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Brighture English Academy 代表。趣味はウクレレとかハイキングとかDIYとか旅行などなど。在米20年。シリコンバレーに住みつつ、日本とアメリカとフィリピンで会社経営しています。最近は英語教育がライフワークになりつつある。
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2017年7月27日木曜日

最近アツいアメリカのヒゲ剃り市場

最近アメリカではヒゲ剃りがアツいんです。

そう、ヒゲ剃りです。

しかも、電動とかじゃなくて昔ながらのカミソリです。

アメリカでは(というか日本もですが)ヒゲ剃りと言えば、ジレット(Gillette)かシック(Schick)です。事実、この2社だけで業界のシェア78.5%を握っており、3位にフランス企業、ビッグ(Bic)がつけて、このメーカーがさらに5.2%握っています。

・ジレット:66%
・シック:12.5%
・ビック:5.2%

そして、「この3社は不動!」って感じで、新規参入する隙なんて到底なさそうに思えたのです。

ところがですね、もうここまで寡占状態になると客のメーカーも足元見て、どうにもいけ好かない商売しているわけです。髭剃り本体が 20ドルとかして、替え刃5枚でこちらも20ドルとかそういう状態がかなり長く続いていのです。なんでヒゲ剃りごときにこんな金使わなくちゃなんないんだと思いつつ、他に代わりがありませんでしたから、みんな渋々買っていたのです。

現れた新規参入

ところがここに Dollar Shave Clubという髭剃りECサイトが参入してきました。この会社、ヒゲ剃り本体と替刃の組み合わせをそれぞれ月3ドル、6ドル、9ドルのサブスクリプション(定期購入)モデルで販売し始めたんです。

この定期購入っていうのがミソです。ヒゲ剃りの刃ってつい買い忘れやすいですから、大助かりなわけです。しかも、この値段ならジレットなどの半額以下ですから、みんな飛びついて、あっという間に10億円の調達に成功しました。

でも、この時点では大手のヒゲ剃りメーカーはあまり反応しなかったんですね。市場規模から考えたら10億円なんてないに等しいくらいですですから、無理もなかったのかも知れません。

本命Harry's が参入

で、ここに登頂したのがHarry’sです。この会社、なんといきなり120億円と調達してきて、なかなかオシャレ感満載なヒゲ剃りをリリースしたんです。




そしてここにきて巨大スーパーマーケット・チェーンとも提携し、カラーバリエーションも3種類揃えて店頭に並んだのです。この会社、Truman という廉価版モデルとWinston という高級バージョンを販売しているのですが、ターゲットで売っているのはこの廉価版の方のTruman というモデルの方です。

で、早速買ってみました。


まるで iPhone か何かのパッケージのようで高級感に溢れています。これで10ドル。替え刃が1つ付いています。


私は今回は買いませんでしたが、こだわりのシェイビングクリームも販売しているようです。

一方ジレットはこんなパッケージですから、かなり見劣りします。



刃の方はなんでもドイツの刃物メーカーと提携したとかで、5枚刃です。替え刃は8ドルで売っていて、5つ付いて同梱されているようです。で、こちらも定期購入方式です。ただ、Dallor Shave Club と違って、定期購入するのは替え刃の方だけです。

で、早速使って見たわけですが、まあ正直言って剃り具合という意味ではジレットでもハリーズでも大差ないように思いました。

しかし、高級感はとにかくハリーズの方が圧倒的です。ブランド作りがうまいなあ……とひとしきり感心しました。剃り終わると、思わず「ん〜マンダム」と呟きたくなるレベルです。 (古っ!)




ここにきてジレットの方も危機感が芽生えたのか、以前の半額くらいにまで値下げしています。ジレットはどうにもいけ好かなかったので、痛快な気分です。よく考えたらジレットの株持ってるのでハリーズのヒゲ剃り買って喜んでる場合じゃないんですけどね。

ヒゲ剃り市場なんていうもう新規参入もイノベーションのしようがないようなところで、いきなりこうして新興企業が頭角を現してくるのを見るのは気持ちいいですね。

というわけで、当分Harry's を応援することにしました。

頑張れ Harry's!



「本気で英語を学ぶ人」のためだけのイングリッシュアカデミー、それがブライチャーです。「英語を本気でモノにしたい」そんなあなたの前向きな姿勢に、ブライチャーは本気でお応えします。

2017年5月10日水曜日

海外に行ったら、ライドシェア・サービスを利用しよう!

さて今日は、フィリピンに行くならば、ダウンロードしておくべきアプリを3つご紹介しておきたいと思います。なおこれらのアプリ、フィリピンに限らず、アジア各国、またアメリカやヨーロッパでもかなり役に立ちます。海外に行く用事がある人はぜひこれを機にインストールしておくことをオススメします。
そのアプリとはズバリ、ライドシェアサービスのアプリです。まず、配車サービスを使うメリットと、利用可能な配車サービスの紹介をしていきましょう。

メリットその1〜車が清潔

海外でタクシーに乗ると、まずはその汚さに衝撃を受けます。私自身、近所の駅から家までタクシーの15分ほど乗り、あちこち虫に刺されたことがあります。しかもこれ、アメリカでの話です。アジアも同程度がそれ以上に汚く、なおかつシートベルトが使えないことが多々あります。特にフィリピンでは基本的に後部座席のシートベルトは使えません。金具を差し込むバックル部分が存在しないのです(笑)。また、時速20キロぐらいしか出てないのに「ボボボボボ」とポルシェみたいなエンジン音がしていたり、突然停止してエンジンルームから水蒸気が吹き上げたことさえあります。(実際に体験済み)

典型的なタクシー車内。匂いも独特です。

しかし、ライドシェア・サービスを使うと、普通に整備されたまともな乗用車がやって来ます。何しろ汚い車なんかで来てたら評価が下がりますから、基本的にばっちい車が走っていません。一方タクシーの方は、清潔なタクシーに当たるのがほぼ不可能で、せいぜい50回に1回くらいです。

一方こちらは配車サービスで呼んだ車。比較にすらならない


メリット2〜運転がまとも

日本にも昔「神風タクシー」なんて言葉がありましたが、なぜかタクシーは運転が荒い国が多いです。フィリピンもアメリカも凄まじいです。私は出張が異常に多いので、タクシーのお陰で寿命が縮まった実感があるくらい、何度も何度も危険な目にあっています。

しかし、配車サービスでこんな運転をしていたらすぐさま悪い評価がつくので、どの人も基本的にまともな運転です。今までに2回だけ運転の荒い運転手に当たりましたが、速攻で低評価を付けました。ちなみにそれらのドライバーもタクシーに比べれば平均的かややましなくらいでしたが、わざわざ危険な運転を我慢する筋合いもありませんので。あ、それからシートベルトが使えることが多いですから、この点でも安心です。

メリットその3〜現金の受け渡しがない

もう一つのメリット、それは現金の受け渡しがないことです。あまりピンとこないかもしれませんが、アジアでタクシーと言えば、ボッタクリやお釣りのちょろまかしがデフォなのです。ところがライドシェア・サービスだと、走行したルートがレシートに添付されて送られて来ますし、運転手の氏名も顔写真も全てバレバレですから、ボッタクられる可能性が極めて低いのです。また、アプリにクレジットカードを登録しておけば支払いがそこから自動的に行われるため、財布を取り出す必要さえありません。一方タクシーの方はというと、常に気を張っていないとすぐにインチキされるため、なんとも言えず神経が疲れます。この一点だけでも、ライドシェア・サービスを利用する価値があるくらいです。

さて、次にライドシャア・サービス各社をご紹介しましょう。

Uber(ウーバー)

ライドシェア・サービスといえばなんと言ってもウーバーですが、この会社、あまりにもスキャンダルが多過ぎてライドシェア・サービス自体を印象を極めて悪くしているダメ会社でもあります。しかし、そうはいっても今のところは一番普及しており、世界各国で役に立ちます。アプリも使いやすく、私はアメリカ国内ではほぼウーバー一本で過ごしています。フィリピンではウーバーと後述するGrab (グラブ)の併用です。

Grab(グラブ)

アジア圏でウーバー以上に普及してるのが、このGrab(グラブ) です。このサービスはマレーシアが発祥です。グラブにはタクシーを呼ぶか、それとも普通の乗用車を呼ぶかの2つのオプションがあります。前述の通りフィリピンではあまりにタクシーがボロくて不潔なので、私はもっぱら普通の車の方を呼んでいます。朝出勤時に自室から配車を手配し、3分と待たずに乗車して職場へと向かえます。

Lyft(リフト)

最後に紹介するのはLyft(リフト)。今のところアメリカ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナムなどで利用可能です。ただ、上記2件に比べると車の台数が少ない印象です。サービス自体は、リフトが一番使い勝手いいように思います。特に優れているのが waypoint というオプションで、途中で立ち寄るところが指定できるのです。これを使うと、途中で友達も拾って目的地に行く、などといったことができます。

さて、それでは実際の利用手順を紹介しましょう。

ステップ1〜まず配車

グラブを例に紹介します。まずはタクシーか一般車かのどちらかを選びます。そして現在位置と目的地を入力します。現在位置はGPSで拾ってくれるので、入力しなくても大丈夫みたいですが、私は一応ちゃんと住所や建物の名前を入力しています。それが済んだら「Book」というボタンを押して配車を依頼します。大抵20秒〜1分ぐらいの間に車が見つかります。

配車中の画面。左下の部分に、目的地までいくらかかるか表示されます。ですので、目的地に着いてから「お前ボッタクリやがって!」というような諍いが起こりません。嫌ならこの時点でキャンセルすればいいのです。



運転手さんが見つかると、次のような画面が現れます。



ご覧の通り、ドライバーの氏名、評価、車種、ナンバープレートの番号などが表示されています。そうしたらあとは待つだけです。

ステップ2〜車を待つ

指定したピックアップの場所に行って車を待ちましょう。現在車がどこを走っているかは、アプリ上で確認できます。この時点で、運転手さんにテキストを送ったり、電話をかけたりすることもできます。



ステップ4〜乗車

そしていよいよ、やって来た車に乗り込みます。



あとは目的地に着いたら、ただ “Thank you” と運転手さんに告げて降りるだけです。1分もしないうちに評価画面が表示されます。ここで星の数を選んで、「submit」 ボタンを押せば完結です。



その他のウーバーやリフトなどの画面も、まあ似たり寄ったりですから、使い方は簡単です。

どんな人が運転手をしているの?

では、一体どんな人が運転手をしているのでしょうか? 乗車するたびに話しかけてみましたが、フルタイムで運転手をやっている人は意外なくらい少なく、学生さんが空き時間にやっていることもあれば、自営業の方がパートタイムでやっていることもありました。フィリピンだと、そもそも車がとても高級品なので、運転手さんは銀行員や保険会社などに勤務しているエリートサラリーマンであることも多かったです。当たり前ですが普通に英語が通じますから、そう言った意味でも快適です。面白いところでは、ロサンジェルスでウーバーを利用した際には、助手席に犬が乗っていたのです。「アウアウアウ〜〜」と運転手さんと何かおしゃべりしており、実に不思議でした。運転手さんは元シリコンバレー在住のエンジニアだった方で、色々と話が弾みました。




さて、いかがだったでしょうか? これからフィリピン留学やアメリカ、アジアへの出張や旅行などを予定されている方は、ぜひこれらのライドシェア・サービスを利用してみてください。また旅行の楽しみが広がるのではないかと思います。




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2016年12月3日土曜日

アメリカがポリコレと共に投げ捨てたもの

ドナルド・トランプ氏が選挙運動中にこき下ろしたポリコレこと「ポリティカル・コレクトネス」、選挙直後には日本でもずいぶん話題になったようです。「ポリコレ棒」なんて言う言葉まで飛び出して、ネット上で随分熱く議論されていました。

日本で繰り広げられたポリコレ議論は、主に「言葉の使い方」に終始していたように見受けられますが、実はアメリカにおけるポリコレは、表現の問題だけにのみならず、例えば会社や学校の政府の方針や政策など、ありとあらゆるところに深く及んでいるある種の、思想、あるいは価値観のようなものなのです。

そしてこのポリコレは、ここ数十年のアメリカの繁栄に大きく関与してきました。

求人面接で訊いてはいけないこと

例えば日本では「35歳未満の男性を募集中!」などと言った求人広告を目にしますが、これ、アメリカだったら完全にNGです。理由は簡単、年齢差別だからです。同様に「未婚女性のみ募集」もダメですし、「白人男性のみ募集」もダメです。「キリスト教徒のみ募集」とかもダメです。

しかし、「プログラミングの経験が5年以上ある方」ならば全然オッケーです。「公認会計士の資格を持ち、実務経験が3年以上の方」とかね。こういうのは全く構いません。これが「政治的な正しさ」というわけなのです。

さて、実際にこういう公正中立な広告を出して、応募がワンサカ来たとしましょう。アメリカの標準的なレジメには、志望動機、学歴、そして実務経験以外には余計なことが書いてありません。顔写真も添付されていませんし、生年月日や性別や未婚か既婚かさえも記載されていないのが普通です。ですから面接の当日まで、どんな人が来るのか皆目見当がつかないことも多々あります。

目の前に現れる候補者は黒人かもしれませんし、白人かもしれません。あるいはアジア系かも知れないし、ラテン系かも知れません。更に、未婚の方かもしれませんし、結婚していて3人子持ちの方かもしれません。イスラム教の信者かもしれませんし、仏教とかもしれません。

そして面接の場で、特に気を使わなければならいないのが「ポリコレ」なのです。

例えば、残業や休日出勤が可能なのか訊きたいとします。その際にはストレートに、「忙しい時には残業や休日出勤がかなり発生しますが、出勤可能ですか?」と尋ねればよいのです。間違っても、「お子さんはいますか?お迎えに早く帰る必要はありますか?」などと訊いてはいけません。お子さんを迎えに行くか、託児所に預ける時間を伸ばすのかは候補者の個人的な問題だからです。

あるいは募集している仕事が体力的にかなりきつい仕事だとします。応募者はどう見ても自分の父親ほどの年齢で、雇う側としては思わず「失礼ですが、お年はお幾つですか?」などと訊きたくなるところです。しかし、これもNGです。こういう場合には「この仕事は荷物の搬入がメインで、非常に重いものを頻繁に運ぶ必要があります。体力的に問題ありませんか?」などと言ったふうに尋ねればよいのです。

面接の場で聞いていいのは、あくまで職務への適性に直接関係ある質問だけです。信条も、宗教も、年齢も、結婚の有無も候補者のパフォーマンスとは関係ありません。唯一の例外は、例えば「身長180センチ以上の男性モデル募集」などのように、仕事の内容が特定の性や身体的な特徴を必要条件とする場合のみです。面接でうっかり子供の有無などを尋ね、就職差別で訴えられた企業も少なくありません。

ポリコレがもたらした世界

こうして80年代に萌芽したポリティカル・コレクトネスは、年を追うことに普遍的な価値観としてアメリカの文化に組み込まれて行ったのです。その結果、アメリカという国は外国人やマイノリティにとって非常に働きやすい場所になりました。特に思い切り左に振れているシリコンバレーなどはその典型でしょう。

そしてこの地には、全米、いや、世界中から優秀な人材がなだれ込んできたのです。

過去20年間にシリコンバレーで起業した全ベンチャー企業の半数以上は、移民が創業者になっていると言われています。グーグルのセルゲイ・ブリンは旧ソビエト、ホットメールのサビア・バティアはインド、ヤフーのジェリー・ヤンは台湾、イーベイのピエール・オミダイアはフランス、テスラのイーロン・マスクは南アフリカ生まれと、例をあげればきりがありません。

下はアップルの多様性に関するビデオ。アップルに限らず、シリコンバレーの企業はどこもこのような感じです。



そう、ポリティカル・コレクトネスはやっぱり大切なのです。

ポリコレ瓦解を喜ぶ人たち

ところが今回トランプはこのポリティカル・コレクトネスをこき下ろし、窓から投げ捨ててしまいました。これを見て、今までポリコレのせいで割りを食っていた(と感じてる)人たちは大喜びです。しかし結局のところ、ポリコレ放棄はアメリカに弱体化しかもたらさないでしょう。出自や肌の色や信条で差別されるところでわざわざビジネスを始めたり、就職したりするメリットなど何もないからです。



現にシリコンバレーに住む私の友人たちの中にも、黙って荷物をまとめる人たちが出てきました。911の直後にアメリカ中で外国人排斥熱が高まった時にも随分多くのエンジニアたちが黙って静かに出身国へと帰って行きましたが、今回も同じことが更に大きな規模で起きるのではないかと思います。

自由、平等と言った価値観を大切にしない国に、魅力的な人材は集まりません。逆に言えば、今ここでそうした価値観にしっかりと踏みとどまることができる国は、優秀な企業や人材を集めることができる可能性が大きく高まるのではないでしょうか?



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2016年11月13日日曜日

トランプ後の世界は、戦争が待っている?

ドナルド・トランプがアメリカの大統領に選ばれた。

 まさかトランプが選ばれるはずがないと思っていた人が多かっただけに、アメリカでも日本でもショックを受けている人が多い。マスコミも一般の人々も「なぜトランプが選ばれたのか?」を分析するのに大忙しだ。

 白人の逆襲? グローバル化の煽りを食っていた人たちが声をあげた? 女性への偏見? 原因はいろいろ言われているし、どれも一理ある。

僕はこう思う。

トランプ氏の当選は、「時代の要請」なのだ。




時代は「右向け右!」「俺たちは何も悪くない!あいつらが悪い。あいつらのせいだ!」とわかりやすいことを声高に叫んでくれる、強権的なリーダーを求めている。 今の時代、誰しもが不安を抱えて生きている。その原因は急激なグローバル化とITの発達にある。でも、変化があまりにも大きすぎて、考えるのが追いつかないのだ。いったい何が起きているのか、よくわからない人も沢山いるだろう。そうこうしている間に、仕事が自動化されたり、需要そのものがなくなって消えてしまったり、海外にドンドンと出ていってしまった。残った仕事はハンバーガーをひっくり返すような低賃金の仕事か、高等教育を受けたエリートにしかできない高度な技能が要求される仕事ばかりで、普通の人の仕事は減る一方なのだ。普通の人々の給与は据え置かれたまま、時間がだけが流れていく。

そんな折、 8年前に頭の良さそうな黒人男性がさっそうと登場し、”Yes, We Can!” と変化を訴えた。みんな彼に賭けてみたのだ。でも、オバマ大統領に出来たことといえば、健康保険制度の改革と、不況からの脱出くらいだった。雇用はずいぶん増えたが、まっとうな暮らしを営めるような、安定収入を得られる仕事はアメリカの真ん中あたりにはやってこなかったのだ。この辺りの事情はアメリカもイギリスも、そして日本も大して変わらない。

だから、時代はさらなる変化を求めている。 そこで起きたのがイギリスのEU脱退や、フィリピンのドゥテルテ大統領選出や、トランプ大統領の選出なのだ。来年のフランスの大統領選でも、移民排斥を主張する極右のルペンに成る公算が高い。

次はなんだろう?

中国の習近平主席、フィリピンのドゥテルテ大統領、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、ハンガリーのビクトル首相、インドのモディ首相、北朝鮮の金正恩総書記、そして日本の安倍首相……そしてトランプが加わった。いつの間にずいぶん沢山の強権的なリーダーたちが誕生している。さらに増えていってもまったく不思議ではない。’

 かつて、同じようなことが世界大恐慌の後に起きた。経済が後退し、人々は強権的なリーダーと、わかりやすいスケープゴートを求めた。アメリカでは黄禍論が唱えられ、ドイツではユダヤ人が標的となった。各国で民族の自決が叫ばれた。やがて第2次世界大戦が始まったのだ。

 もしかしたら、2007年に端を発したリーマンショックが、同じような状況を作り出したのかもしれない。イギリスやフランスの移民排斥、日本の嫌韓、アメリカのメキシコ人やモスリムへのバッシングや移民の排斥。イギリスのことはイギリス人が決める。そうやって決まったEU脱退は、民族自決そのものだ。そして世界各地で出現する強権的なリーダー。この先に待っているのはいったいなんだろうか?

アメリカが内側を向くと..

トランプの大統領就任後、世界はいったいどちらに振れていくのだろうか? 数ヶ月前にフィリピンのドゥテルテ大統領がアメリカに暴言を吐いて中国にすり寄ったが、驚いたことにオバマはこれに無関心を決め込んでしまった。

 ではトランプが率いるアメリカがさらに内向きなったらどうなるのだろうか? 今はアメリカになびいているアジアの国々が、中国への恭順の姿勢を示すかもしれない。そうしたら、中国もさらに大胆な行動をとるようになるだろう。自衛隊と中国軍の間で、交戦が起きたとしてもまったくおかしくない。すると日本の世論だって、急激に核武装容認に走るかもしれないのだ。

 あるいはヨーロッパはどうだろうか?  米軍がNATOへの関与を大幅に減らしたら、ロシアはどう出るだろうか?   アメリカは中東にどう関わっていくのだろうか? こう考えると火種はいくつもある。これらのどれか、あるいは全てが大規模戦争に発展しても不思議ではないだろう。

言論はどうなるだろう?

 かつて911の頃、アメリカは一度大きく右に揺れた。そして、そして愛国法なるものが制定され、メールの盗み読みや、電話の盗聴なのがまるで当然のように行われた。カリフォルニアのオークランドでは、初老の男性が与太話でブッシュのことを「ケツの穴」と侮蔑したところ、後日FBI から事情徴収を受けた、というまったく笑えない話がある。

 つまり、実際にきな臭くなれば、言論の自由などあっという間になくなる。真剣に国を憂う知識人がみんな投獄される、といったことだってアメリカでも十分に起こりうるのだ。強い流れがある方向にできてしまうと、これを止めるのは非常に難しいのだ。

足元を見る

こうした事態を防ぐために僕たちがしなければならないこと、それはおそらく「簡単な解決方法を求めない」というあたりにある。現実と折り合いをつけながら、具体的な解決方法を考えていくしかないのだ。グローバル化はもう嫌だと、内にこもっても別に何も解決しない。メキシコ人が悪い、移民が悪い、モスリムは出て行けと悪者探しをしても、憂さ晴らしにはなっても根本解決にはならないのだ。

 格安スマートフォンが100ドルちょっとで買えるのはグローバル化のお陰なのだし、日本が海外から安定して食料やエネルギーを輸入できるのだって同じことだ。スマートフォンを国内生産して1台数千ドルで販売しても、買える人などいないやしない。それはユニクロのやギャップの服だって同じことだ。だから、グローバル化やIT化をむやみに悪者扱いするのも芸がないし、かといって何でもかんでもグローバル化とITの活用で解決できると信じ込むのも同じくらい芸がない。

 先進国の人々は、どうすれば国内の仕事を増やすことができるか、誰しもがより高度な教育を平等に受けることができるようになるにはどうすればいいのか、もっと真剣に考え、自らの手で形にしていくしかないのだ。

 万能の解決策はない。自分たちの足元をよく見て、誰かを悪者扱いするのでもなく、強権的なリーダーの出現を待つのでもなく、現実を直視し、自らの頭で考え、根気よく話し合いながら、国内に仕事や効果的な教育の場を生み出していく。僕らにやれることはそれしかないのだ。そしてそれこそが、僕らが戦争を避けるために取ることのできる、最も効果的なアクションなのではないだろうか?



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2016年11月7日月曜日

アメリカ大統領選に仕掛けられた「巧妙な罠」?

いよいよアメリカの大統領選が明日へと迫って来た。

選挙戦はありえないほどの接戦となり、どちらの候補者が勝ってもまったく不思議ではない状況にある。

僕ら日本人からしてみると、一体なぜインチキの塊みたいなトランプ氏がここまで支持されるのか意味がわからない。それは日本人に限った話だけではなく、同じアメリカ人であっても、国の半分を占める反トランプ派からしてみても同じ話で、彼がなぜ支持されているのか皆目見当もつかないような状況なのだ。

日本ではトランプ氏の支持者は低所得の白人層だけ、と言った感じで報道されていたようだが、それがどうして案外そうでもないのだ。そこそこ高学歴で高収入の学校の先生や中小企業の経営者といった人々に至るまで、幅広い層の人々が彼を支持している。僕のフェイスブック上でつながっているアメリカ人の友人たちも、少なからずトランプ支持を表明している。

一体、なぜトランプ氏はここまでの支持を得ているのだろうか?

「システム」への不信感


トランプ支持者は確かに低所得の白人が多いとは思う。また、極端に男性に偏っているのももう一つの特徴だろう。しかし、そうは言いつつ女性もいるし、高所得者の人々も確かにいるのだ。

では、一体何が彼らをトランプ支持へと駆り立てるのだろうか? トランプ支持者が共有している思いとは、一体なんなのだろうか?

僕が思うに、それは今のアメリカを回している「システム」への不信感なのだ。企業や政治家が結託し、庶民のことなんかお構いなしで、大企業が儲けることだけを最優先するシステム。そんな「システム」に人々は辟易とし、大きな不信感を抱いている。

現代アメリカは、医療にも教育にも恐ろしく金がかかる。かといって儲かる仕事はあまりない。工場労働もコールセンター業務も、海外に出ていってしまった。残っているのはファーストフードのパートばかりなのだ。だから庶民の財布は常にすっからかんだ。でも、大企業が危機に直面すると、直ちに税金が投入される。「システム」そのものは常に温存されていくのだ。リーマンショックしかり、重油流出しかり。

そんな「システム」に対する不信感がマグマのように溜まった人々の前に、さっそうと(?)現れたのがトランプ氏なのだ。

危険人物だからこそ魅力的?


実はトランプ支持者だって、彼の言うことが全て実現できるなんて思っちゃいないだろう。メキシコとの間に壁を作るのも、イスラム教徒を締め出すのも現実として得策でもなければ、実現可能ですらない。

しかし、トランプ氏ならば、このシステムを中から破壊するだけのパワーがあるのではないのか?と夢を持たせてくれるのだ。

だから、提案の実現性などどうでもよい。いやむしろ、実現性など一切無視して、歯切れのいいことを叫べば叫ぶほど支持が高まっていくのだ。トランプ氏に期待されていること、それはシステムの破壊なのだから、当然のことだろう。

彼の過去の無茶苦茶な行動が明るみに出ても、それはマイナスに作用しない。むしろ「何かやらかしてくれるのではないか?」と言う期待値を盛り上げてしまうのだ。

一方のヒラリー氏はと言うと、つまりはこの「システム」の中の人だと思われてしまっている。だから実際に庶民のためになる現実的な政策を唱えているにもかかわらず、嘘くさいと思われてしまう。そして、一流大学卒、弁護士、政治家、国務長官といった彼女の華々しい経歴さえもが、むしろマイナスに作用してしまうのだ。

そしてアメリカは分断された


この選挙戦を通じてアメリカはすっかり分断されてしまった。そしてこの分断は、オバマ氏が当選した時から始まったように思う。マイノリティ対白人という構図は確かにあるが、「システム温存派」対「システム不信派」というような捉え方をすることができるのかもしれない。そしてこの分断は、大統領選が終わった後もずっと残るだろう。

しかし、である。

ひょっとしたらこのトランプ氏対ヒラリー氏の対決は、そもそもまったくの茶番なのかもしれないと思ったりもする。

そう。アメリカを分断するための巧妙な罠なのではないのだろうか?

アメリカ人がみんなで結託して、富が平等に分配されるよう、あるいは医療費や教育費が下がるように運動でもされたら、困ってしまうのは「システム」そのものなのだ。しかし、対立軸を作って分断させ、お互いをいがみあわせておけば、庶民たちの不満が大きな流れとなり、この「システム」を司る為政者たちに向かうことはない。

仮にトランプ氏が選ばれたとしても、彼自身がそもそもシステムの中の住人なのだから、それを本気で壊すことなどあり得ない。ヒラリー氏が選ばれても同じことだろう。そもそもクリントン夫妻とトランプ夫妻は仲の良い友人同士だとの話もある。




こうしてアメリカ人たちは「分割して統治」され続けていくだろう。




「本気で英語を学ぶ人」のためだけのイングリッシュアカデミー、それがブライチャーです。「英語を本気でモノにしたい」そんなあなたの前向きな姿勢に、ブライチャーは本気でお応えします。

2014年8月28日木曜日

カプチーノ味のポテトチップス

私はもっぱらコーヒーが好きで、特にカプチーノなんて大好物です。あのミルクの泡立った感じ。エスプレッソの香り。う〜〜〜ん。おいしいですよね。




 それからポテトチップスも大好きです。こっちはどっちかというと塩っからいのと、ザクザクとした歯触りが大好きです。とくにKettle の Krinkle Cut Salt and Fresh Ground Pepper Chipsというポテトチップスはその食感が大好きで、ついつい買ってしまいます。米アマゾンでも非常に高評価ですね。


 さて、アメリカの大手ポテトチップスメーカー Lay's が、なんとカプチーノ味のポテトチップスを発売しました。一体どんな味なのかと昨晩買ってきましたが、あまりの怖さに一番小さい袋にしてみました。(と言っても日本の普通サイズくらいありますがw。)

ジャジャーン!


いよいよ試食。ナプキンを広げて出してみます。

さてどんな味かというと、

「なにか大きく間違ってしまったテラミス」


といった感じでした。カプチーノ風味そのものは決して悪くないと思ったけど、ホテトチップスのサクサク感や油っこい感じと、カプチーノの風味がどうにもマッチしません。あまりのマズさに、食べた後に私はすぐさまオレンジジュースを2杯飲みました。息子のほうはうがいして歯を磨いていました。

ちなみにアマゾンの評価もかなり低いです。


これ、お客様から公募したフレイバー2000種類ほどの中から、投票で選ばれた4種類の味のひとつだそうです。
その4種類とは

カプチーノ風味
チェダー・ベーコン・マック&チーズ
ウェイビー・マンゴー・サルサ
ケトルクックト.わさびジンジャー

だそうです。う〜む。



どうしてこの4つがえらばれたのか?他の1996種類の味はいったいどんなのがあったのか? また、この4種類ぜんぶ食べてみるべきなのか…… 悩みますねw。


2013年12月16日月曜日

GunbyGun〜「ソーシャルは銃よりも強し?」

 幼児20人、大人ら6人の合計26人が命を落とした米国コネチカット州のサンディフック小学校銃乱射事件からちょうど365日後の2013年12月13日金曜日、今度はコロラド州のアラパホー高校で銃乱射事件が発生しました。高校生の犯人は、2名に重傷を追わせた上で自ら銃で自殺。現在犠牲者は生死の境をさまよっています。全米が「またか……」というやるせなさに包まれました。

 アメリカ国内における大量殺人は、およそ2週間毎に発生しています。FBIが2006〜2011年の5年間に記録した大量殺人事件の数は、なんと172件(!)にも及ぶのです。しかしこの数字には、ローカルに処理された事件の多くが含まれていません。FBIが記録されているは全体のおよそ61パーセントと言われており、この数字が正しければ、アメリカにおける大量殺人の件数は5年に314件にものぼる計算になります。

 また、サンディフック小学校やアラパホー高校銃撃事件のように、全米で話題になる大量殺人はおよそ6件に1件とさえ言われているのです。大半の事件は全米規模では話題にすらならず、地方紙をしばらく賑わせ、すぐに忘れ去られてゆくのです。では、こうして忘れ去れていく大量殺人事件は、いったいどのようなものなのでしょうか?

 それらの大半は、家庭内での事件なのです。


 失業、家計の問題、恋愛の破局、離婚、家庭内のいざこざ……。あるいは些細な揉めごとが、家族のメンバーを激高させます。そしてあまりにも身近にある銃器。犠牲者の77パーセントは、銃によって殺されるのです。犯行に使われる武器の大半は、しばしば規制論議の対象になるアサルト・ライフルなどではなく、容易に手に入る拳銃です。離婚を根に持った元夫が、感謝祭やクリスマスのパーティに乗り込んでいって、一家を皆殺しにする。そんな事件が後を絶ちません。スティーブ・ジョブズが亡くなった日にも、職場での待遇に腹を立てた男が職場の同僚を数人射殺した上、アップル本社から1キロと離れていない所に潜伏し、町には戒厳令が敷かれました。しかしこの事件、クパチーノ市内以外では、ほとんど話題にすらならなかったのです。
子供、兄弟、配偶者、恋人…… 大量殺人の57パーセントは、顔見知りによって殺されるのです。また、実行犯の94パーセントは男性です。



 実行犯の3人に1人はその場で自殺。その他の大半は警察によって射殺されます。仮に捕まっても、精神の疾病等を理由に責任を問われないことも多数なのです。救われない遺族らの傷。

動かない銃規制
 サンディフック小学校銃乱射事件の後、銃規制論議が活発に行われました。サンディフック事件の遺族たちも議会に強く働きかけました。ところが4月に米議会に提出された銃購入の際に犯歴照会を強化する法案は、否決されてしまったのです。地方レベルでは銃規制法の制定に成功したところもありますが、全体的に見れば銃規制は後退する一方なのです。

ソーシャルのチカラで銃器を減らす
 しかし、ここに来て面白い動きがあります。それはクラウド・ファンディングを利用した、銃器買い取りプログラムです。

 仕組みはこうです。例えば僕が銃規制に賛成なら、gunbygun.org のようなサイトに行って、お金を寄付します。するとこのサイトを運営する非営利団体「Gun by Gun」は、そのお金を原資にして個人所有の銃の買い取り、破棄を行うのです。銃の出所や素性は一切問われません。持ち込まれた銃は一丁当たり100ドルで買い取られます。アサルト・ライフルなら200ドル。銃の回収を行うのは地元警察で、GunbyGunはそのための資金提供と銃器買い取りプログラムの告知を行うのです。

 カリフォルニア州オークランド市は、今年1年だけでも3024件以上もの銃撃事件が起きている、全米でも屈指の犯罪都市です。サンディフック小学校銃撃事件からちょうど1年の昨日12月14日、GunbyGun は12月はオークランド市にて銃の買い取りプログラムを実施しました。このイベントのために集まった資金は5万ドル。500丁の銃器を買い取ることのできる金額です。大した額ではないのかも知れません。それでもオークランド市は500丁分だけ、安全な町になることができるのです。

 GunbyGun を創設したイアン・ジョンストン氏は31歳の若者です。彼は10歳の時に、強盗によって父親を撃ち殺されてしまったのです。ニュース番組に銃器買い取りプログラムの有効性について尋ねられた彼はこう答えたのです。

「去年の暮れのサンディフックの悲劇の後、今度こそは銃規制法が制定され、アメリカはより安全な国へと変っていくと思っていた。でも政治家たちは何も変えられやしない。受け身に待っていってもどうにもならない。今ここでやれることから、手を付けたいんだ。」

 ネットを活用して、民意を、資金を集める。遅々として進まない政府による銃規制を待つのでなく、ソーシャルのチカラで銃をコントロールしていく。そんな試みはまだ始まったばかりです。「ペンは剣よりも強し」ならぬ、「ソーシャルは銃よりも強し」となりうるのか、それはイアン・ジョンストン氏のような勇気ある若者の行動力と、僕ら一人一人の善意しだいではないでしょうか?

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PS:こちらはオークランド向けに行われたファンド募集キャンペーンのビデオです。是非ごらんあれ。



PPS: アメリカにおける大量殺人の各種数字は、USA Today より引用。こちらも興味深いです。

The Untold Story of America's Mass Killings - USA Today


2013年12月13日金曜日

「人生破壊のプロ」

 LA在住のカイラ・ロウズは、駆け出しの女優さんです。ある日、彼女は自宅のバスルームでちょっとポーズして自分の写真をスマホで複数回撮影。その中に乳首が露出している写真が1枚だけありましたが、そもそも誰に見せるつもりもない、ポーズ研究のための写真でしたから、自分のコンピュータに転送するとそのまま忘れていました。
 それからしばらくのこと。親友からアルバイト中のカイラへと電話がかかってきたのです。彼女はその内容に愕然としました。「Is Anyone Up? 」というウエブサイトに、カイラの乳首が露出した写真が載っているというのです。家に帰ってサイトを確認した彼女は、その場で泣き崩れました。

復讐ポルノ
 「リベンジ・ポルノ」とは、元恋人への復讐を目的としてネットに投稿されたわいせつ画像の総称です。現在、アメリカではこういった投稿を掲載する復讐ポルノ・サイトが乱立している状態なのです。

 ハンター・ムーア氏が2010年にサイトを設立した「Is Anyone Up? 」はそんな復讐ポルノ・サイトの草分け的存在でした。このサイトは月に3000万ヒットものPVを集め、ムーアはこのサイトから月13、000〜30、000ドル(130〜300万円相当)の収入を得ていたのです。サイトの大半は女性のイメージで占められており、まずは衣服を着ている普通のイメージを表示。そして写真をクリックすると、ヌード写真が表示されるようになっていました。本名、居住地、そして本人のFacebookやTwitterの自己紹介ページへのリンク(!)が貼られていたのです。

復讐サイトへの「復讐」
 カイラは母に相談。母親が写真を落としてくれるようムーア氏にお願いしたものの、完全に無視されました。地元警察に訴え出ても「自業自得」と、取り合ってくれない始末です。
 しかしカイラにとってラッキーだったこと、それは彼女の母が元探偵であったことと、父が弁護士だったことです。母親は早速調査を開始しました。そして驚くような事実を次々と発見したのです。

まずはムーア氏自身について:

・「人生破壊のプロ」(Professional Life Ruiner )を自認。
・被害女性から苦情を受けると、「自殺でもしろ」と返事。
・Twitterで10万人以上のフォロワーあり。
・被害者が苦情を寄せると、これらフォロワーが被害者の職場に電話などをして攻撃。

投稿されている写真について:

・およそ10パーセントの写真は女性自らが投稿したもの
・半数近くが、ハッキングによって盗まれた写真が投稿されたもの
・別の女性のヌード写真の首から上からをすげ替えたコラージュ画像が多数あること

 などといった実態が判ってきました。
 つまり、写真の半数近くが、本人も元恋人もまったく関与しないカタチで、何者かによって勝手に投稿されたものだったのです。

さらに、このサイトが取り締まられない原因や被害状況なども判ってきました。

・わいせつ画像をホストすること自体は罪にならない〜米国の通信品位法は他人が制作したコンテンツによって罰が科せられることを禁じている
・訴訟は高額なため、被害者は泣き寝入り
・わいせつ画像を見られたことを苦に、転職や引っ越した女性多数

闘い
 もしも写真がすべて元恋人か本人によって投稿されたものであれば、FBIとて、ムーア氏を調査することはできません。ところが、ハッキングによって集められた投稿が多数あるということであれば話は変ります。カイラの母は、調査ファイルの厚みが20センチにも及ぶ頃、FBIに訴え出たのです。FBIは入念に調査した上、ムーア氏の家宅捜索を実行しました。

 FBIの家宅捜索に腹を立てたムーア氏は、やがて、カイラの両親がFBIに通告したことを知るに至りました。すると、両親の家に脅迫電話やコンピュータウイルスなどが送られてくるようになったのです。そこでカイラの母は、ムーア氏の現住所をTwitterで流すことで反撃しました。すると脅迫はさらに増えたのです。

 しかし、母はそこで止らず、フェイスブックに協力を要請。ムーア氏のアカウントを凍結に漕ぎつけたのです。またPaypalにも協力を要請。ムーア氏のアカウントは凍結され、彼は「Is Anyone Up? 」から収入を得る手段を絶たれたのです。

 するとムーア氏は更にパワーアップしたサイトをオープンすると公言。今度のサイトには、被害者の現住所、ならびに家までの道順さえも載せるとアナウンスしたのです。

協力
 そんなある日、カイラの母の元に一通の電話がかかってきました。その電話の主は「アノニマス」というサイバーテロ組織を名乗ったのです。そしてカイラの母に協力を申し出ました。
 アノニマスは「Is Anyone Up? 」をホストするサーバに総攻撃を仕掛けました。さらにムーア氏の個人情報をハックし、すべてネットに流出。ここに至り、ムーア氏はサイトを閉鎖し、自身も沈黙するに至ったのです。

その後
 その後カイラの両親はカリフォルニア議会に働きかけ、復讐ポルノを禁止する法律が制定されました。この法律は、「他人を傷付ける意図で画像その他の情報を配布することを禁止する」というものす。全米を先駆けたため、大きな注目を集めました。

 アメリカで流行したことの多くは大抵日本に飛び火しますから、日本も深刻な被害が起きる前に、法整備を急いだほうがよいでしょう。また付き合い始めの段階で、「撮影はダメ」と相手に釘を刺す必要もあるでしょう。それに応じてくれない男性とは付き合わないほうが無難かも知れません。一度ネットにアップされた画像は永久に漂い続けるのです。




2013年12月8日日曜日

「トム・ザ・ターキー」の物語

 最近アメリカ各地で、人間が野生の七面鳥に襲われる事件が相次いでいます。Youtubeで「Wild Turkey Attack」と検索すると、ビックリするほど沢山のビデオが出てきます。いったいなぜこのような事件が多発しているのでしょうか?

「トム・ザ・ターキー」
 マサチューセッツ州チルマークに住むジョナサンは、ある日、家の近くで見かけた七面鳥の小鳥に愛着を憶え、餌を与え始めました。彼はその七面鳥を「トム」と名付け、見る度に餌を与え続けたのです。

 時が経つにつれ、トムはとびきり大きく獰猛な七面鳥へと成長しました。小さな頃から人間に餌を与えられたこともあって、トムは人間を恐れたりしませんでした。七面鳥の群れのリーダーとなったトムは、他の七面鳥12羽と徒党を組んで、チルマークの町を我が物顔で練り歩くようになったのです。

 やがてトムたちは人を襲うようになりました。老人も子供も男も女もみんな例外なく襲われました。人々は玄関の真正面までクルマで乗り付け、七面鳥たちに襲われないよう最短距離で家の中に駆け込むようになりました。ある人はクルマをつっつく七面鳥をドアで殴りつけ、やっとの思いで家に駆け込み、ある人はゴルフクラブを持ち歩いたのです。家を七面鳥の群れに囲まれた人もいました。宅配便の運転手は玄関まで荷物を届けず、トラックから投げ捨てると立ち去るようになりました。人々は隣の家に行く時ですら、犬を連れて行くようになったのです。トムたちはそれほどにまで凶暴でした。そして、七面鳥に襲われないのは、ジョナサンと、彼の妻だけだったのです。

七面鳥に襲われるってちょっとどんな感じか想像がつかなかったので、ここでビデオを掲載。子どもの頃、野良犬に追いかけられて半泣きで帰ったのを思い出しました。こんなのが13羽で群れって、いったいどんな感じなのでしょうか?




銃声
 2008年の6月のある日のこと。アリサさんとアルティノさんは、ベビー用品の配達にチルマークへとやってきました。アルティノさんが配達の品物を持って配達先の家に歩いていくと、近くにいた大きな七面鳥が突如アルティノさんに襲いかかりました。クルマで待っていたアリサさんが警察に通報。七面鳥は駆けつけた警察官によって射殺されました。そう、殺された七面鳥はトムだったのです。

 銃声を聞いて駆けつけたジョナサンは、警察官を殴ったのです。ジョナサンはその場で逮捕。こうしてチルマークを震撼させた七面鳥事件は幕を降ろしました。リーダーを失った群れはやがて姿を消し、町は平和を取り戻しました。

野性に介入するということ
 なぜ七面鳥たちは、人間を襲うようになったのでしょうか?

 それは、人間が野生の七面鳥に餌を与えるからです。

 そもそも七面鳥たちは人里なんかにやってきません。飢えていたからこそやって来るのです。そんな七面鳥たちに餌を与えれば、七面鳥たちは当然町に居着きます。そうやって何の気なしにやったことが、さらに多くの七面鳥たちをおびき寄せます。

 七面鳥は縄張り意識の強い動物ですから、やがてその町の人間たちを敵と見なし、襲い始めます。こんなときにはどの人も逃げずに、徹底的と敵対したほうがよいのだそうです。野性の動物は序列に敏感ですから、人間のほうが序列が上だと認識すると、人間を襲ったりしないそうです。まして餌付けなんてもってのほかなのです。

 ところがなんの知識も覚悟もなく中途半端な「動物愛護」をすると、トムのようなモンスターが生まれるわけです。野性のまま日常的に飢えた生活だったら、それほど巨大に育つこともなかったでしょう。


実はよくある話?
 実はこれ、カタチは変れどよくある話なのかもしれません。たいした覚悟もなく若者に媚びる。隣国にペコペコする。近所の野良猫にむやみに餌をやる。やがて媚びられたほうは、それを当然と思い始めます。最初に媚びたほうは「親切にしてやったのに」と憤り、もう一方は「誰も頼んでないのにホイホイ持ち上げたのはそっちだろ?」となります。最大の被害者は、隣国であり、若者であり、野良猫かもしれません。

 この事件の発端となったジョナサンとその妻は、その後七面鳥を撃ち殺した警察を強く非難。またこの七面鳥を埋葬したいから遺体を返してくれと請求を始めたのです。そもそも飼っていたわけですらないのに。無責任に餌を与えて街中を恐怖に陥れただけなのに。

あなたの周りにもいませんか? 野良猫やカラスに餌をあげるだけの人。甘やかすだけの子育てをする人。 可愛がる、大切にするということを、本質的にはき違えた人達が。
 

2013年5月5日日曜日

アメリカと銃〜My First Rifle

 アメリカのケンタッキー州で4月30日に、5歳児が誤ってライフルを発砲し、2歳の妹を撃ち殺してしまうという信じられないような事件が起きました。母親がほんのちょっと眼を離したスキの出来事ということです。

銃の扱いは「ライフスキル」
 このニュースの仰天なところがここからです。まず警察からのコメント。

「目を離したすきに起きたあっという間の出来事。この地域では5歳児が銃を持っているのは珍しくない。親が子どもに銃を譲り与えることがある」

 このライフル、22口径の単発式のもので、少年は5歳の誕生日のプレゼント(!)ととしてこのライフルを貰ったそうです。

 5歳って自転車の乗り方とか読み書きなど、人生を歩んでいくのに必要不可欠なライフスキルを身に付ける時期だと思うのですが、銃の扱い方がそのひとつに位置づけられていることへの驚き。

そうそう、5歳児が買ってもらったライフルのコマーシャルはコチラです。



 銃はどこにでもある
 私はこの事件があったすぐ隣の州に5年ほど住んでいたことがあります。本当にどの家にも銃があります。むしろ銃がない家を探すほうが難しいでしょう。シリコンバレーだって同じこと。中西部の田舎よりは少ないですが、それでも射撃場はいつも混んでいて、銃砲店も賑わっています。

 私が住んでいるシリコンバレーは全米の中でももっと安全なエリアのひとつですが、それでも時々銃犯罪が起きます。スティーブジョブズが亡くなった日には職場で銃を乱射した男が武器を持ったまま逃走。途中で全く無関係のHPの社員が撃たれました。町中の学校やお店がすべて閉鎖となり、異様な雰囲気でした。逃走犯は翌日に射殺。私はたまたまこの犯人を射殺した警察官の表彰式に出席する機会があったのですが、まだ20代の婦人警官でした。優しげな面持ちの金髪の美人警官が逃走した犯人を撃ち殺したことがどうも頭の中でリンクせず、奇妙な感じでした。

 数年前には解雇を逆恨みした男が会社の上司と人事部の人を撃ち殺し、ピストル自殺するという事件もありました。また帰宅時に自宅で泥棒に遭遇し、銃を突きつけられてなにも出来なかった日本人の話も聞いたことがあります。

持つか持たないか?
 日本から比べればずっと多い強盗の件数、あるいは強盗がほぼ100パーセント銃武装している現実を考えると、一丁ぐらい銃があってもいいかな? と思う時がないわけではありません。こうした話をアメリカ人の友人たちと話すと、従軍経験者はほぼ全員口を揃えて「買うなら45口径を買え」と言います。そうすればドアごと強盗を撃ち抜ける、というわけです。そこまでじゃなくても一丁ぐらいは持っていてもいいと考えるのはごく普通の感覚ですし、実際射撃場に行けばカップルや家族連れで来ている人が沢山います。

 私は銃を所有したことも、今後するつもりもありませんが、犯罪者も含めほぼすべての人が銃を所有していること現実を踏まえてみると、銃というものがどんなものなのか知っておくのは悪くないと考え、数年前から時々射撃場に銃を撃ちに行っています。けっこうキチンと的に当てるの、難しいものです。

子供用、女性用
 今回の報道を聞いて、子供向けの銃が販売されていることに衝撃を受けた人も少なからずいるのではないのでしょうか? 子供用の他、女性用と銘を打ったピンク色の銃なども販売されています。



ほら、これなんかかわいいですよ。ハンドバッグにぴったりと収まるサイズです。



感覚的にはスマホのデコカバーとあまり変わらない気がします。ピンクやらラメ入りやら色々。そのうちハローキティとかも出てくるかもしれません。

なぜそこまで銃を持ちたがるのか?
 なぜここまで銃が普及しているのか? その要因は色々あるでしょう。全米ライフル協会の政治力、銃を持つ権利が憲法で保証されているなどなど、すぐに幾つかの理由が頭に浮かびます。

 ですがおそらく根本的な理由。それはアメリカ人がその血に持つ「恐怖心」の裏返しではないかと思います。

 アメリカは建国以来、信じられないほど沢山の戦争をしてきました。建国以来の235年のうち、何と214年は戦争をしている国、それがアメリカという国です。国土そのものもインディアンから取り上げたものですし、その後も戦争を繰り返しては国土を拡張してきました。そうやって建国していったことに対する原罪のようなものに対する恐れ、それが銃の所有という形で現れているような気がします。





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2013年4月20日土曜日

越えられない「壁」〜ボストン爆破事件に思うこと

 ボストンの爆破事件、26歳の兄と19歳の弟という2名の容疑者が特定され、兄は銃撃戦の末に射殺。弟は現在も逃走中とのことです。

 逃走中の弟が自首でもしない限り、兄弟がどのような動機でこのようなテロ行為に至ったのか、本当のところが明かさせることはないでしょう。その一方で現在漏れ伝わってくる断片的な情報を張り合わせてみると、この2名の若者の心情は分からなくもないな、と感じてしまう自分がいます。

生い立ち
 兄弟は2003年にチェチェニアからの難民としてアメリカに入国。兄のタメルラン・ツァルナエフは当時16歳、そして弟の弟のジョハル・ツァルナエフは9歳です。

 兄のほうはアマチュアボクシングで活躍。3カ国語を話し、ピアノもうまかったそうです。コミュニティカレッジに通い、エンジニアになりたいと考えてたとのこと。ところがアメリカ社会にはとけ込めなかったようで、自身のフェイスブックのページに「アメリカ代表としてオリンピックに出場したい」といったコメントを残す一方「僕にはアメリカ人の友達が一人も居ないし、彼を理解できない」などといった書き込みもあったようです。

 弟はレスリング部のキャプテンをして活躍。大学に進学を果たし、順調にアメリカ生活にとけ込んでいたように見受けられます。インタビューに応じた高校時代の友人によると、弟はレスリング部のキャプテンとして尊敬されていたそうで、英語に訛りもなく肌も白く誰も彼のことを外国人扱いしていなかったそうです。そして今回の犯行にはみんな一様にショックを受けているなどと話しています。

 興味深いのはこの2人の叔父のコメントで、突きつけられたマイクに向ってこの2人のことを「負け犬」(Losers)と呼び、「一族、そしてチェチェン民族の顔に泥を塗った恥だ。」と怒った様子で言い捨てたのです。




 ウチの息子たちは7歳と5歳の時にアメリカにやってきましたが、英語ができるようになるまでは心から当てにできるのはお互い同士だけ、といった感じで、非常に結びつきの強い兄弟に育ちました。
 うちの子に限らず、異国で結束する兄弟の話はよく耳にします。この兄弟もまた同じように非常に固い絆で結ばれ、兄の心情に共感せざるを得ない弟がいたのかもしれません。

越えられない「壁」
 アメリカで生まれ育った生粋の「アメリカ人」とアメリカに帰化していく移民たちとの間ではどうしても埋められない「壁」があるものです。それは育った環境からくる価値観の違いに根ざしており、例え何十年アメリカで過ごしても、その違いを「よそ者」として客観視せざるを得ない自分がいるものです。習慣、宗教、他人との距離の計り方、言葉……。「壁」は幾重にも重なっています。

私も16歳の時にアメリカに来て、大学時代は水泳部でした。チームメイトは全員白人。それなりに仲良くなり、楽しい青春の一時を過ごしましたが、それでもみんなに溶け込もう、話を合わせようと必死だった自分がいました。しかし話が少年時代の出来事や夢中になったテレビ番組、あるいは将来の夢などに及ぶと、どうにも埋めようのない壁を感じたものです。

ある者はその壁を克服しようと必死になり、あるものは「そういうもの」として壁を乗り越えられないことを受け入れて行きます。しかし何年暮らしても「相容れない部分」は残るものですし、心の底からホッとできない苦しさはあるものです。

 この壁の存在は、自分が黄色人種というアメリカではマイノリティになる人種であることにも大きく起因しているのではないかと思っていましたが、今回の事件の報道を目にし、また、これまで職場を共にした白人の移民たちを思い出してみると、白人か否かなどあまり関係なく、すべての移民たちがこの壁で少なからず苦しむのかも知れないと思いました。

 容疑者はイスラム教徒だったようですから、9/11やその後のアメリカの空気なども、彼にとっては大きな越え難い「壁」を形成したのかもしれません。兄は映画「ボラット」が好きだったと報道されていますが、あの映画のオカシさ/面白さというのは移民としてアメリカに住んでみると、その秀逸なバカさに感心させされるものです。この辺りの感覚もこの容疑者に共感してしまう移民たち、少なくないでしょう。




 犯人がやったことは決して許されることではありませんし、この国にいる何百万人という移民は別に爆破事件など起こさずアメリカ社会の一員として平和に暮らしているのであって、この容疑者を特別視する気もありません。

 その一方でこの若者たちが抱えた疎外感を思うと、なんともやるせない気持ちにさせられます。逃げ回って射殺されるのではなく、自首してくれればと思います。彼が自首して犯行に至るまでの心情を吐露してくれれば、例え僅かでも疎外感をもつ若者が減らすような工夫が出来るかもしません。



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2012年5月25日金曜日

牛さんたち、ごめんなさい。

マクドナルドと言えばハンバーガーです。ジューシーでおいしいですよね。私はビッグマックとか大好きです。


こんなの。

この中に挟まっているお肉はハンバーガーパティと呼ばれる、ハンバーグのお肉です。

こんなの。
さて。マクドナルドは本当に大きな企業です。不況にも強く、2007年以来ずっと続いている世界不況の中でも着実に売り上げを伸ばしています。2007年には45ドルほどだった株価も現在は91ドル。倍以上に上げています。現在は118カ国に3万1千店もの店舗を抱え、アメリカ国内だけでも1万3千店もの店舗があるんです。全世界でなんと


毎秒75個

のハンバーガーが売れるそうで、アメリカ国内では一日2千3百万人(!)もの人がマクドナルドで食事をするそうです。

アメリカ国内だけでもこれほどの人がハンバーガーを食べるとすると、一体どれだけの牛肉が消費されているのか気になります。調べてみたところ、なんとアメリカ国内のマクドナルドだけでも1年間におよそ10億ポンドもの牛肉が消費されているそうで、これってなんと牛

550万頭

分だそうです。

550万って、東京の人口が1200万ぐらいですからそのおよそ半分ですよ。

この数字がどのくらい凄いかちょっと考えてみましょう。

550万頭/365日=1日あたり15068頭

となります。

そう。なんと1日に1万5千頭もの牛が肉になってしまうんです。



この牛さんたちがどんなふうにパティにされてしまうのか興味のある方は下の2つのビデオをご覧ください。

まずはこのビデオ。本当に強烈なので、覚悟してみるか、見ないほうがいいかも知れません。もしもあなたが今後ハンバーガーを食べられなくなっても、あるいは肉そのものが食べられなくなっても私は責任持てませんので、自己責任でお願いします。わたしは途中で見るのを止めてしまいました。そのくらい強烈です。



下は「精肉」工場の様子です。どうってことない映像ですが、上の映像を見た後だと、正視に耐えない部分もあったりします。



あなたや私が食べるハンバーガーはどこかの牛さんの肉だと頭では判っていましたが、こうして映像で見てみると実に衝撃的なものです。

今年もまた、アメリカ国内だけどもこんな光景が550万回繰り返されています。

牛さんたち、ごめんなさい。あなたたちだって自分の一生を全うしたいだろうに……。私もう、肉食べるのやめようかと思います。




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2012年5月13日日曜日

猛禽類とどうやって戦うのか

さて先日書いた「グローバル企業のトップはみんな猛禽類」という記事、僅か1日で5万ビューを突破し、その関心の高さに驚くとともに、「一体こんな連中とどんなふうに戦えばいいのか?」というようなコメントを多数頂きました。

まずご安心頂きたいのは、こういうとんでもない連中はトップクラスの連中で、世の中の大半を占める私やあなたのような人達の直属の上司になるようなことはまずないことです。またこの超トップクラスはある意味清々しささえ漂っており、尊敬の対象になりこそすれ、戦おうなんて気が起きないものです。



私はこの左上の写真の、テキサスの牧場で散弾銃に弾込めていそうなBob Mansfield氏の下の、そのまた下に位置していました。恐ろしく厳しい人でしたが、フェアな人でした。尊敬していました。またこういう人達はあまり突出した才能があるせいか、案外たいした大学を出ていないのに要職に就いていたりします。天才には学歴なんて不要なのかも……とも思います。ちなみにBob Mansfield氏はテキサス大学(!)の電子工学専攻で、それが最終学歴です。iPodの父と言われるTony Fadell 氏もミシガン大学の卒業生で、大学院には行っていません。

厄介なのはこう言った雲の上の人達ではなく、それよりも1〜2ランク下にいる、気分だけは超一流気取りで、イヤなところだけ偉い人達の真似をし、出世することにとにかく必死な人達です。ボーディングスクールからアイビーリーグスクールの院卒、と言った学歴の人が多く、確かに頭も切れ仕事もできますがエゴもプライドも極度に肥大しています。

そういう人達、性質的には「グローバル企業のトップはみんな猛禽類」で書いたそのももです。ですが天上人たちのような的確なビジョンや突出したリーダーシップがあるわけではありません。

あなたがそういう人の部下だとすると、あなたの手柄は全部その人の手柄にされますし、それでいてあなたに利用価値がなくなったと見るやサヨナラです。ホントに躊躇せず人を刺します。ある意味トップクラスの連中よりもずっと性悪です。

ではそういう人には一体どうやって対抗すればいいんでしょうか?

それには自分を商品化し、社内の上層部に広く知られるようにするしかありません。こういう人達に口で勝つのはまず無理な上、政治力でも敵いませんし、労働時間ですら負けてしまいがちです。

詳しくは「僕がアップルで学んだこと」に書きましたが、あなたの成果を横取りされないようにするには、あなたの成果が広く知れ渡るような自分自身のブランド化とマーケティングが必要です。

社内には多くのメールやレポートなどが飛び交います。自分から発信するメールやレポート、またメールの返事などはすべて情報発信の機会と考え、常にビシッとした情報を出すことが非常に大切です。

今や自分の書いたブログ記事がtwitterやメールなどで拡散され、思わぬ形で世の中の人々に「発見」される事がありますが、社内ですらそういうことが起きる時代です。的確に問題点をえぐり出したレポートや目を惹く提案書などがあると、それが瞬く間に転送されて拡散する時代です。ですから末端の社員でも上級管理職の人たちに「発見」されることも起こりうるのです。またそういったコンテンツを盗用されないような工夫も大切です。

こうしたことを的確に行うには、自分の得意分野、専門分野といったものをよく考え、自分を売るための「ストーリー」を日頃から持っておくことが大切です。するとこうした情報発信の際の拠り所となり、的確なイメージ作りを行っていくことができます。

自分の成果や手柄を守る意味でも、こうした自分自身のマーケティング、外資系や米国の企業で働く人はすぐにでも取り入れることをおすすめします。


2012年5月6日日曜日

グローバル企業のトップはみんな猛禽類

先日「グローバル人材の幻想 - 青い鳥を追いかけるまえに、ファンタジーから目を覚ませ」という実も蓋もないブログを読んで吹き出してしまいました。

そうそう。英米の有力企業の幹部の多くは、高校あたりからボーディングスクールに行って、大学/大学院は英米の超一流大学を出ています。IT業界なんてマシな方で、もっと昔から確立されている金融業なんて本当にボーディングスクール→アイビーリーグの院卒ばっかりです。

そんな中で日本で大学まで通ったごく普通の日本人がこういう連中と押し合いへし合いやりつつ上級幹部にまで成り上がれるかと言ったら99.9%無理でしょう。

でも私、これは超一流校の大学院出てないとか英語がマズいとか実力がないとかコネがないせいだとは思っていないんです。もっと根本的な問題です。

グローバル企業の上級幹部になるような連中は肉食の猛禽類なんです。日本ではまったくお目にかからないような連中です。ではどんなふうに猛禽類なのかご説明しましょう。

恐ろしく弁舌が立つ

この人達と議論をして負かせたら本当にたいしたものです。私には到底無理ですね。私、日本語で議論するとたいてい誰にもで勝ちますが、あれは日本人が議論慣れしていないからです。小学生から大学院までプレゼンだディベートだと繰り返し、揉まれ続けて社会に出てきた彼らと渡り合うのは並大抵じゃありません。更にこの連中はそういう弁舌が立つ人達の中でも特別弁舌が立つんです。普通の日本人がこいつらに弁舌で張り合うのは、竹槍でマシンガンと戦うぐらい差があります。

弱みを見せない

自らの弱みを見せ、「私もあなたも同じような悩みを持つ一人の人間ですよ」なんていうポーズ、彼らは絶対にしません。下の者の飲みにいって人間らしい一面を見せるとか…… そんなことはあり得ません。もしも彼らが人間らしい一面を見せたら、それは計算された演出であると疑った方がいいでしょう。彼らは自分たちが優秀だと自覚していますし、自負もあります。弱みなんて見せたらつけ込まれるだけです。ガードを降ろしてボンヤリしている人、誰もいません。

プレッシャーに強い

グローバル企業で中間管理職をやっていた私ですら、熱湯風呂を我慢しているような辛さでした。彼らが背負うプレッシャーたるや、私のそれとは比較にもならないでしょう。でもノイローゼで辞めた人とか、休職した人とか一人も知りません。本当にタフな連中です。

異常に働く

アップルのSr. VPと呼ばれるジョブズの側近だったような連中は朝4時、5時といった時間から働いています。そしてこっちがバケーションに出ていようが、国民の休日だろうが、子供の世話だろうとおかまいなし。メールや電話が雨あられとかかってきます。一体いつ寝ているのかと思うほどです。しかもいつもこのペースです。ここまで働く人達、日本ではもうあまりお目にかからないと思います。

右手で握手をし、左手で背中から刺す

損得勘定や社内政治に非常に敏感で、どの人と組むべきなのか、どの人と距離をおくべきなのか常に計っています。そして自分に災いが降り掛かってくると察知したら、昨日の友人だって平気で背中から刺し、蹴落とすような連中です。そんなバカな!と思うかも知れませんが、これが「ゲームのルール」なんです。ですので刺しても刺されてもお互いさまです。アメリカの大統領選の誹謗中傷合戦なども日本人の感覚だとあり得ないような気がしますが、こういう連中と仕事をすると、アメリカの大統領選に強い既視感が湧いてきます。

アドレナリン・ジャンキー

この人達、すでに大金持ちでまったく働く必要がありません。が、常に権力争いの渦中に身を置き、心身を削って戦い続けます。根っからが猛禽類なので、誰かを噛み殺していないと生きている感覚が得られないのかも知れません。アドレナリンを求めずにはいられない、アドレナリン・ジャンキーなんです。





以上がグローバル企業の上級幹部を務める猛禽類たちの生態です。

ヨーロッパ大陸は毛色がかなり異なるようですが、英米はまあどこも似たり寄ったりのようです。アメリカの政界や企業の要職に日系人/日本人があまりいないのは、英語や学歴云々以前に、あまりにも気質が異なるからのような気がします。私はあと1ランクで副社長というところまで行きましたが、そのレベルですら鷹や鷲のような獰猛な連中だらけでとてつもなく消耗しました。そして私は上記のような獣性を自分の内側に飼っていないことを悟りました。このラットレースから抜けられて良かったです。

しかし…… 何故か時々懐かしくなったりします。またいつか戻るかも。




2012年2月14日火曜日

インド人と中国人が支えるシリコンバレー

私はクパティーノ(Cupertino)という、サンフランシスコから南に80キロ移動したところにある、小さな町に住んでいます。人口は5万8千人。青森県むつ市が人口6万人ですから、どのくらい小さい町なのかなんとなくイメージが湧くのではないかと思います。

そんな小さな町なのですが、非常に有名な町です。アップルとヒューレット・パッカードの本社を市内に抱えています。他にも世界的に有名な会社の本社、支社などがゴソゴソと建っており、シリコンバレーの中心地といった感じのところなのです。




教育程度も極めて高く、土地の値段も東京の世田谷にでも住んでいるのかと思うほど高く、動物が棲んでいそうなボロ屋でさえ80万ドルするようなところです。2階建てのちょっと立派な家は軽く150万ドルとかします。100円換算で1億5000万円と思って頂ければまあ感じが掴めるかと思います。

そんなクパティーノ市、もうひとつ特徴的なことがあります。

それはアジア人の多さです。

2010年の国勢調査によると、なんと人口の

63.3%がアジア人
31.3%が白人

と、白人のほうがマイノリティになってしまっています。

このアジア人の内訳ですが一番多いのが中国人で28.1%、次に多いのがインド人で22.6%です。ちなみに日本人は3.3%ですが、100人中3人と思うとけっこう多いですよね。

ちなみに2000年の国勢調査の時には白人が50.14%と、まだかろうじて半数は白人だったのです。ところがあまりにも有色人種が増えたことに嫌気がさしたのでしょうか?みんなドンドン引っ越して、今ではアジア人だらけです。

ちなみにアジア人は2000年に44.4%でしたから19%も増えた格好です。

中国人は23.8%から28.1%ですから4.3%の増加です。

しかし一番増えたのはインド人です。

8.72%から22.6%と倍以上です。

こんな人種の構成になってくると、まったくアメリカに住んでいる気がしません。なんとなくね、シンガポールと雰囲気がよく似てきました。

なぜこんなに中華系とインド人が増えているかというと、彼らが優秀だからです。

この人達の大半がアップルやグーグルなどの超優良企業に勤め、億単位の大きな家に住んでいます。インド人も中国人も働き者で教育熱心ですから、この学区の一番いい高校などはインドに来たのかと思うほどインド人ばかりなのです。

アップル、グーグル、フェイスブックなどというとなんとなく創業者のイメージから白人の会社って気がしますよね。

でもそれらの会社の屋台骨を支えているのはインド人と中国人です。

しかしただ働き者というわけではありません。主張することはしっかりします。日本人など彼らに比べれば羊のようなおとなしさです。

特にインド人は自己主張も激しく、彼らとの近所付き合いや会社での上下関係などもなかなか難しいものがあります。慣れを要するとでもいえばいいのでしょうか?

日本も少子高齢化や人口減少などで社会保障費は上がるのに税収が減る一方ですが、もし移民解禁などということにでもなればおそらくインド人と中国人が大挙してやってくるでしょう。またNECやソニーといった大手の凋落があまりにも激しいですから、これらの会社が中華系の企業に買収されてしまうことなども大いにあり得るでしょう。

するとあなたの上司や同僚がインド人や中国人になっていきます。

別にそれ自体は悪いことでもなんでもありません。ただ慣れを要するというだけの話です。

今までは移民と言えば低所得で教育程度が低い人がやって来てダーティな仕事をやってくれましたが、そういう時代はボチボチ終わりだと思います。極めて有能な外国人がやってきて、あなたの上司や同僚や部下になっていく……そんな時代がもう目前です。

その一方で従来通りのダーティな仕事を厭わない外国人も入り続けるでしょう。ですから教育程度や所得が低い人達はそうした層と競争し、教育程度や所得も高い人はまた別の層の外国人と競争となります。

日本は先進国ではなくなりつつある……。そのことを直視して英語を憶えるなり何なりして人生設計をしたほうがいいように思います。



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2012年2月10日金曜日

スティーブ・ジョブズのFBI調査ファイル

久しぶりにスティーブ・ジョブズのネタです。

スティーブって1991年、パパ・ブッシュ時代に大統領輸出評議会(President's Export Council)のメンバーに指名された際に、FBIに素行調査されていたのです。

その調査レポートがつい先日、20年以上の月日を隔て、FBI のサイトにアップされました。で、LA Times がそれを掲載しています。191ページもあるレポートです。現物が見たい方はこちらにあります。

Steve Jobs’ FBI file

しかし予想通り散々な書かれようです。

これを書いた調査官ら、30人以上ものスティーブを良く知る人をインタビューしたとありますね。

複数の人が、ジョブズ氏は「自らのゴール達成のためなら真実をねじ曲げ、現実を歪曲する人だ」と述べ、ジョブズ氏の誠実さに疑問を投げかけた。とあります。(Several individuals questioned Mr. Jobs' honesty stating that Mr. Jobs will twist the truth and distort reality in order to achieve his goals. )

ジョブズ氏は未婚で彼の子を産んだガールフレンドと、と2人の間に生まれた娘の支援もしなかった、ようやく最近になって支援しているなどとも書かれています。(Mr. Jobs was not supportive of [redacted] (the mother of his child born out of wedlock) and their daughter; however, recently has become supportive.)


ある調査官は、「またジョブズ氏にイヤな思いをさせられ離れていったある人物は、スティーブのモラルに疑問を感じる、と言っている」などとも書いています。(Another person, who admitted to feeling bitter towards Jobs and alienated from him, said his moral character is questionable.)

「ジョブス氏は自分の要求が叶う限りは誠実な人だ」などという言葉も載っています。(Mr. Jobs possesses integrity as long as he gets his way)

またスティーブと幼なじみだったある女性は「カリスマ性のあるビジョナリーだが、ナルシストで底が浅い人間のため、人間関係が硬直している。」などと言っています。(An interviewee who said she grew up with Jobs described him as a charismatic visionary who was callous in his personal relationships and whose personal life was lacking due to his "narcissism and shallowness.")

その他スティーブがマリファナやLSDを常習していたことなども確認された、となっています。

しかしスティーブ・ジョブスの公式伝記を読んでしまった後だとあんまり驚きはありません。

それよりも、こんなファイルの公開を義務づけてしまうアメリカの情報公開法(Freedom of Information Act)って偉いな、って思いました。

対する日本は... 

去年の東日本大震災や原発事故に関する政府の議事録が作られていなかった

ことが問題になっています。

いや、きっと議事録あるんです。でも、ないことにしておかないと都合が悪くなる人がいっぱ〜い居るんでしょう。

アメリカが別に取り立てて進んでいるとも思わないけれども間違いなく日本より進んでるところもあるんだな、ってスティーブとは何の関係もないところで感心しました。



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