古書ニザワ業務雑記

2023/06/08~

とある軍医候補生の遺せし記録【古書目録37】

書庫に積んでる資料を一つ崩すことにした。
何となれば、ここ数日確定申告絡みの入力しかほぼしていない人生を送っており、数字と締切日から裸足で逃避したくなったのである。

そんなわけで本日ご紹介するのはこちら。
IMG_5930.jpgこれ、古書市で見かけて時は値札帯に「軍隊通信紙」と書かれており、手に取ってパラパラ捲ったところ書き込み多数。よくわからんが貴重な当時物軍隊資料であることに間違いはあるまいと拾った次第である。

そして以降開かれることなく、当たり前のように書棚に取り残されるのであった。
手書き資料系は面白いは面白いんだけども……検品/出品にちょっと【覚悟】がいるんですよね……時間もかなり食うし……。

しかし、ここ数日の青い悪夢のおかげで、精神状態的にはむしろじっくり一点に集中したい! という感じ。腰を据えて取り掛かることにした。

まずは【何年ごろの、どこに所属の、誰が書いたものか】を把握せねばならぬ。
案外そういう情報が書かれていないケースもあり、さて今回はと思っていたら……あっさり判明した。
IMG_5943.jpg当時の陸軍軍医候補生、古谷博という人物が記したものらしい。書き込みや表紙の印からも間違いないと思う。
IMG_5940.jpgIMG_5942.jpgIMG_5946.jpgまた、「見習士官教育隊訓育計画ノ概要」と、「教育日誌」に残された日付から、1944年の10月から12月に書かれたもの判明。
つまり、太平洋戦争の只中で当時の軍医候補生がどのような教育を受けていたかが垣間見える貴重資料であった。やはり一点もの資料はとりあえず拾うに限るな!

以下画像。
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