luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

報道にミスリードされるの図。調べてみることで、情報リテラシーが格段に上昇する。

報道の状況を調べて、変な報道の真意を確認することができたので、今日はそれについて書きます。
発端はこの報道。→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130822-00000154-jij-pol

「メジを食べるのはやめましょう」。水産庁の宮原正典次長は22日、太平洋クロマグロ(本マグロ)の資源管理に関する会議で、本マグロの刺し身として店頭に並ぶメジマグロを食べるのを控えるよう、異例の呼び掛けを行った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130822-00000154-jij-pol

読んでいて、かなり変に感じた。
実際、ツイートで官僚は、根拠法を行動指針にしているはず、というのが流れていたせいもあり、発言者が鰻シンポジウムの参加者でもあった*1ので、消費者に向けてのアピールかな、とも思ったが、報道される内容に省略があって、変になっている感じもあった。
案の定、twitter のコメントは水産庁を非難したり、ピンボケの非難コメントを出したりしていた。また、はてなブックマーク - メジマグロ食べないで=水産庁幹部が異例の訴え (時事通信) - Yahoo!ニュース を見ると、かなり奇矯なコメントも見受けられた*2。
なので、ちょっと調べてみることにした。
"水産庁宮原次長" で調べてみると、最初に引っかかったのは、水産タイムス 冷食タイムス の記事。

水産庁は来年9月の漁業権の切り替えを前に、クロマグロの漁場や養殖場の規模を拡大せず、現状を維持するよう各都道府県に通知している。は会議の中で、「未成魚の漁獲を削減し、大きく育ててから漁獲することにより、親魚資源量が中長期的に適切な範囲内に維持されることが重要」と指摘した。

http://www.suisantimes.co.jp/cgi-bin/column.cgi?d=120903

稚魚の漁獲を制限する方針にブレはなく、ちゃんと漁獲制限の方針であることも報じられています。また、他国への規制にも言及しています。包括的な政策の一環であり、水産庁に対して非難するばかりではなく、ちゃんと評価もしていかなければ、と考える内容だった。
また、NHK の報道内容 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130822/k10013958901000.html を確認すると、漁業関係者への発言であることがわかる。
...決め手になったのは、日経の報道だった。
水産庁、クロマグロの漁獲規制強化表明 未成魚対象 :日本経済新聞 より。

主に日本が漁獲している北太平洋のクロマグロは未成魚が9割以上を占める。親魚の資源量は10年時点で史上最低に近い水準にある。宮原次長は「安いメジ(クロマグロの未成魚)を好きなだけ食べられる状況ではない。すべての漁業者や流通業者に協力してもらいたい」と呼びかけた。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2200X_S3A820C1EE8000/

漁業関係者の会議なので、呼び掛けているのは漁業関係者や流通業者へであり、「食べないで」ではなく「食べられる状況ではない」である。また、元々が漁獲量制限の規制、それも未成魚に対しての内容で出てきており、そちらが本来の会議の内容である。日経の見出しは「水産庁、クロマグロの漁獲規制強化表明 未成魚対象 」であり、とても的確である。
「メジマグロ食べないで=水産庁幹部が異例の訴え」という誤解されそうな見出しをつけ、既報の記事の内容では、実際の会議の内容も含めて正しく伝わらないのではないか、と感じた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130822-00000154-jij-pol の記事では、本来の漁業規制の内容が報じられず、説明不足であり、読んだ人がミスリードされやすい内容なのではないかな。
実際、リンクをたどっていくと、この記事のみを読んで色々痛い意見を言ってしまっているケースがちらほら。元々漁業規制の会議の場での話なのに、「規制しようよ」とかピンボケかましてしまっているコメントもありますし...。
報道も含め、情報は拡散する際に細部がボケ、正しい情報として伝達しないことも多い。そのためには、手間を厭わずちゃんと調べることが大切である。それを痛感した報道でもあり、良い教訓にもなったのでブログ記事にしてみました。
単に google で、数分ほど調べただけの内容なので、私の認識にも間違いはあるとは思いますが、それなりに真相には迫った内容だと思います。


単なる一市民が単純に調べるだけで、この程度くらいは知ることができる、という事でもありますよね。情報のつながりを紐解くことは、結構大事です。

*1:参考 ウナギの日シンポジウム - Y日記 「GCOEにも参加されていた塚本先生を始め、ウナギ完全養殖成功の中心となった田中秀樹氏、水産資源学の勝川俊雄氏、「ウナギ」「マグロ」などの著書で知られる共同通信の井田徹治氏のほか、水産庁からは宮原正典次官、環境省からは中島慶二野生生物課長らが講演を行います。」と、ある。

*2:ちゃんと真相に迫っているコメントも見られるので、そういう意味でも興味深い。