メインコンテンツにスキップ

ワンクリックで不思議と謎の世界へ!公式アプリ

電気自動車の盲点。ハリケーンの浸水でリチウムバッテリーから発火

記事の本文にスキップ

13件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:更新:

この画像を大きなサイズで見る

 充電が日常なほどバッテリー製品が浸透する中、日本でも新たな脅威になりつつあるのがバッテリー火災だが、アメリカ当局がハリケーンの二次災害として警告する、電気自動車(EV)の発火現象をとらえた動画が話題になっている。

 2012年の報告以来、当局が追跡中のEV発火現象は、ハリケーンの通過後に発生するが、その要因はハリケーンの浸水にあるという。

広告の下に記事が続いています

 嵐が去っても油断できない恐ろしい発火の様子がこちらだ。

ハリケーンの浸水によるEV火災の映像

 ハリケーンが去った後のガレージにある1台の車から突然発火。

この画像を大きなサイズで見る

 まもなく火の手が上がり、ガレージの照明が点灯する。おそらくセンサーが感知したのだろう。

この画像を大きなサイズで見る

 さらに燃え広がって煙が充満し始める。ほんとひとりでに発火するとか怖すぎるわ。

Officials warn that EVs could catch fire if inundated with saltwater from Hurricane Helene

ハリケーンの浸水によるEVの発火リスク

 ハリケーンや台風のように強力な嵐が上陸すると、海岸沿いの地域には高波や暴風雨により海水(塩水)が陸に流れてきたり吹き込んでくる。

 さらに大雨や洪水などで、車が浸水・水没すると、直接海水を被らなくても、塩分を含む水に浸ることになる。

 塩水は電気を通しやすく、浸水するとEVのリチウムイオンバッテリーをショートさせることがある。発火や爆発のリスクが高まるのはそのせいだという。

この画像を大きなサイズで見る

 アメリカ国家運輸安全委員会・高速道路安全局特別調査部門の責任者であるトム・バース氏は、こうした発火の要因は、異なるセル(バッテリーパック内部の単電池)同士の間で熱が生じて拡散し、熱暴走が始まるせいだと述べている。

プラスとマイナスの端子の間に塩水が入り込み、バッテリーがショートする可能性がある  (トム・バース氏)

問題が起こるのはハリケーンの浸水

 自動車メーカーは、こうした事故を防ぐため、バッテリーの設計を工夫したり、バッテリーパックの異なるセル間に、隔壁や絶縁部分を設けたり、湿気対策などもしている。

 だが前述の熱暴走を防ぐには、バッテリーの熱を逃がす対策も必要になる。

問題が起きるのは(車の浸水・水没などで)バッテリーが水に浸かった時だ。バッテリー内部の防湿構造に水がしみ込んでゆく

だからといって、水に浸かった車両がすべて発火して火災になるわけではない (トム・バース氏)

 ハリケーンの後に発火するのは、水分が蒸発していき、塩分濃度が高くなるせいだと考えられる。そのようなリスクがあるため、水没後の点検は大切だという。

 ちなみに塩分といえば、台風の後とかも洗車しとくのがいいそうだ。強風で巻き上げられて運ばれてきた海水(塩分)が、車に付いてあとで錆びを引き起こすことがあるからだ。

調査は2012年から過去には36台発火も

 EVの火災事例は、2012年にアメリカを襲ったハリケーン・サンディの頃から報告されており、以来当局が引き続き調査中だ。

 中でも2022年9月にフロリダ州を襲ったハリケーン・イアンの時は、5000台ものEVが壊れ、そのうち36台が火災に見舞われたという。

 フロリダ州は先月末ハリケーン・ヘレンにより壊滅的な被害を受けてまもなく、今月9日にハリケーン・ミルトンが襲来と、立て続けにハリケーンに見舞われている。

 だが、ハリケーンで起こりがちなEV火災に関しては、州知事があらかじめ、予想進路上に住むEV所有者にEVを高台に移動させるよう呼びかけており、できる限りの防災につとめているそうだ。

ペットが噛んで家庭内で発火も

 またバッテリーといえば、特に気をつけた方がいいのは、ペットや小さい子どもがいるご家庭だ。

 前に一度紹介したが、アメリカの民家で犬がリチウムイオンバッテリーを噛んだために発火し、火災が発生しかけた事例も報告されている。

 噛むことで、犬の唾液成分が発火を促すことがあるという

 また、外部からの衝撃も発火のおそれがある。高いところから落下させないよう、また落下したものをペットが噛まないよう厳重に管理しよう。

 大人だけならバッテリーの扱いにも気をつけられるが、こうした事故をふせぐためにも日頃から置き場所に注意しておくことをおすすめするよ。

References: Officials warn that EVs could catch fire if inundated with saltwater from Hurricane Helene / Officials warn that EVs could catch fire if inundated with saltwater from Hurricane Helene

本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. 電気自動車以外にも電気に頼りがちな現代では要注意ですね。
    パルモさんありがとうございます。
    充電が済んだバッテリーパックは早々に片付けます。

  2. いうても潜水艦もリチウムイオン電池搭載してより高性能になってるし
    潜水艦並みとは言わんでも、もうちょっと防水能力高められないものなのかな?

  3. EVカーは耐久性に問題ありすぎ
    猛暑も寒波にも弱くて水没したらいつエンジンが発火するか判らないから、5メートル以上水没廃棄車を置かなきゃいけなくて広いアメリカですら場所に困ってる
    環境に優しいと過剰賛美されてるだけで災害にめちゃくちゃ弱い

  4. 盲点どころか最初から非推進派に言われていた事
    台風や津波だけじゃなく大雨の多い日本でリチウムイオン電池を積んでいる電気自動車は二次災害の発生源でしかない

  5. やっぱり人類にはEVを商業に乗せるには10年早かったんだよ・・・・・(´・ω・`) っていうか、水に浸かった車両がすべて発火して火災になるわけではない って信用出来るか!(# ゚Д゚)

  6. 水も駄目なんかよ!
    使える条件マジで少ないんだなEVって
    何で推進してたんだよホント…今の電動キックボードとかに通じるものを感じる

  7. 中国で購入したバッテリーが本物かどうか確認するとか言って噛んだら発火直後に爆発した動画があったのを思い出した。とっさに投げ捨てて爆発の難は逃れてたが、しかし爆発したら本物なのか爆発しなかったら本物なのか、そもそも噛んでわかるのか。

  8. EVは蓄電池じゃなくて発電機か燃料電池で動かさないとダメだな
    もしくは電車みたいに道路から給電するか

    10年どころか100年は早いと思うわ

  9. 防水と放熱のジレンマなのよなー
    ハイブリッドはバッテリーが小さくてすむから、各社(スズキ除く)フロア高いところや上から吊って浸水しない努力をしている
    しかし、デットスペース全てにバッテリーを詰め込むBEVじゃ無理だわな
    これが、トヨタが本気出さない理由の一つだろう(1995年あたりから販売はしてる)

  10. リチウムイオン電池の弱点だな
    トヨタはニッケル水素だったかな

  11. EVはアーリーアダプタ向けとはいえ、5年後10年後の市場のディファクトスタンダード。安全性は地道に積み上げられており、否定的な意見は日本の製造業界の絶滅を意味する。これからも期待して応援していくべきです。

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。