市川駅前「アイ・リンクタウン」展望施設




このカテゴリを更新するのは10年ぶりとなります。当サイトでは以前鉄道以外の公共施設についても時折紹介してきました。2016年を最後に更新がストップしていましたが、時間に余裕ができたことから久しぶりに調査を再開してまいりたいと思います。
今回はJR総武線市川駅前にあるアイ・リンクタウン展望施設についてです。

市川駅とアイ・リンクタウンの概要

アイ・リンクタウンの位置(Googleマップ航空写真)

 JR総武線市川駅は、東京から江戸川を越えて千葉県に入った最初の駅です。各駅停車・快速の双方にホームがあり、快速線は上下線とも通過線があるため終日に渡り特急列車の追い抜きを行っています。
 市川駅が開設されたのは、今から130年前の1894(明治27)年、総武線の前身である総武鉄道市川~佐倉間が開業した時のことです。駅の北側は戦前から高級住宅地として開発が進んでおり、戦後は私立の高校や大学に加え、ダイエー市川店をはじめとする商業施設も立ち並ぶようになりました。一方南側は長らく田畑や工場が広がるエリアとなっており、駅前も狭いなど整備が遅れれていました。1972(昭和47)年に総武線の複々線化が完成すると、これら駅南側でも住宅の建設が急速に進み、利用者が大きく増加し始めました。
 このような状況の変化を受け、市川市では昭和50年代より市川駅南口の再開発に向けた調査を開始しました。その後バブル崩壊等による計画の遅れがありましたが、2005(平成17)年にタワーマンション2棟を中心とするビルの建設が開始され、2009(平成21)年に駅前広場を含む全ての整備が完成しました。完成した再開発ビルは「アイ・リンク(I-Link)タウン」と命名されました。I-LinkのIには市川の頭文字に加えて「愛」の意味が込められており、駅前という人々が交流(Link)する場所であることや、東京と千葉の接続地点であるからこの名称が採用されました。


アイ・リンクタウンの模型(展望台45階に展示)

 2棟あるタワーマンションの低層部分には飲食店に加えて図書館などの公共施設も入居しています。ビルの完成に合わせて駅前広場も大幅に拡張され、バスやタクシーの乗り入れが可能になりました。



最上階の展望台

市川駅南口→アイ・リンクタウン2F ウエスト棟2F→3F ウエスト棟3F奥の自動ドア入口へ 北側の直通エレベーターへ
市川駅南口から展望台までのルート。改札口は中2階にあるため、ウエスト棟2階→3階へ移動し、北側の直通エレベーターに向かう。

 アイ・リンクタウンのウエスト棟(ザ・タワーズ・ウエスト)の屋上(地上150m)には、市民の憩いの場として入場無料の展望台が設けられました。展望台の入口はウエスト棟の3階にあり、そこからタワマン北側の外壁に設けられている直通エレベーターで行くことができます。市川駅からのルートはややわかりにくいですが、南口に出て短いエスカレーターを登った後右に進み、その先の屋外にあるエスカレーターをもう1階登ったところが入口です。

45階の交流ラウンジ
45階の交流ラウンジ

 エレベーターが到着する45階は南側が交流ラウンジ(イベントスペース)を兼ねた展望スペースで、それ以外の部分はNHK学園オープンスクール、情報コーナー(後述)、トイレなどになっています。屋上の展望台には交流ラウンジ横にある階段で出入りします。

アイ・リンクタウン屋上の展望デッキ
アイ・リンクタウン屋上の展望デッキ

 屋上の展望台はエレベーターの巻き上げ機がある北側の一部を除いてほぼ全周がガラス張りの展望デッキになっています。屋外の展望台ですが、渋谷スカイなどとは違い持ち込み品に制限はなく、手荷物は持ったまま出ることができます。ただ、訪問した日もそうでしたが風が非常に強いため、カメラなど必要なもの以外は飛ばされないようバッグやポケットの中に収納しておくことをおすすめします。デッキの出入り口横には風速計も設置されており、台風接近時など極端な強風時や雷接近時など危険な場合は展望デッキが閉鎖になります。

東京スカイツリーと富士山を望む西側 眼下には江戸川を渡るJR総武線
筑波山を望む北側。手前の巨大な建物群は松戸市の稔台工業団地。 イースト棟に近接する東側はガラスに目隠しが貼られており近づけない
左上:東京スカイツリーと富士山を望む西側
右上:眼下には江戸川を渡るJR総武線
左下:筑波山を望む北側。手前の巨大な建物群は松戸市の稔台みのりだい工業団地。
右下:イースト棟に近接する東側はガラスに目隠しが貼られており近づけない
上から順に
1枚目:東京スカイツリーと富士山を望む西側
2枚目:眼下には江戸川を渡るJR総武線
3枚目:筑波山を望む北側。手前の巨大な建物群は松戸市の稔台みのりだい工業団地。
4枚目:イースト棟に近接する東側はガラスに目隠しが貼られており近づけない

 東京湾がある南側では天気が良ければ房総半島、東京都心側となる西側は東京スカイツリー、天候が良ければさらにその先に富士山なども見ることができます。JR市川駅がある北側には筑波山などを見ることができます。
 一方東側はガラスの手前にチェーンが張られており、ガラス自体にも眺望を遮るように細かいドットが印刷されたシールが貼られてしまっています。恐らくですがイースト棟のタワーマンションと近すぎるため、住居内を覗き込まれないよう完成後にガラスに近づけなくしたものと思われます。設計当時と比べてプライバシー意識が変化した事情もあり、このあたりはやむを得ないと言えそうです。

カフェで地元のスイーツも

情報コーナー併設のカフェでは市川市内で製造されたケーキなどが販売されている。
情報コーナー併設のカフェでは市川市内で製造されたケーキなどが販売されている。

 暴風にさらされて体が冷えてしまいましたので、45階に戻りまして情報コーナーで休憩としましょう。ここでは市川市内の観光情報の紹介や特産品の販売などが行われています。併設されているカフェでは外の風景を見ながら市川市内で製造されている和菓子やアイスクリームなどを楽しむことができます。
 このアイ・リンクタウン展望施設は毎月第1月曜日(祝日の場合はその翌日)と年末年始(12/29~1/3)を除き毎日9時から22時までオープンしています。無料の公共施設としては珍しく夜遅くまでオープンしており、夜景を楽しむこともできます。通常は三脚などの固定機材の使用はできませんが、毎月第3金曜日・土曜日の15~21時のみ「フォトグラフィイブニング」として特別に三脚を使用して夜景を撮影することが可能です。また、毎年元旦は市川市内在住者の公募制ですが初日の出を見ることができるイベントも開催されています。夜景についても機会を見て撮影してみようと思います。

▼参考
市川駅南口地区市街地再開発事業 | 市川市公式Webサイト
アイ・リンクタウン展望施設 | 市川市公式Webサイト
アイ・リンク情報コーナー(アイ・リンクタウン展望施設内) | 市川市公式Webサイト
三井不動産|住宅等複合開発「(仮称)市川駅南口A街区タワー」着工
→着工時(2005年)の不動産会社ニュースリリース
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