前回(#6)は、個人の所得税について説明しましたが、今回は、会社員として会社に属さずに、個人事業を行ったり、自
分で会社を経営したりする場合です。
一番大きな違いは、個人の所得税は、基本的に収入全体に課税され、支払った経費を差し
引くことは出来ませんが、事業を行う場合は、かなりの経費を収入から差し引くことがで
きます。事業の形態によっても異なりますが、基本的な考え方は、収入 - 経費 = 利益に対して課税されるということです。例えば、コンピュータエンジニアの場合、会社
からの W-2 (源泉徴収票) による収入がすべてならば、自分で購入した PC などは、仕事に密着している場合でも、1040 などに反映させることはできません。一方、consultant として、契約先から 1099-MISC により収入がある場合は、PCなど業務に関係ある費用は、経費として収入から差し引く
ことができます。(事業の形態により、多少の違いはあります。)例えば、年 $60,000 の収入の場合、税率が 20% とすると、$12,000 の所得税となりますが、$20,000 が経費として認められれば、$40,000 (= 60,000 - 20,000) に課税され、$8,000 となり、$4,000 の節税となるわけです。
経費には、PC などだけではなく、業務に関係する支出は、ほとんど含まれます。例えば、個人事業で住
居が事務所を兼ねている場合は、業務で使用している割合に応じて、家賃を経費として計
上することができます。自家用車も同様です。また、ビジネスで必要な食事も含まれます。こ
のように、かなり広範囲の支出を経費として、収入から差し引くことができるので、会社
員と同程度の収入があっても、税ではかなり優遇されているといえます。
このため、収入や支出に関しては、きちんと管理しなければいけません。証拠となるレシ
ートなどもすべて保存しておく必要がります。また、ある程度の経理の知識も必要です。日
本のサラリーマンは、会社が年末調整をしてくれますが、事業を行う場合は、自分で確定
申告しなければいけません。
また、個人事業でも、個人の支出と、業務での経費を、厳密に分ける必要があります。取
引先との打ち合わせの食事代は経費となりますが、家族との食事は、経費とはなりません。こ
れを、経費として計上すると、小さい金額ですが、脱税行為となります。
このように、税の面では、会社員より優遇されていますが、その分、きちんとした管理を
行い、正しく経理上の処理を行うことが必要になるわけです。
詳細は、事業の形態により、違いがあるので、これは別途、説明する予定です。
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