1万5000点の災害支援物資を届ける。

米国の経済・戦略コンサルティング会社Keystone Strategy(キーストーン・ストラテジー)は2023年、Amazonの投資で間接的に働く機会が5000以上創出されたと試算した。これには、兵庫県内のAmazon施設の建設に携わる建設業、輸送業、エンジニアリング、維持・管理会社などで人々の働く機会などが含まれている。

Amazonに出品する兵庫県内の販売事業社数は約6000社。兵庫県の販売事業者はAmazonで数百万点の商品を販売した。

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)が実施した「Eコマースの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」の調査によると、過去1年から9年前の間にECを始めた兵庫県の企業は、売り上げの伸び率は平均して年約1.6%上昇。一方、ECを実施していない企業の増減は見られなかった。

全国の小売業(EC実施の有無にかかわらず)の2015年~2023年の売上増加率の中央値は-0.08%。この数値と比較すると、EC実施企業の成長率が高いことがわかったという。

また、EC事業スタートを契機に事業拡大によって採用を増やしていることが判明。兵庫県の企業はEC開始から4年目以降、平均2人を新たに採用しており、これは全国平均の2倍にあたるという。

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