2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

晩秋

晩秋の雨の近づく今宵かな 三日月の隠るる前に帰りたや 甘藷煮る匂ひうれしき夕餉かな

河野典生 『緑の時代』

SF

一九六九年、新宿。ある日突然、街全体が緑色の蘇苔類に覆われ、死滅して行く。そのことに気づいているのは、《ぼくたち》数人のヒッピー族だけだ。そして、街の人々には《ぼくたち》のことが見えないのである。 やがて、冬の陽がビルの向うに堕ちはじめた頃…

俳句について考えていること

最近、当ダイアリーは俳句ブログになりつつあるのですが、僕は俳句に関しては全くの素人です。 俳句を始めたのは15年前。友人と東北を旅行した際に筆記用具を持ち歩き、移動中にちょこちょこ詠んだのが最初でした。詠み始めたら面白くなってしまい、旅行中に…

晩秋

椎茸をことことことと煮含める 秋寒し首にタオルを巻いてゐる ビルの間に銀杏拾う人ありき

木枯らし一号

あちこちにブーツの音の響く秋 秋寒や背中(せな)を丸めて電車待つ ことことと芋を煮ながら灰汁掬う 木枯らしの音を聞きつつ長湯かな 冬近し職場にマスク過半数 木枯らしやポッケにそっと手を入れる

十三夜

風呂上り窓を開ければ十三夜 音楽も灯りも消して後の月

寒露

米洗う水の冷たき寒露かな 秋雨やコンビニ前の傘光る

川上弘美 『センセイの鞄』

「ツキコさん、デートをいたしましょう」 川上弘美 『センセイの鞄』 「公園で」 友人に「川上弘美を読むんだったら、最初の1冊は何がいい?」と尋ねたところ、勧められたのが 『センセイの鞄』 だった。最近、ごつごつ、ごりごりした小説ばかり読んでいたの…