話題

職場での雑談で話題をコントロールしようと思ったら、自分で切り出すしかない。「焼き肉の食べ放題についてなんですが」。多くの人は焼き肉を食べたことがあるし、自らの手で焼いたことがある人までいる。性別を持つ人も多い。とても参加しやすい話題だ。自分が切り出すのでなければ、話題をコントロールすることは出来ない。映画があまり好きではないので、映画の話になってほしくないな、と思っていても、映画の話になってしまうことはある。「でも、さすがに自分の好きな映画を悪く言われたら、なにか一言、言おうって気持ちになる人もいると思いますよ。もちろん、これはレオンのことですし、私はすべての映画を憎んでいるので本当には彼らの気持を理解できませんが……。」

これがインターネットになると、どの話題に参加しようが自由、コメントしたくなる話題を列挙する専用の画面から好きな話題に参加できる。という状態で沈黙しているわけだから、ただ沈黙していると言うよりは、欲求に抗って沈黙していると見るべきではないだろうか。以前、話題ごとに7つのアカウントを並行して運用している、と聞き、「へぇえ、すごいですね」と答えてしまったが、今だったら、「なるほど、それはいいアイデアですね」と感心するかもしれない。あらかじめ、反応する話題を決めておくことで、いらぬ迷いがへる。アカウントが一個だと、この話題に反応することが自分にとってどういう意味を持つのか、などと考えてしまいかねないが、7つもあれば一側面でしなく、そういうこともなさそうだ。ところで、もし事実が人の意見を変えないのであれば、何かをコメントするということは、実際に何かをしている、と言えるのだろうか? 支出を伴う消費や、投票は何かをしていると言えそうだが、それらと比較して。