2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

スポーツクラブについて(11)

澄子 とても退屈なミーティングだったの。だから、ずっと正面に座っている彼女を見ていたわ。だって、他に見るべきものがなにもなかったし……。彼女はミーティングの参加者ではなかったけど、ちょうど見やすい方角にいたから。彼女は、そこで、ダンボール箱に…

スポーツクラブについて(10)

実際、その話術ときたら、誰もが<思わず嫉妬したくなる程の才能>と手放しで賞賛せずにはいられないものと思われた。 澄子 でも、驚くのは、ちょっと待って!! ここからが、この話の、一番盛り上がるところなんだから! そのちょっとしたエピソードを早苗は…

スポーツクラブについて(9)

來未は商材横断的な販促活動に携わっていたので、澄子、早苗の双方にとって十分な顔見知りであるといえたし、早苗は澄子と違って、來未の発する微かな気配に早くから気がついていたから、この問いに早苗が答えるのは、不自然でも無理のあることでもなかった…

スポーツクラブについて(8)

いつもは長い人の列が出来るエレベーターホールに全く人影がないので、來未は慌てて時計を見た。遅刻しているのかもしれないと思ったからだ。普段より数分遅れてはいたものの、タイムカードを通すのにまだ十分な余裕のある時間だった。 來未 今日は、新組織…

スポーツクラブについて(7)

小介は、ある種の、恐ろしく格好よい仏像を見るたびに、これを彫った仏師はどのようにしてこの仏像を戦わせていたのだろう、と心底不思議に思うのだった。小介がその仏像たちを戦わせるとしたら、オーラを身に纏い、雲に乗るなどの方法で空を飛び、使い方の…