『トモダチコレクション』の同性婚問題で「マイノリティは黙ってろ」とか言っちゃうのがガラパゴスすぎて笑える件

日本語でも報道されてるし、心ある人が既に的確にまとめたり批判したりしてくれているので、これまで特に言及しなかった任天堂のゲーム『トモダチコレクション』(英題は『トモダチライフ』)について、今さらながらちょっとだけ。

『トモダチコレクション』で同性婚できるようにしてほしいという要望に対し、日本語圏のコメントでは「マイノリティのくせに何を言う、おとなしく縮こまってろ」「異性愛者の方が多数派なんだから文句言うな」的なものがあちこちで見受けられました。でも、この人たち、ある盛大な勘違いをしてると思うんです。

何がどう勘違いなのか。ロイター発のこちらの情報をどうぞ。

Gay Marriage Support High In Developed Nations, Poll Finds

上記リンク先は、世界16ヶ国の18歳から64歳の人の同性婚支持率をまとめたもの。発表年度は2013年。16ヶ国というのは、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ハンガリー、イタリア、日本、ノルウェー、ポーランド、韓国、スペイン、スウェーデン、米国。

上記調査の結果では、16ヶ国中9ヶ国で、同性婚賛成派が過半数を占めていたそうです。16ヶ国全体で集計しても、回答者の52%が同性婚を支持。つまり、少なくとも上記の国々全体の中では、同性婚に反対する人の方がマイノリティなんですよ今や。

ちなみに、反対派がもっとも多かった国がどこかわかる? 日本とハンガリーだそうです。非常におもしろいのは、日本人はLGBTの知人がいると答えた人自体が異様に少なく、5%程度しかいなかったこと。16ヶ国平均だと、LGBTの知人がいると回答した人は46%です。日本人にありがちな、「ゲイなんて自分の周りには存在しない=取るに足りない数しかいないはず!!!!」という錯覚は、こうした点からも生まれてるんじゃないでしょうか。

てなわけで、今や海外に商品を売り込みに行くのに、日本的感覚で「俺たち異性愛者こそマジョリティ、同性愛者なんてごく少数、従って『同性婚なんか要らない』と思ってる人こそマジョリティ」と思い込んでいたら、戦略としてはかなりまずいわけ。ホモフォビアが強いアフリカ諸国やアラブ諸国だけを相手に商売して行きたいのなら別ですけど、別にそれが任天堂の方針というわけではないんでしょう?

あとですね、ゲームメーカーがゲームを売り込みたいのは若い世代でしょ、やっぱり。そして統計によると、若い世代ほど同性婚賛成派は多いんです。任天堂アメリカや、「マイノリティ(=同性愛者)は黙ってろ」派の日本人は、ひょっとして、ピュー・リサーチ・センターの以下の調査結果すら知らないんじゃない?

Growing Support for Same-Sex Marriage across Generations

この調査を見れば、米国では2001年から2014年に至るまで、一貫して若い世代ほど同性婚に賛成していることがわかります。特に1981〜1995年生まれのいわゆる「ミレニアル世代」では、2006年以降はずっと半数以上が同性婚を支持しており、2014年現在では68パーセントが同性婚賛成派。念のため言っておきますが、成人全体の統計でももはや過半数が、つまりマジョリティが同性婚に賛成している国ですよ、米国は。そんな国にゲームを売り込みに行くのに、日本的ガラパゴス感覚のまま、

異性婚しかないのは、現実世界を再現したものというよりかは、ちょっと変わった、愉快なもうひとつの世界だからです。

なんて言ってたら(ハフィントンポストより引用)、そりゃあ大炎上でしょうよ。わざわざ「異性婚しかない世界こそ愉快」と言い放ったも同然ですもん。

その後ようやく任天堂から「続編を出す場合には同性婚ができるように開発を進める」という追加コメントが出て事態が収束しつつあるのに、ガラパゴス日本からはまるでその背中を撃つかのような「マイノリティは黙れ」というヘイトコメントが相次いでいて、見ていると本当にトホホな気持ちになります。だーかーらー、アメリカじゃアンタらこそがマイノリティだから!! それどころかアルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ハンガリー、イタリア、日本、ノルウェー、ポーランド、韓国、スペイン、スウェーデン、米国の計16ヶ国を合わせた中でも、同性婚不支持派のアンタらの方が少数派だから! もちろん、少数派だから無視していいなんて阿呆なことは言いませんよあたしゃ。しかし、数を恃みに「マイノリティは黙れ」と言うのなら、まずアンタらが黙れ。せっかく任天堂が事態を収めたのに、これ以上日本は差別的な国だという悪評を広めてどうするんだよ、まったく。