南アフリカの砂丘で、すでに絶滅したと考えられていたキンモグラが87年ぶりに発見されたそうだ。
その幻のキンモグラは「デ・ウィントン・キンモグラ(Cryptochloris wintoni)」という。キラキラと輝く被毛を持ち、分泌した油分で被毛をコーティングすることで、砂の中を”泳ぐ”ように移動できるのが特徴だ。
体長約10cm、体重約20g程度のこのキンモグラが最後に目撃されたのは1937年、南アフリカ北西海岸にあるポート・ノロスでのこと。
絶滅危惧野生生物トラストをはじめとするチームは、有能な探知犬と、さまざまな場所に残された「環境DNA(eDNA)」を手がかりについにその存在を確認。カメラに収めることにも成功した。
その成果は『Biodiversity and Conservation』(2023年11月24日付)で報告されている。
絶滅したとされるキンモグラを探せ!
哺乳綱アフリカ獣上目キンモグラ科の「デ・ウィントン・キンモグラ(Cryptochloris wintoni)」は、穴を掘り地中生活をすることからモグラとは名がついているものの、アフリカトガリネズミ目(Afrosoricida)に属する独自の系統を持つ動物である。
デ・ウィントン・キンモグラを発見できたのは、探知犬の嗅覚と、彼らが「環境DNA(eDNA)」という貴重な手がかりを残してくれたおかげだ。
環境DNAとは、排泄物・皮膚・毛といった形で動物が環境中に残すDNAのことだ。付近にそうした手がかりが落ちていれば、彼らがそこにいるという存在証明になる。
絶滅危惧野生生物トラストとステレンボッシュ大学に所属する保全遺伝学者サマンサ・マインハルト氏は次のように語る。
キンモグラがそこにいるなら、そのDNAを探し塩基配列を解析すれば、きっと発見できると思っていました
まずは探知犬が嗅覚で探す
研究チームはこの幻のキンモグラを見つけ出すために2つの方法を用いた。一つは、探知犬の嗅覚を使ってキンモグラの兆候を探すことだ。
これらの犬は、地域に生息するキンモグラ3種のニオイを識別するように訓練されていた。
犬たちは知られているキンモグラ種の多くの兆候を発見したが、その中には既知のモグラの掘削パターンに合わない痕跡や穴があった。幻のキンモグラがそこに存在する第一の手がかりだ。
環境DNAの調査でついに幻のキンモグラを発見
次は環境DNAの調査だ。100以上の土壌サンプルが慎重に収集され実験室で分析された。この方法は、針を干し草の山から見つけ出すような作業で、種が環境に残す遺伝的残骸を根気よく探し出していく。
捜索チームは、南アフリカ北西部沿岸に広がる砂浜や砂丘で、1日に18kmもの範囲を調べ、そこに生息する動物たちが落とした環境DNAを集めていった。
するとどうやら4種のキンモグラがいるらしいことが明らかになった。2種は一般的な「ケープキンモグラ(Chrysochloris asiatica)」と「サバクキンモグラ(Eremitalpa granti)」だ。
さらに絶滅危惧種である「ジルキンモグラ(Cryptochloris zyli)」の存在も確認された。
怪しかったのが4番目のキンモグラだ。そのDNA配列はジルキンモグラによく似ており、ウィントンキンモグラではないかと疑われたが、この時はデータが足りず確信することまではできなかった。
しかし2022年、新たにウィントンキンモグラの標本が公開され、ここからDNAを入手することができた。
これを環境DNAと比べてみたところ、4番目の種がウィントンキンモグラのものであることがはっきりしたのだ。
絶滅危惧野生生物トラストのコーブス・セロン氏は次のように語っている。
ほとんどの人は、ウィントンキンモグラがまだ生きているとは思っていませんでしたが、私はまだ絶滅していないと信じていました。
適切な方法を適切なタイミングで情熱を持って行えば、きっと見つかると思っていました
環境DNAの力を借りれば、他の絶滅危惧種も発見できる可能性
セロン氏によれば、今回の発見は、ただ単に幻のキンモグラと再会できた以上の意味があるという。
というのも、ほかの絶滅が危惧される幻の動物たちに出会うために、環境DNAが大きな力を発揮してくれることを示しているからだ。
再発見された幻の動物たち
絶滅危惧野生生物トラストのチームは、この調査以降もさらに4匹のウィントンキンモグラを見つけることができたそうだ。
ウィントンキンモグラは、Re:wildをはじめとする自然保護団体が2017年にスタートさせた「Search for Lost Species(失われた種の探索)プロジェクト」の尋ね人だった。
このプロジェクトでは、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストで絶滅種とは分類されていないながらも、10年以上目撃されていない動物・植物・菌類25種を探している。
これまでに、アッテンボロー・ミユビハリモグラ(関連記事)、地球上最大ハチであるウォレス・ジャイアント・ビー(関連記事)など、11種が発見されている。
追記:(2023/12/05)本文を一部訂正して再送します。
References:FOUND: Iridescent blind mole with super-hearing powers rediscovered ‘swimming’ through sand dunes of South Africa / Dog sniffs out ‘extinct’ Golden Mole in South Africa, rediscovered after 86 years / Shimmering golden mole thought extinct photographed and filmed over 80 years after last sighting | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
これ以上人に見つからないでほしい
絶対に絶滅危惧種イコール金になると勘違いする
クズのせいで全匹取ってしまい本当に絶滅しちゃうよ
土の下にいる生物だから発見されにくいだけで絶滅寸前かどうかわからなくない?
>>2
モグラなら土を掘り返した跡とかで存在確認ができると思う
どりゅー
公表した時にはもう金目当ての人たちが手出しできないように法や環境整備が済んだ後、というのが徹底されていれば安心なんだけどね
クニマスは、発見されて「マニア」が「追っかけている情報は無いようなのでひと安心」→山釣り&山旅していますが、ヤマメ,岩魚,山菜等々は「根こそぎ採ってしまうので激変😫」→ヨーロッパでは、養殖サーモンが生け簀から100万匹逃げ出し天然物と交雑して免疫力が低下して「海シラミ」が蔓延中で、「レストランのメニューから消えた程です」😭。
>>8
奥多摩でフライをやると管理釣り場から逃げ出したニジマスがよく釣れます
この技術で秩父にオオカミが生き残っているか、検出できるかも。
でも…検出イコール生存は証明できても、不検出イコール絶滅とは云いきれないのかな、とも思います。
>>9
ニホンオオカミだとDNA鑑定が難しいと思う。
そもそも「ニホンオオカミ」と呼ばれる動物は
イヌとオオカミとの雑種と言われてるから
それらしいDNAを持つ動物が見つかったとしてそれが
「ニホンオオカミ」なのか「ニホンオオカミとイヌの雑種」なのか
判別するのが困難。
庭にモグラがいて庭を荒らすので困っとる
モグラ自体絶滅危惧種らしく安易に殺処分できないらしいのでどこかに移動してくれるといいのだが
>>13
モグラの嫌う匂いや振動で追い払う系の商品は結構あるよ。
キンモグラはモグラじゃないよって指摘があって修正したみたいだけど、単孔目キンモグラ科になってる。wikiではキンモグラはアフリカ獣上目となってるので間違いかと。
かわいい
住んでる地域が田舎なのでわりと普通のモグラはよく見かける。
だいたいアスファルト上で行き倒れでお逝きになってるか、用水路の中を流れに逆らって泳いでるけど全然前に進んでないとかなんかそんなシチュエーションばっかりだよ。