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知る人ぞ知る歴史の奇書

KAZUKI『歴史の時間―時空を超えた暴れん坊 KAZUKI説〈3〉 (時空を超えた暴れん坊KAZUKI説 (3))』(ジーオー企画出版、2008)

KAZUKI『歴史の時間―時空を超えた暴れん坊 KAZUKI説〈3〉 (時空を超えた暴れん坊KAZUKI説 (3))』

KAZUKI説の第3弾。知られざる日本史と世界史を語る。

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物語は三人の仲間が大阪府南部のある市に行くところから始まる。そこで、マンション住民らが経験した数々の怪奇現象を調査するうちに、一行のひとり SIZUKU が気を失う。主人公の KAZUKI は SIZUKU を救おうとする。

ところが、SIZUKU を救うためには、信長が出した謎を解かなければならないことが分った。そこで、残された二人 KAZUKI と みぞっち とは、あちこち奔走しつつ、謎解きに挑む。その過程で知られざる日本史や世界史の諸相があぶり出される。

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KAZUKI は「天の声」が聞こえる。聞いているあいだ、本人が知るはずもない驚愕の事柄が次々に口をついて出る。それを相棒の みぞっち がメモし、文章にまとめる。そうして出来上がったのが本書というわけだ。

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序章以下7章あり、そのうち2〜6章で、歴史好きなら たまらない「真相」が明かされる。知る限りでは類書に殆ど記されていない、本書でしか読めない事柄が多い。次の人物などのいずれかに興味があれば、一読の価値があるかもしれない。

2章の KAZUKI 説は 応神天皇、仁徳天皇、雄略天皇、仲姫命 を扱う。

3章は ヌエ、明智光秀、天海、坂本龍馬、中岡慎太郎、竜宮城。

4章は 卑弥呼、武田信玄、上杉謙信。

5章は 天草四郎、クリスマス、バベルの塔、モーゼの奇跡、ナスカの地上絵、モアイ像、UFO、ネッシー、ジャンヌ・ダルク、源義経、チンギスハーン。

6章は 聖徳太子、法隆寺、かぐや姫、宮本武蔵、シェイクスピア。

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上の名前を見ると、有名な歴史上の人物や事柄ばかりだ。これらについてなぜ「天の声」が降りてくるかというと、歴史に間違って記録されたことを訂正し、後世にのこしてほしいという希望があるからだ。KAZUKI はその使命を託されている。

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歴史学の立場からはいろいろと突っ込みどころが満載だろうが、定説となっていない部分、資料で裏づけられない部分は、どうしても残るわけで、そのあたりに関心があるひとにとっては、KAZUKI 説は興味深い。

なお、KAZUKI は本書の筆名であり、最近はラジオのパーソナリティやミュージシャンとしては GOD 名で活躍している。

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類書にはない本書ならではの事柄を少しだけピックアップしておこう。

卑弥呼の本名は、本書によると、JABARIVI-PAGOS-HIMEKI という。父オンミ (医師) はインドネシア系、母 (武帝の血を引く) はシナ系。このあたりはネットにもたぶん出ていないだろう。

卑弥呼の妹の「壹与」(いよ) は、ある程度、他の資料に出てくる。

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評者が一番興味を惹かれたのが、ジャンヌ・ダルクだ。

一般には、ジャンヌがまだ19歳の1431年5月30日に、フランス北部のルーアンで、異端の罪により火刑に処せられたことになっている。この処刑の場面を描いたのがボブ・ディランの 'Changing of the Guards' (1978) であるといわれている。

ところが、本書によると、ジャンヌ・ダルクは処刑されておらず、後のジャンヌ・デ・ザルモアーズ (Jeanne des Armoises) であるという。一般には、その女性は「偽ジャンヌ・ダルク」であるとされる。が、本書によれば、その前に「リス」という変名を使っており、面会した兄のピエールとジャンは、その女性をジャンヌと認めたという。

ジャンヌが助けて王位に就かせたシャルル七世は、処刑に替え玉を使ったのは自分ではないし、リスはジャンヌでないと、最後まで主張したと、本書には書かれている。替え玉工作を認めリスがジャンヌだと認めることは〈男の嫉妬〉(国民の人気が国王である自分より英雄ジャンヌ・ダルクのほうに集まったこと) を認めることになるから、それは出来なかっただろうと思われる。

本書174頁の「一四五二年の夏、初めて ”天の声” を聞いた」は、〈一四二四年〉の誤りだ。

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上のジャンヌ・ダルクの話は、KAZUKI が天草四郎と話をしているときに出てくる。四郎は、自身の信仰から、KAZUKI に〈主イエス様には奥様やご子息はいらっしゃったのですか〉と訊く。

KAZUKI が天から導き出した答えは

妻子はいたよ。奥さんの名前はマリア。母と同じ名だ。そして、どういうわけかイエスは、わが子にユダという名をつけている。ユダという名には特別な思いがあったようだね。でも、実子のユダは信者にならずに人生を送っている

というもの (148頁)。この「マリア」というのは、「マグダラのマリア」のことだろう。『フィリポによる福音書』には「彼の伴侶と呼ばれていたマグダレーネー」の記述がある。

英訳で引用しておく (Marvin W. Meyer, ed., 'The Nag Hammadi Scriptures', 2007)。

Three women always walked with the master: Mary his mother, sister, and Mary of Magdala, who is called his companion. For "Mary" is the name of his sister, his mother, and his companion.

ここで 'Mary of Magdala, who is called his companion' がそれに当たる。

イエスの子については諸説あるが、Simcha Jacobovici と Charles R. Pellegrino とが「ユダ」(英訳 'Judah, son of Jesus') の名を挙げている (TVドキュメンタリ 'The Lost Tomb of Jesus' [2007] および二人の共著 'The Jesus Family Tomb' [2007, 下])[同じトピックを客観的立場から描いた 'Unearthed: The Talpiot Tomb' (2007)というフィルムもある]。その後、その説は聖書学者の James Tabor が支持し、Jacobovici との共著 'The Jesus Discovery' (2012) を著している。

 

 

 

 

新しい世界体制に移ろうとしている今、正しい選択をするために

ベンジャミン・フルフォード『バイデンはなぜ、アメリカ最後の大統領になるのか? 日本人が知るべきアメリカ崩壊の真実』(かや書房、2021)

ベンジャミン・フルフォード『バイデンはなぜ、アメリカ最後の大統領になるのか? 日本人が知るべきアメリカ崩壊の真実』

2020年12月末の時点での世界情勢をある結社の立場から読み解いた本。情報源は、その結社 (White Dragon Society) だけでなく、世界の情報機関や結社などが多い。世界を動かしている隠れた組織や集団や人脈の力学として世界を捉えるという意味では、共同謀議 (conspiracy) を読解の基礎にしており、加えて、著者自身が取材し、体験した内容を判断の材料にしている。

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このように、世界を、国ではなく組織や集団の力学として捉える場合、それらの組織名・集団名を正確に理解しないと、構図を見誤ることになる。

大きな見取り図でいうと、本書は「13血族」と「グノーシス派」との対立を基本軸と見る。

これらについては、膨大な研究が出ているが、ごく簡単にいうと、〈13血族は血統を重視して世襲であることの優位を主張してきたが、グノーシス派は世襲制に反対し、能力主義を主張してきた〉(246頁)。

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本書の題は、〈誰が大統領に就任しても、アメリカの「最後の大統領」となる〉との著者の考えから来ている (5頁)。なぜ、著者がそう考えるかというと、〈アメリカは国家として、すでに倒産している〉からという (4頁)

その「倒産」については第4章で詳述されている。2020会計年度のアメリカの財政赤字は3兆3千億ドルで、過去最大になる見通し (CBO [Congressional Budget Office])。2021年度の財政赤字の予想は2兆1千億ドルという。

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著者の文章に頻出する「ハザールマフィア」(Khazarian mafia) について第5章で触れられている (ハザールマフィア勢力の最高位に位置づけられるのが13血族)。が、この用語について、今後は 'Chabad death cult' の語を用いるつもりであると、著者は表明している (2021年4月9日)。このような 'cult' による人類奴隷化から人びとを解放するために著者は闘っているのであると、評者は受取った。

この 'Chabad' は、ユダヤ教の正統派ハシディズムの世界最大の集団の名前だが、これについては本書で説明はまだない。今後の著作に出てくるかもしれない。

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本書は、校正が不十分である点が残念だが、情報が圧倒的な質と量で詰まっており、ずっしりした読後感がある。情報の相互関係を十分に理解するためには、あるいは電子書籍版のほうが便利かもしれない。

 

 

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[Kindle版]

 

『マリア福音書』はすばらしい。キリスト教に関心あるすべてのひとが読む価値あり

カレン・L・キング『マグダラのマリアによる福音書 イエスと最高の女性使徒』(河出書房新社、2006)

 

先に原書を読み、後で、ある記述を確かめる必要から本訳書を手に取った。

結論からいえば、その記述は見つからなかった (後述)。

第1部『マリア福音書』はすばらしい。キリスト教に関心あるすべてのひとが読む価値がある。

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この貴重な書が再版されることがあれば、第3部5章「キリスト教史」は、ぜひ訳し直してもらいたい。原文を恣意的に省略している箇所があるので、このままでは信頼して読めない。

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省略だけではない。同章の170頁第2段落「新発見のテクストには、イエスの救済の教えの重要性を強調するものがいくつかある——それらは、ニカイア信条とは対照的に、イエスの教えの内容や、あるいは、イエスが師であることさえ信者たちに受け入れることを求めていない」は、内容的には本書の中核的重要性を宿す箇所であるが、誤訳である。ここを2人の訳者が翻訳したとは信じられない。ここを読んで得心しなかった読者は原書に当たる他ない。この翻訳では、内容が逆になっているからである。

原文は、上記の言葉をそのまま使えば、「新発見のテクストには、救済のためのイエスの教えの重要性を強調するものがいくつかある——それらは、イエスの教えの内容や、あるいは、イエスが師であることさえ信者たちに受け入れることを求めていないニカイア信条とは対照的である」の意である。

この誤りは関係詞 which が the Nicene Creed にかかることを (意図的に) 見落としたことからきている。そこにかけずに、several にかけている。英文法的にそれはあり得ない。

原文は 'Among the newly discovered texts are several that emphasize the importance of Jesus' teaching for salvation--in contrast to the Nicene Creed which did not ask believers to affirm anything about the content of Jesus' teaching, or even that Jesus was a teacher.' (Karen L. King, 'The Gospel of Mary of Magdala: Jesus and the First Woman Apostle', Polebridge P, 2003, p. 164, 下)

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この箇所は、『マリア福音書』『トマスによる福音書』『真理の福音』がイエスの (救済のための)〈教え〉を強調する、新発見のテクストであることを言っている。イエスの〈教え〉を確認しなさい、とは信者に求めていないニカイア信条とは対照的なテクストであると。

両者の優劣を比較しているのではない。強調点が違う。ニカイア信条はイエスの生涯、その行動 (の意味) に焦点を当てる。新発見のテクストは むしろイエスの教えに焦点を当てる。その違いである。単純だが、重要な違いだ。

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冒頭に書いた〈ある記述を確かめる必要〉について。

保江邦夫『伯家神道の祝之神事(はふりのしんじ)を授かった僕がなぜ ハトホルの秘儀 in ギザの大ピラミッド』(ヒカルランド、2013) の205頁に次の記述がある。

.. マリアによる福音書に記されていた三十代前半のイエスについてのことだった。それは、新約聖書ではその頃に荒野をさまよったイエスが悪魔と対峙し、ついにはそれを退けることができたために覚醒したとされているが、本当はエジプトに行ったのだということ。そして、ギザの大ピラミッドの中に入ったイエスはマグダラのマリアと共に、王の間で当時のエジプトの神官から「ハトホルの秘儀」と呼ばれるものを受けたというのだ。

この〈マリアによる福音書〉とは、『マグダラのマリアによる福音書』のことである。

原書でそのような記述を読んだ記憶がなかったので、上記が指す翻訳書(本書)を読んでみたが、その記述は発見できなかった。

見落としたかと思い、3度、目を通してみたが、発見できなかった。おそらく、他の関連する和書にそのような記述があるのを保江氏が勘違いしたものと思われる。

国際政治の真実 (「ベンジャミン・フルフォード氏が日本国民に教えてくれた大切なこと」)

副島隆彦・ベンジャミン・フルフォード『今、アメリカで起きている本当のこと 大統領選〝不正選挙〟から米国内戦へ』(秀和システム、2021)

副島隆彦・ベンジャミン・フルフォード『今、アメリカで起きている本当のこと 大統領選〝不正選挙〟から米国内戦へ』
読みはじめてすぐに、〈〇〇が今の日本操り班(ジャパン・ハンドラーズ)の親玉〉と書いてあり、ぎょっとする。その人は、アメリカ国務省の日本のプロパガンダ担当者だという。つまり、日本のマスコミのコンスピラシー担当。〈六本木の星条旗新聞社(スターズ・アンド・ストライプス)の中にあって、あそこから日本の大新聞や5大テレビ局のネットワークを使って司令を出している〉と。

ほんまかいなと思って調べると、ちゃんと六本木にあった (下)。
 


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このような話が ばんばん出てくる。正直、この内容でこの価格は安いと思った。講演を2-3回聞きに行ったくらいのボリュームがある。著者の二人のどちらかに興味があれば買いだろう。フルフォードさんは会心の作と言っていた。

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2020年11月の米大統領選をめぐるトピックおよびその周辺の話題について、副島隆彦とベンジャミン・フルフォードが2020年9月4日、10月9日、11月13日、11月27日の計4回、東京で収録した対談を編集したもの。まえがきを副島、あとがきをフルフォードが書いている。

二人の意見には共通点もあれば相違点もある。副島はトランプ支持。フルフォード (BF) はトランプを小悪と見なす。

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以下、二人の挙げたポイントを少し抜書きする。

・(BF) 総数で100万人ぐらいの人間を逮捕しないといけなくなると思います。昔の裏管理ネットワークの連中で同じ宗教のメンバーです。(中略) 簡単に言うと、[このカルトは]古代カルタゴの末裔なんですよ。(59-60頁)

・(BF) この100万人ぐらいの連中が自分でももうやばいと思っていて、逃亡先を探してたんですよ。2011年に、アメリカの議員十何名が、ニュージーランドに行って、それでニュージーランド政府に100万人の難民を受け入れてください、と頼みこんだの。でも断られちゃった。その議員たちがニュージーランドを離れた翌日に大きな地震があったわけ。(61頁)

・(BF)[ベチュー枢機卿]がベル枢機卿を追い落とす工作のために、オーストラリアで80万ドル使ったと言われています。(中略) ところが、逆転無罪でベル枢機卿が無罪にされて、代わりに、ベチューがクビになった[2020年9月4日]。それから、バチカン銀行の出納を調べたら、やっぱりお金はアニェッリ (Agnelli) 一族などに行ってたんですよ。アニェッリ一族というのは、エコノミスト誌を持っていて、ダボス会議の裏にいる連中なんですよ。(66-67頁)

・(BF) 別の切り口としてあるのは、いわゆる「グノーシス派イルミナティ対13血族」なんですよ。(中略) 彼らは世襲制に反対してるんですね。グノーシス派イルミナティは自分たちがアメリカ革命、フランス革命、ロシア革命を起こしたというんですよ。それで今度は世界革命をやろうとしている。彼らは能力主義ですから、軍事には強いの。それに対して13血族はヨーロッパで強い。王族、エリザベス女王とか。(73頁)

・(BF) 問題は、ではトランプが勝ったとしましょう。それでもやっぱり外の世界との話し合いがまだ残るんですよ。アメリカがすでに倒産しているのは事実なんですね。海外のお金に依存してごまかしているのも事実なんですよ。それでアメリカ軍が世界から撤退したら、軍人たちがみんな失業者になるわけです。彼らが飯を食えなくなる。それをどうするんだと。(78頁)

・(BF) ネットは核戦争でやられても、コミュニケーションがとれるように作られてるから、ここを押さえたら、あっちが出るという、もぐらたたきの状況ですよ。なかなかすべての情報の管理はできない。だから、私みたいな人間でも、独自でニューズを発信できるんですよ。私はスイスにサーバーをレンタルしています。万が一、スイスで何かあったら、アイスランドに移すつもりです。アイスランドだったら絶対に抑えきれないから。そういう情報は昔だったら封印されていたのが、今は封印できないんですよ。だからあの悪い人たちが困ってるわけ。Google を押さえたと思ったら、別のところから出てきたりして、大変なんですよ。(80-81頁)

・(BF) 私が情報源から言われたのは、グーグル (アルファベット) は、自前の軍隊を作っているんですって。それをどうするのかというのが、すごく大きなポイントですね。(95頁)

・(BF) 私は世直しが自分の活動のメインの目的ですから。別に自分の利益じゃなくて、世界をよくしたいと思っている。(102頁)

・(副島) 私も民衆のいるところへ行きます。(中略) イデオロギーが入ってないし、ちょっと宗教がありますけどね。神がトランプを守りますようにという。この人たちが一番穏やかで立派だと思う。普通の人たちですからね。これがトランプを支えてるから、私はそれでもう十分だと思っている。(105頁)

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ここまでが1章の抜書き。この調子で4章まで続く。

フルフォードという人はおもしろい。彼の曽祖父がGEの筆頭株主で、発電のことでニコラ・テスラを後援していたという (139頁)。

副島という人もおもしろい着眼をしている。〈日本の仏教教団 (歴史的に16宗ある) は、どうもカトリックの亜流になっている〉と言う (212頁)。特に何宗がという指摘はしていないが、するどい。

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副島氏は本書のタイトルを最初「ベンジャミン・フルフォード氏が日本国民に教えてくれた大切なこと」にしたいと編集者に言ったという (190頁)。それに対してフルフォード氏は〈私はそれよりも、国際政治の真実。要は陰謀論とか、闇の何とかじゃなくて。もう闇じゃなくて表に出していいという考えなんです〉と答える (190-191頁)。

なお、副島氏はフルフォード氏を、エズラ・パウンド〜ユースタス・マリンズの系譜 (〈真実を人々に書いて伝える人々〉) に置いている (192頁)。この発言には心底驚いた。パウンド学者のはしくれとして、この言葉の意味が分るからである。
 

 

 

イエスのオリジナルの教えを伝える書物

Jehanne de Quillan, The Gospel of the Beloved Companion: The Complete Gospel of Mary Magdalene (Createspace, 2010)

Jehanne de Quillan, The Gospel of the Beloved Companion

[目次]

 

要約

マリアの福音書完全版は、従来の聖書とは異なり、イエスの最も身近な存在であったマグダラのマリアが記録した、イエスのオリジナルの教えを伝える書物です。

 

この書物の特徴

  • 完全性:従来の『マリアによる福音書』の欠落部分を含め、完全な内容が収録されています。

  • 真摯さ:イエスの言動を最も正確に記録しているとされています。
  • 平易さ:クリアな現代語で書かれており、誰でも理解しやすい文章です。

  • オリジナル性:教会による編集が加えられていないため、イエスの本来の姿が描かれています。

 

内容

  • イエスの愛の教え: 富や名誉ではなく、永遠の生をもたらす愛の教えが中心です。
  • 笑うイエス: 従来の聖書には見られない、人間らしいイエスの姿が描かれています。
  • 明確な文脈: イエスの言葉がどのような状況で語られたのかが分かるため、理解しやすい。

 

この書物が重要視される理由

  • 教会による隠蔽:教会による権力闘争のために、この書物は長い間隠されてきました。

  • 歴史的価値:2000年以上もの間、人々に秘匿されてきた貴重な歴史的文書です。

  • 真のキリスト教の姿:教会による改変を経ない、イエスの本来の教えを知るための重要な手がかりとなります。

 

この書物を読むことで得られるもの

  • イエスの教えに対する新たな視点
  • キリスト教に対する深い理解
  • 永遠の生命につながる愛の教え

 

まとめ

この書物は、キリスト教の歴史や教えに対する私たちの理解を根本から覆す可能性を秘めています。従来の聖書とは異なる視点から、イエスの言葉を直接的に受け止めることができる貴重な機会と言えるでしょう。

 

 

 

真実の追求者3名との対話

佐野美代子『地球と人類を救う真実追求者たちとの対話 ~光と闇の最終章が今、はじまる』(ヴォイス、2021)

佐野美代子『地球と人類を救う真実追求者たちとの対話』

2020-21年にかけて世界が激動していると感じ、巷間あふれる真偽とりまぜた情報の渦の中で、確かな根拠を探し求めている人向けの本。欧米流に表現すれば conspiracy theory (権力者共同謀議論) のジャンルに分類されるかもしれない。

本書は White Hats Paladin (金融)と Gene Cosensei (Decode) (地下基地) と Charlie Freak (スピリチュアル) の3名に著者が行ったインタビュー (2020年10月〜11月上旬) をもとに編集された。その時期に多くの人が気にかけていた米大統領選挙をめぐる話題が多いが、扱われる対象は、時間的にも空間的にも、もっと広範である。

結論をはじめにいうと、示唆にとみ、有益な本だ。ネット空間を往きかう語句の正確な意味を知りたい場合にも役立つ (DUMB など)。

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著者は3名に対してある共通の質問を投げかける。3名はそれぞれ専門分野が違うので、対話の中身は異なるのだが、共通の質問をすることにより、問題の本質がうかびあがる。共通の質問とは、例えば、〈Q とは何か?〉である。ここでは、本書紹介の一端として、3者のこの問題に対する考え方を挙げてみたい。[Q (Qアノン)=トランプ大統領らに敵対するとされるカバール(ディープステート、グローバリスト)が画策する計画の情報を公開するグループ]

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パラディン (32-35頁)

・Qが初めて投稿をスタートしたのは2017年の10月末からだと思います。(中略) 彼らの情報も私たち [=ホワイトハット・グループ]同様、内部 (インサイダー) 情報が基本になっています。(中略) Qには米軍の諜報機関のメンバーがいることは明らかですね。

・[Qのスローガン 'Where We Go One We Go All'「我々が行く時は、一丸となって行こう」]は、アメリカ人に向けてだけでなく、全世界に向けてのメッセージなのです。

・Qの投稿をリサーチすると、どうやらQは未来を透視できるようですね[プロジェクト・ルッキング・グラスのこと]。

・Qの活動も私たちのやり方と似ていて、インテル情報を入手したら、その中でどの情報を開示するかを検討してから出していますね。(中略)[Qの組織は]すごく少人数だと思われます。

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ジーン (102-104頁)

・多くの人はご存じないでしょうが、Qが最初に登場したのは2014年です。最初はネットの「4chan (4チャンネル:英語圏に向けた掲示板サイト)」に登場してきて、毎日、いろいろな質問をしていました。彼らは、常に質問だけを書き込んでいたのです。(中略) たとえば、「人類が初めて月に行ったのはいつ? 1904年? それとも1969年?」(中略)「沈没したのはタイタニック号? オリンピック号ではないの?」など。

・2017年に再びQは登場しました。トランプ大統領が政権を握ると、今度は「4chan」だけでなく「8chan (8チャンネル:アメリカ向けの画像掲示板。現在は「8kun」に変更)」に登場します。

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チャーリー (182-184頁)

・はっきり言えるのは、「Qはかなり前から存在していた」ということです。ケネディ大統領が1963年に暗殺されてバージニア州のアーリントン墓地に葬られた時、そのお墓の形は上空からみて完璧なQの形をしていました。

・私は、このQというムーブメントは正義感のある一族と軍部の一部の人によって形成されたと考えています。

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以上の3者の見解は鵜呑みにする必要はない。これを参考に自分でリサーチするのがよい。そう思ってアーリントン墓地の Google Map で確認するとケネディ大統領の墓は本当にQに見える形をしていた(下)。


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もう一つ。最近、ある人の発言で知ったのだが、Qのふるさとは米アリゾナ州 Phoenix だという。それから、Qとは、量子コンピュータと4人の人物だとも。これらについては、確認するすべがない。

 

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[追記——20241223]

本書は〈Truth Seekers〉シリーズの第1巻。その後、第2巻(2021)、第3巻(2024)が出ている。

 

 

 

[Kindle版]

 

「流れ星」のモチーフとボブ・ディランの関わり

Anton Chekhov, Five Great Short Stories (Dover Thrift Editions, 1990)

Anton Chekhov, Five Great Short Stories

チェーホフの短篇 'The House with the Mezzanine' (1896 [原題:Дом с мезонином]) について。日本では「中二階のある家」(小笠原 豊樹訳など) の題で知られる。

結論からいうと、ボブ・ディランとチェーホフの関係に関心がある人は読んで損はない。特に、この短篇については、'Shooting Star' (アルバム 'Oh Mercy' 所収) との関連が指摘されているが、それにとどまらず、アルバム 'Blood on the Tracks' との関連をも考えさせる (そのアルバムの全歌はチェーホフの短篇に基づいていると、ディラン自身が述べている)。

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ディラン研究家のヘイリンは、本作で重要な役割をはたす「流れ星」のモチーフが 'Shooting Star' に影響を与えた可能性を指摘している。確かに、本作を読んだひとは、その主人公たちの痛切な心情を、星がさやかにまたたく光景と共に思い出すだろうし、ディランのその歌もまた、世間が寝静まった時間の星空の空気感を鮮烈に印象づける。

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なぜ、そのモチーフがこれほど印象的なのだろうか。おそらく、芸術家の男と、美しい姉妹との関係および破局が、「流れ星」のように読者の心を通り過ぎてゆくからだろう。

男の画家としての世界観と、姉の社会改革家の意識、妹の世間を知らぬ無垢、これらが奇跡のように交わりあい、そして消えてゆく。

しかし、それは男のなかで完全に消えたわけでなく、確かな残像として存在している。そのことが「流れ星」のイメジで読者には印象づけられるのだ。

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男と姉妹との交流は軽薄なものでなく、真剣そのもので、真情にあふれている。その情の部分を最もよく表すのがチェーホフの詩的な文体だ。

ディランがどの英訳でチェーホフを読んだか分らないが、最後の詩的な一節を引いておこう。おそらくディランは共感を覚えたと思う、その文体と、相手もまた自分のことを思い出しているに違いないという (根拠なき) 確信とのゆえに。[本作の翻訳は S. S. Koteliansky と Gilbert Cannan による(1920)]

(未読の方は次の引用はネタバレにあたりますのでご注意ください)





I have already begun to forget about the house with the mezzanine, and only now and then, when I am working or reading, suddenly—without rhyme or reason—I remember the green light in the window, and the sound of my own footsteps as I walked through the fields that night, when I was in love, rubbing my hands to keep them warm. And even more rarely, when I am sad and lonely, I begin already to recollect and it seems to me that I, too, am being remembered and waited for, and that we shall meet. . . .

 

 

[Kindle版]

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