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人は自分と違う意見を持つ人たちの考えを自信たっぷりに誤解していることが判明

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(著) (編集)

公開:更新:

激しく議論する3人の男性この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock

 「うん、もちろんあなたの言いたいことは完全に理解している」、こんなふうに言われたら少し疑ってみるといいかもしれない。

 最新の研究によると、人は自分と意見の違う人たちの考えを実際にはほとんど理解できないことが判明したそうだ。

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 しかも困ったことに、当の本人は、根拠のない自信で、相手のことをきちんと理解していると思い込んでいるのだ。

 英キングス・カレッジ・ロンドンやオックスフォード大学などの共同研究は、他人を誤解しがちな私たちが、意見が二極化しやすい現代社会をどう生きるかを模索したものだ。

人は自分と違う意見を持つ人の考えを正しく予測できるのか?

 この研究では、256人のアメリカ人成人に対して、さまざまな政治的な意見を聞き、それに同意するかどうか尋ねている。

 政治的な意見とは、例えば「移民は社会に有益であると思うか?」などといったものだ。

 参加者はこれに対し「強くそう思う」から「まったくそう思わない」までの5段階スケールで答える。

 そして、意見がほぼ一致した参加者同士ならば、「同意見グループ」とし、一致しない人たちなら「反対意見グループ」に分類された。

 次に、参加者はさらにまた別の政治的意見(例えば、「すべての女性は合法的に中絶する権利を認められるべきか?」など)を見せられ、今度は自分の意見ではなく、ほかの参加者がどう考えていると思うか予想してもらった。

 さらに予想の正しさの自信のほども尋ねられた。

 だが他人の答えを予想しろと言っても、その人のことが分からなければ答えようがない。

 そこで、参加者には、追加情報として、予想する相手が一番最初の段階で答えた回答をいくつか見てもらい、そのうえで予想を変更することが許された。

 さらにこの時も、予想の正しさの自信のほどを答えてもらう。

ノートパソコンを見ながら意見を言い合う男性2人この画像を大きなサイズで見る
image credit:unsplash

人は自分とは考え方の違う人々を自信たっぷりに誤解する

 この実験の結果わかったのは、参加者は同意見グループの人の答えならば、追加情報が少なくてもそれなりに正しく予想できるということだ。

 ところがそれとは対照的に、反対意見グループの人の答えを予想することは、どれほど追加情報があってもできなかったのだ。

 にもかからわず、当の本人は、自分の予想の正しさについて自信満々だった。

 キングス・カレッジ・ロンドンのブライオニー・ペイン博士によれば、「私たちは自分と似た意見の人ならそれなりによく理解できるが、自分とは異なる意見を持つ人の考えについては、理解できると思っていても、実際にはそうではないことを示している」という。

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image credit:Pixabay

二極化する世界で上手く生きるには?

 こうした誤解に起因する事例は、現実の世界で数え切れないほど起きている。

 ペイン博士は、最近の英国で起きた暴動に言及し、おそらくムスリムや亡命希望者について自信たっぷりに誤解している少数の人々によって引き起こされたものだろうと述べている

 しかもそうした誤解はSNSの間違った情報などによって簡単に広まってしまう。

 この世界はますます二極化しつつあり、時に激しい対立が起きることもある。そのような中、私たちはどう生きるべきなのか?

過ちを認め、お互いに分かり合えるまで話し合うことが大切

 一つ希望があるとすれば、今回の研究では自分の間違いに気付かされた人は、誤解を見つめ直すことをいとわなかったことだ。

 一度「こうだ」と決めつけたら意地でも引かないタイプの人もいるが、誰だって思い違いをすることがあるし。自分とは違う意見に対しても、偏見を持たずに素直に聞いてみよう。自分の過ちが見えてくることもある。

 上席著者のキャロライン・キャットムーア博士は、それゆえに人々が話し合うことが大切なのだと述べている。

現実の世界に即効性のある解決策はありません

ですが、もし多種多様なグループの人々と交流し、直接話し合い、彼らを知る機会が増えれば、お互いをよりよく理解できるようになるでしょう

考え方の異なる人々と話すことは、お互いについての誤解を解く鍵になります(キャットムーア博士)

 本研究は 『Scientific Reports』(2024年8月28日付)で発表された。

References: Study finds people are consistently and confidently wrong about those with opposing views

本記事は、海外で公開された情報の中から重要なポイントを抽出し、日本の読者向けに編集したものです。

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この記事へのコメント 25件

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  1. >最近の英国で起きた暴動に言及し、おそらくムスリムや亡命希望者について自信たっぷりに誤解している少数の人々によって引き起こされたものだろうと述べている。
    こういう研究をしておいて、それが自分の“自信たっぷりの誤解”でないと何故思えるのだろう……?

    1. このような意見が、いわゆる堂々巡りへの入り口になりそうやね

    2. 自分自身への懐疑も当然踏まえた上での話でしょ。文章を省いてるってだけで

  2. まぁ、理解できなくても話し合う姿勢を維持して理解しようと努力し、妥協点を探るというのは人間だからこそできるわけで常々そうありたいと思ってます。でも、どういう風に理解したらそういう理論や結論に至るか全くわからない人々がいるんで困ったものだなとも感じています。若いころは複数の新聞を取ったりして努力していましたが、今はそこまでエネルギーがなくなっちゃったからその辺も頭が固くなっていると見られているかもなとも思います。

    今回の記事は今一度自分を律する気持ちになったのでありがたかったです。ほかの読者の方々にもいい影響がありますように……

    1. 「わかり合う」というのは、何もかも同一意見になるということではないからね
      お互いの共通点と相違点をお互いに認識してお互いに一線を引く。全ては「お互い様」よ

  3. ネットコメント読んでても、自分と反対意見を見て
    「へー そういう考え方なんだー」って思えるとは限らんからな
    考えに至る前提条件が自分と一致しないので、そこのところを教えてもらわないと
    なんでそう思ったのかわからんってなる

  4. 議論において相手の真意をはかりかねているのなら
    例えば解釈に幅のある語句や文脈を用いているのなら素直にその詳細や真意を尋ねることだね
    何もクイズをやっているわけじゃないのだからこういう意図だろうと決めつけた上で返事を急ぐ必要はない

  5. こういう小さな相違から互いに工作員扱いして
    喧嘩し始めるパターンを何度も見たw

    1. 工作員に該当する人はいると思ってるけど、ケンカするとか時間のムダ
      そういう仕事なのか逆張りキッズなのか知らんけど、そういう連中は話を聞く姿勢が全く無いから放置が一番
      対面のキャッチボールじゃなくてルールの無いドッチボールになるからな

  6. 理解できないことをわかり合い時に仲良く喧嘩するのが最良の人間関係だね

  7. まぁ, 誤解してる人ってば, いつだって自信たっぷりだよね.

    俺は, その事にものすごい自信があるんだ.

  8. 今の世の中って共感こそが第一義だし
    似た者同士で集まってエコチェンに浸りながら、共感できない異物にはレッテル貼って貶めて終わりって感じ
    ネットだと異論言うとすぐ逆張りだとか、賢い人はそんなこと言わないだとか人身攻撃ばっかになる
    なんか理解できないものにまともに向き合うことすら難しくなってるんじゃないかと思う

  9. 最大の問題はそこを煽って利用してる奴らがいるって事だろう。
    片方がそれを始めると反対側もやらざるを得なくなり、結果今の世界みたいな極端な二極になる。
    最近は極端な左側が先に相手を罵倒し始めて応戦の繰り返しで真ん中残して泥沼化を良く見る、もう生物としてもシステムとしても人間の限界じゃないかな。
    分かり合えないなら諦めて距離を取るしかない。
    意見が激しく割れる記事で嫌でも目にするので正直なるべく避けて欲しい。

  10. 他人の意見は違ってて当然です
    顔や性格がそれぞれ違うように、考え方や感情が違って当たり前!w
    それを対立してると感じた時点で、懐が狭い
    相手を理解する余裕がない、認めない、ちょっとおかしいと思う

    1. この「違って当然」も勘違いの一種だよな
      よくよく話を聞いていたらアプローチや表現が違うだけで同じ意見だったなんて稀によくある話

      1. 書くの忘れたんです
        立場や環境もあるんです
        だから、答えは必ず同じにはならない、違うのが正しいのですよ
        そう考えると戦争だって相手の意見を考えれば和解できるはずなんです
        富や生活環境が欠落してても変わりますよ、それが同じ意見ならばケンカや戦争は起きません

  11. 話をよくよく聞いて言ってる事を理解しても受け入れ難い事も多々あるから、そういう時はお互いに距離を取った方が利口よね。
    話し合えば理解し合えるかも知んないけど受け入れ合える訳じゃない。

  12. 自分が正しいと思う程度に相手も正しく、相手が間違ってると思う程度に自分も間違ってる、人間なんてそんなもん

  13. 正しいとか以前に、相手の論理を理解すらしてない、というのがポイントかな

  14. ここのコメントが多い記事でコロナワクチンの記事が圧倒的なところ見てもそれがよくわかる。

  15. 誤解してるのではなくて、嫌いなことや都合の悪いことに恣意的なバイアスかけてるだけだと思う
    誤解というより曲解だな

  16. 正義の押し付け合いみたいなネット議論は海外では昔からな気がするけど 大人も未だにそう?

    昔から思うことがあって
    保守思想(単に守旧て事じゃなく)ってほとんど語られない 米国もトクヴィルとかいたのに
    だいたい宗教的保守vs革新派とか、○○vs○○とかがどっちも自己主張するだけで相手の話は聞いてない 結局、
    「お前は間違ってる、私が正しい」 と言いたいだけだから、議論相手にも実は極論を求める 相手を叩けるから
    そして妥当穏当な意見はお呼びでないらしい…
    反知性主義ってやつ? 万年反抗期

    でも二極化はどうだろう
    本当は人の話を聞ける人も、より良い落し処を探す人達もたくさんいる 
    多分声の大きい人達には見えないだけで

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