カテゴリ「第29期竜王戦七番勝負第3局」の記事
ファンの前で
終局直後
丸山九段が大激戦を制す
図の局面で渡辺竜王が投了しました。終局時刻は19時47分。消費時間は、▲丸山7時間59分、△渡辺7時間59分。
丸山九段が超スローペースからのねじり合いを制し、シリーズ成績を2勝1敗としました。第4局は11月21・22日に鹿児島県指宿市「指宿白水館」で行われます。
攻防の絶好打
丸山九段の放った▲4五角(109手目)は絶好の角打ち。攻防に利いています。ここで△2九竜は▲8三角成△同金寄▲7二とで速度負け、△7八成香▲同銀△2九竜は▲6九香で攻めが届きません。先手が勝ちに近づいていると見られています。19時12分、渡辺竜王も一分将棋に入りました。
丸山九段、一分将棋に
先手は金銀4枚の堅陣ですが、攻めの細さが気がかりです。△7三金直(96手目)に▲7一角は角が手に入れば詰めろになりますが、駒の入手が難しい状況では、どれほど威力があるのか判断が難しいところ。「次がないからなあ」と佐藤康九段。「ここの一手は超重要です」と話しました。18時31分、残り2分だった丸山九段は一分将棋に入りました。
開戦
究極の我慢合戦
女将に聞く
滝の湯の女将、山口隆子さんにタイトル戦の思い出について聞きました。滝の湯で初めて開催されたタイトル戦は、1984年11月14・15日に行われた第23期十段戦七番勝負第3局。中原誠十段に米長邦雄王将が挑むシリーズでした(肩書は当時)。
「初めてのことで何もわからなかったのですが、読売新聞の山田さん(当時の将棋担当は山田史生記者)につきっきりで教えてもらいました。米長さんは迎えを断られたのですが、到着が遅い。心配して3人くらいで表に立っていると、後ろから『いらっしゃいませ』と声がしまして。米長さんでした。裏口から入ってこられたのですが、この裏口は途中で社員食堂を通ります。あとで従業員に聞くと、米長さんが突然現れて『おいしそうだなー』といいながら食堂を通っていったそうです」
羽生善治三冠の初タイトル戦は、1989年の第2期竜王戦七番勝負。その第2局が滝の湯で行われました。羽生六段(当時)は和服を着るのが第1局以来2回目だったにもかかわらず、着付けを頼む前にある程度、自分で和服を着ていたそうです。山口さんは「知識の吸収力がすごい。棋士の方は『浅く広く』ではなく、『深く広く』なのだなと感じました」と羽生三冠の印象を語りました。
渡辺明竜王が初めて竜王を獲得したのは2004年のこと。「就位式で奥さまに抱かれている赤ちゃんを見て、まだ20歳なのにすごくしっかりされている方、と思いました」と山口さん。
これまでのタイトル戦で印象的だった一局については、「ひとつひとつ思い出がありますが」と前置きしたうえで、1994年の第7期竜王戦七番勝負第6局、羽生六冠誕生の一局を挙げました。これは「竜王の間」の改装後に初めて行われた対局です。
山口さんは最後に「たくさんの方に支えられて、いまがあります」と頭を下げました。当時の記憶を懐かしそうに語る山口さんの、柔らかい笑顔が印象に残っています。
『3月のライオン』スタンプラリー
棋士が主人公の人気漫画『3月のライオン』と天童市がコラボレーションしたスタンプラリーが、11月11日から始まります。「天童市公式ホームページ」内で詳細が告知されています。
控室には作者の羽海野チカさんが訪れ、関係者に取材をしていました。
【山形県天童市/3月のライオン スタンプラリー meets 天童】
http://www.city.tendo.yamagata.jp/tourism/kanko/sangatsu_no_lion_stamp_rally.html