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地球最初の恐竜はどこにいる?アマゾンの密林の下に眠っているかもしれない

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(著) (編集)

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知られているものとしては最古の恐竜ニャササウルス(Nyasasaurus)。最古の恐竜の親戚という説もあるこの画像を大きなサイズで見る
Image credit: Mark Witton/The Trustees of the Natural History Museum, London

 恐竜が最初に地球に誕生した場所はどこなのだろう?まだはっきりと分かっていないが、これまでの研究では、最も古い恐竜の化石が約2億3000万年前の南米やアフリカ南部で見つかっている。

 しかし、これらの化石にはすでに進化の違いがあり、それ以前から恐竜が存在していたことがわかった。

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 新たな研究によれば、恐竜の故郷は「ゴンドワナ超大陸の赤道付近」である可能性が高いそうだ。

 アマゾンの熱帯雨林・コンゴ盆地・サハラ砂漠といった地域の地下には、地球最古の恐竜の化石が眠っているかもしれない。

最初に恐竜が誕生したのはどこなのか?

 現時点で、最古の恐竜の化石は、ブラジル・アルゼンチン・ジンバブエといった地域で発掘された2億3000万年前(三畳紀カールニア期)のものだ。

 その当時、これらの地域は「ゴンドワナ大陸」を構成していた。

 ゴンドワナ大陸は、約5億年前から分裂が始まるまで南半球に広がっていた巨大な大陸のことで多くの古代生物が繁栄した。約1億8千万年前に分裂し、後に南アメリカ、アフリカ、オーストラリア、南極大陸に変化した。

 そのため、最初の恐竜はここで誕生したというのが、恐竜の起源に関する有力な仮説だ。

 だがエオラプトル・ヘレラサウルス・コエロフィシス・エオドロマエウスなど、最初期の恐竜とされる化石にはかなりの多様性が見られる。

 このことは、2億3000万年前の恐竜はすでにある程度の進化を遂げており、本当の意味での最初の恐竜は、もっと前の時代に誕生したと考えられる。

 研究の筆頭著者であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン博士課程学生ジョエル・ヒース氏は、ニュースリリースで次のように述べている。

恐竜はよく研究されていますが、その起源がどこなのかまだはっきりしません。化石記録には大きな空白があるため、その点を無視するわけにはいかないのです(ヒース氏)

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ニャササウルス(ニャサ湖のトカゲの意)の復元予想図。タンザニアの推定中期三畳紀マンダ層から発見されたニャササウルスは、知られている中で最古の恐竜と考えられいる UnexpectedDinoLesson WIKI commons

ゴンドワナ大陸の赤道地域から広がっていった可能性

 では恐竜の故郷は?彼らはどこから発生したのか? この謎を解明するために、ヒース氏らは統計学を利用して、彼らが誕生した場所を特定することにした。

 これまでに発見された恐竜などの化石・進化の系統・当時の地理といった情報をもとに、初期の恐竜と主竜類がどのように広がっていったのか推測したのだ。

 その結果わかったのは、恐竜の本当の故郷は「ゴンドワナ大陸の赤道地域西部」にあるということだ。

 彼らはここで誕生し、同大陸南部やその北にあったローラシア大陸(ユーラシア大陸と北アメリカに分裂した超大陸)へと広がっていった。

 なおゴンドワナ大陸の赤道地域は、実際に古い恐竜の化石が発掘されている同大陸南部と、その北に位置し、やはり近縁種の化石が多数発見されているローラシア大陸の中間にある。このことが、この結果の正しさの裏付けとなる。

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Photo by:iStock

アマゾン熱帯雨林の地下には最古の恐竜が眠っているかも!

 ところが残念ながら、肝心のゴンドワナ大陸赤道地域、つまり現在のアマゾン熱帯雨林・コンゴ盆地・サハラ砂漠などでは恐竜の化石はほとんど発見されていない。

 だが、今回の研究が正しいとするならば、化石が発見されていないのは、恐竜がいなかったのではなく、ただ見つかっていないだけということになる。

 この地域で化石が発見されていないのは、爬虫類の親戚に比べて最初の恐竜の数が圧倒的に少なかったことも関係しているかもしれない。

 そうした親戚には、ワニの祖先で、体長10mもの巨大な動物がいた「偽鰐類(ぎがくるい)」や、戦闘機のような巨体で空を飛行した「翼竜類」など、派手な生き物たちがいる。

 特に注目されるのは、恐竜の三大グループについての新たな発見だ。

 この研究では、恐竜の親戚である「シレサウルス類」が、後に草食恐竜の「鳥盤類(オルニティスキア)」へと進化した可能性が高いと示された。

 鳥盤類にはステゴサウルスやトリケラトプスなどが含まれるが、なぜか初期の化石記録にはほとんど登場しない。

 この新たな発見は、その謎を解く鍵になるかもしれない。

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Photo by:iStock

初期の恐竜は小さかった

 最も初期の恐竜はずっと小さく、体長はニワトリや犬くらいしかなかった。ほとんどが二足歩行で、肉や植物を食べる雑食性だったと考えられている。

 そんな彼らが地上の王者になったのは、2億1000万年前の大規模な火山噴火が原因だった。この噴火によって、当時の多くの爬虫類の仲間が絶滅し、恐竜が繁栄するきっかけになった。

初期の恐竜は暑く乾燥した環境に適応していた

 またこの結果からは、最初期の恐竜が暑く、乾燥した環境に適応していた可能性がうかがえるという。

 実際、恐竜の主要グループの1つである「竜脚類」(ブロントサウルスやディプロドクスなど)は、その後も温暖な気候を好み、赤道近くの地域で暮らしたようだ。

 一方、そのほかの「獣脚類」と「鳥盤類」は、ジュラ紀に自力で発熱する力を発達させ、寒冷な地域でも生きられるようになったと考えられている。

 この研究は『Current Biology』(2025年1月23日付)に掲載された。

References: The Mysterious First Dinosaurs Could Be Buried Beneath the Amazon Rainforest, According to Scientists / Cell.com

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。

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この記事へのコメント 4件

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  1. 南米ならギアナ高原付近かな?石灰質の土壌で無いと化石も出来ないだろうしアマゾン川も海だったものが陸に封じられたとかの話も有るから古い化石がの頃っている場所は限られると思う。むしろコンゴ台地とかジンバブエの方が保存されている可能性は高いと思うけど、初期の恐竜なら海から陸にあがってきたどの段階で恐竜認定するかにもより推測される場所も変わる気がする

  2. 南米では大量の雨とアマゾン川が恐竜黎明期の地層の殆どを削り取ってしまったと思う。ゴンドワナ大陸があった頃の平地はギアナ高地の更に上。

  3. どのくらいのサイズからトカゲやワニみたいなものから「恐竜」に分類されるんだろう。
    コモドドラゴンは恐竜なのかな。あるいは手のひらサイズでも恐竜に分類される特徴があるのかな。

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