喜心大心

喜心(きしん)は感謝と喜びを絶やさない心、大心(だいしん)はすべてを包み込む大らかな心という意味です

2024年11月

中高年の僧堂安居が大変な理由

曹洞宗の僧侶を目指す者にとって、僧堂安居が最大のハードルとなると以前に記しましたが、在家出身の中高年の場合、このハードルはより高くなります。 お寺の跡継ぎの若者が多数を占める僧堂にあって、在家出身の中高年はもともと少数派ですが、途中で挫折せ…

釈尊の真骨を祀る日本唯一の寺

私は名古屋市千種区にある日泰寺専門僧堂で僧堂安居を行いました。 一般にはそれほど知られていないようですが、日泰寺は釈尊の真骨を祀る日本唯一の寺院です(以下、簡単に由緒を記します)。 1898(明治31)年、ネパールとの国境に近いインド北部ピブラー…

専門僧堂で起きた暴行傷害事件

曹洞宗の僧侶になるために必ず通過しなければならない僧堂安居について、私自身の体験も踏まえながら、何回かに分けて記したいと思います。 一般にはあまり知られていない僧堂の修行生活の実態を伝える本としては「食う寝る坐る 永平寺修行記」(野々村馨著…

仏教は宗教ではないと思う理由

キリスト教、イスラム教とともに、仏教は世界3大宗教の一つに数えられますが、前2者とは性格が大きく異なります。 仏教は宗教じゃないという見方がありますが、私も仏教を学ぶ中で似たような思いを抱いています(僧侶がそんなことを言っていいのかと叱られ…

第二の人生プロジェクトの功績

臨済宗妙心寺派では10年前から、「第二の人生プロジェクト」と称して、定年退職者の出家を支援する取り組みを行っています。 この旗振り役となったのが、大手電機メーカーの役員を定年退職後、65歳で出家得度し、1年3カ月にわたる修行生活を経て、2001年に…

僧侶になるにはどうすればいい

これまでお寺と縁がなかった中高年が、曹洞宗の一人前の僧侶になるにはどうすればいいのか、時間や費用はどれくらいかかるのか、私自身の経験をもとにお伝えしたいと思います(もし間違っている点がありましたら、ぜひコメント等でご指摘ください)。 なお、…

お寺の住職には簡単になれない

私のように会社を定年退職後に僧侶になって、第二の人生を仏道探究と社会貢献に費やしたいと考える人は少なくないかもしれません。 私としては、ぜひお勧めしたいという気持ちと、簡単にはお勧めできない、という気持ちが半々というのが正直なところです。 6…

ナイトスタンドブディストとは

少し前の本になりますが、仏教学者のケネス田中氏の「アメリカ仏教」(武蔵野大学出版会)で、米国で「ナイトスタンド・ブディスト(夜の電気スタンド仏教徒)」が増えているという話が紹介されています。 映画俳優のリチャード・ギアが熱烈なチベット仏教徒…

坐禅の正しいやり方とその効用

東京国際仏教塾の専門課程で曹洞宗コースに進んでからは、毎朝の日課として坐禅を始めました。 自宅近くの曹洞宗の寺院で毎週一回坐禅会が開かれていることを知り、そこに通うとともに、自宅で行うために座蒲と小さな畳マットを購入しました。 坐禅の作法に…

道元の思想は釈尊のそれに近い

私が僧侶になろうと決めたのはいつなのか、正確に思い出すことはできません。 実は、東京国際仏教塾に入塾した時に既に、第二の人生を僧侶として送るのも悪くないなあと漠然と考えていました。 ただし、この時に想定していたのは浄土真宗の僧侶で、むかし手…

パーリ仏典も直説とは言えない

中村元氏の著作を読んで、大乗非仏説とパーリ仏典に記された釈尊の教えに衝撃を受けたという話を記しましたが、もう少しこのことに触れたいと思います。 釈尊は自分の教えについて何も書き残しませんでした(釈尊の生没年代は諸説ありますが、紀元前5世紀前…

現代社会に通用する釈尊の教え

中村元氏の「原始仏教 その思想と生活」を読んで二つの大きな衝撃を受けたと記しましたが、もう一つはパーリ仏典に残された釈尊の教えには、謎めいた神託のようなものは一つもなく、現代にも通用する真理を語ったものばかりであるという点です。 同書によれ…

大乗経典は釈尊の言葉ではない

東京国際仏教塾が私にとって仏教の入り口になったというのは、これまで記した通りですが、同塾のスクーリングのテキストとして指定された一冊の本が、私の第二の人生を大きく転換させることになりました。 その本は、立正大学仏教学部非常勤講師の佐野靖夫先…

東京国際仏教塾をご存じですか

私が仏教の道へ進む出発点となった東京国際仏教塾について追加説明します。 塾は、仏教全般について学ぶ仏教入門課程(4~10月)と、宗派ごとに分かれて理解を深める宗旨専門課程(11~3月)の2期1年制。 それぞれスクーリングと修行体験に参加し、決め…

仏教を学んで人生が楽になった

私が40年近く続けた仕事は仏教とまったく関係なく、これまで仏教に特別な関心を抱くこともありませんでした。 道元禅師の場合、最愛の母を8歳のときに失い、世の無常を感じたことが出家のきっかけだったとされますが、私の人生において信仰心を引き起こすよ…

定年退職後に僧侶になりました

長年勤めた会社を定年退職したのを機に仏教の勉強を始め、それが高じて曹洞宗の僧侶になりました。 全国に約2万3000人いるとされる曹洞宗の僧侶の中で、例外的な存在といっていいでしょう。 定年後に仏教を勉強しようと思ったのは、時間ができたので何か新…