喜心大心

喜心(きしん)は感謝と喜びを絶やさない心、大心(だいしん)はすべてを包み込む大らかな心という意味です

2024年12月

令和6年の宗教統計調査の結果

文化庁が令和6年の宗教統計調査の結果を発表しました。 それによると、2023年12月末現在の神道系の宗教団体の信者数は8337万人、仏教系は8107万人、キリスト系は125万人、諸教は655万人、合計1億7223万人で、例によって日本の人口の1億2374万人(2024年12…

不落因果と不昧因果はどう違う

続いて「百丈野狐(ひゃくじょうやこ)」の公案です。 これも私にはよくわからない話なのですが、喉に魚の骨が刺さったように気になる内容なのでご紹介します。 百丈懐海(えかい)が法堂で説法をすると、いつも一人の老人がいて、修行僧と一緒に話を聞いて…

南泉和尚はなぜ猫を切ったのか

曹洞宗で一人前の僧侶になるには法戦式に臨まなければならないと記しましたが、そこでは首座とほかの修行僧との間で激しい禅問答が繰り広げられます。 少し(かなり)古い映画となりますが、若者の禅寺での修行生活をコミカルに描いた「ファンシィダンス」(…

般若心経を訳してわかったこと

曹洞宗でよく読まれる摩訶般若波羅蜜多心経(般若心経)は、日本で最もポピュラーなお経といっていいでしょう。 262文字という、長くも短くもないボリュームのため、写経でも取り上げられることが多いようです。 ただ、耳にしたり、眼にしたりすることはあっ…

不放逸(人生を無駄にしない)

僧堂で朝、鈴を鳴らして修行僧を起こすのは振鈴の役目ですが、開枕では直堂が太鼓と鐘を鳴らして就寝時刻であることを告げます。 日泰寺専門僧堂ではその際、以下のような偈を読み上げます。 「謹んで大衆に申す。生死事大(しょうじじだい)、無常迅速(む…

20年後はお寺の半数が空き寺に

曹洞宗宗務庁運営企画室が先月発表した「曹洞宗 2045年予測」(曹洞宗のホームページで見ることができます)がなかなか衝撃的な内容なので、かいつまんでご紹介します。 何より驚かされるのは、近年顕著となり、今後も加速が予測される僧侶数の減少です。 曹…

坐禅と瞑想とマインドフルネス

米国などでブームになっている「マインドフルネス」に焦点を当てたNHKの教養バラエティー番組(あしたが変わるトリセツショー「新・瞑想のトリセツ」)をつい最近、録画で視聴しました。 番組自体は大変面白かったのですが、マインドフルネスと上座部仏教…

孤独に悩む若者を応援する言葉

長年感じていた生き辛さが仏教の勉強を始めるきっかけとなったと以前に記しましたが、今から40年以上前、青年期の私にとって一番辛かったのは孤独でした。 誰かに虐められたり、友人がいなかったわけではないですが、一人ぼっちの部屋で孤独感に苛まれた夜を…

「いまを生きる」は仏教の教え

もう30年以上前の公開となりますが、ピーター・ウィアー監督の米国映画「いまを生きる」をご存じでしょうか。 ニューイングランドの全寮制学校を舞台に、ロビン・ウィリアムズが演じる型破りな教師と多感な学生たちとの交流を描いた作品です。 映画の原題は…

飲酒戒は日本で定着しなかった

話が前後しますが、曹洞宗の出家得度式では、三帰戒、三聚浄戒、十重禁戒の十六条戒を受けます。 三帰戒は、仏(釈尊)、法(釈尊の教え、真理)、僧(僧侶)の三宝に対する帰依。 三聚浄戒は、摂律儀戒(悪いことはしない)、 摂善法戒(善いことをする)、…

「原因と結果の法則」は盗作か

「「原因」と「結果」の法則」(ジェームズ・アレン著、坂本貢一訳、サンマーク出版)という本をご存じでしょうか。 英国の作家ジェームズ・アレン(1864~1912年)が1903年に出版した、自己啓発書の原点ともいわれる本です。 宣伝文句によると、聖書に次い…

心を綺麗にするのが一番難しい

「すべて悪しきことをなさず、善いことを行い、自己の心を浄めること」が、仏教徒としての私の毎日の生活のモットーであると記しました。 当たり前のことを並べたようにもみえますが、この言葉は仏教が極めて倫理的な教えであることを、あらためて思い起こさ…

仏教徒として何を実践すべきか

仏教徒として日々、何を実践し、どう生きたらよいのか。 釈尊は苦(ドゥッカ)を消滅し、涅槃(ニルヴァーナ、心の平安)に至る実践的な手段として、「八正道」を説きました。 釈尊が45年間にわたって説いた教えは、実質的にこの八正道に凝縮されるともいわ…

専門僧堂を選ぶ上でのポイント

僧堂安居の話を続けます。 在家出身の中高年に限らず、これから僧堂安居をしようとする人たちにとっては、どの僧堂を選ぶかが重要となります。 私は名古屋市内の自宅から近いという理由で日泰寺に決めましたが、もし地元に僧堂がなければ、刊行物を取り寄せ…